山あり谷ありの30年だった メモリアルイヤーの“超竜”高岩竜一がその胸中を明かした

ガンバレ☆プロレス8月13日、東京・後楽園ホール大会でデビュー30周年記念試合に臨む高岩竜一。大家健、勝村周一朗と組み、石井慧介、岩崎孝樹、冨永真一郎組と対戦する。

色々あった30年を振り返り吠える高岩竜一【写真:柴田惣一】
色々あった30年を振り返り吠える高岩竜一【写真:柴田惣一】

13日に東京・後楽園ホール大会でデビュー30周年記念試合に臨む

 ガンバレ☆プロレス8月13日、東京・後楽園ホール大会でデビュー30周年記念試合に臨む高岩竜一。大家健、勝村周一朗と組み、石井慧介、岩崎孝樹、冨永真一郎組と対戦する。

 高岩は初代スピリット・オブ・ガンバレ世界無差別級王者。昨年11月にガンバレ☆クライマックス2021を制し、ベルトを奪取した。今年3月に今成夢人に敗れるまで3度の防衛に成功している。

 メモリアルマッチにはベルトに関わった選手が揃った。石井は「プロ野球を一緒に楽しむ仲(苦笑い)」だが、大家、岩崎、冨永は挑戦を退けた相手。勝村は王座決定トーナメントで下している。

 外敵ながらガン☆プロで新設された看板ベルトを保持した高岩の30周年メモリアルイヤーを振り返る記念マッチと言っていいだろう。

「サイバーファイトに属するガン☆プロの初代王者になれたのは、レスラー冥利に尽きる。このときは、他にもベルトを持っていて3冠王だった。30年の俺のレスラー人生でも、大きなこと」と、王座陥落の悔しさをにじませながらも、胸を張る。

 レスラー人生のスタートは新日本プロレスだった。デビュー当初は、思うように活躍できなかったが、UWFとの対抗戦で「前へ、前へ。力で抑え込む。ケンカスタイルかな」と、新たな闘い方に目覚め頭角を現した。

 獣神サンダー・ライガーとの抗争で踏ん張り、ジュニアでありながらパワーファイトを得意としたことで、新日ジュニア戦線の中心に躍り出る。金本浩二、大谷晋二郎とトンガリコーンズと呼ばれ、人気も集めた。

 その後、フリーとなり、一時期、ZERO1に復帰したが、レスラー人生の後半はフリー戦士として活動。現在はガン☆プロ、フリーダムズ、ドラディション、Aチームなど、さまざまな団体のリングに上がっている。

「レスラーと並行して、ビルの管理会社で働いたこともあった。危機感に襲われ、不安になったこともあったけど、いろんな方たちに声をかけてもらって、助けてもらって、30年になる」とにっこり。長いようなアッと言う間のような……さまざまな出来事が走馬灯のように頭をよぎったのか、高岩は一瞬、遠い目をした。

 ブラックタイガーに変身できたのも幸せだった。マスクを被ることで、別人格になれる。ファイトスタイルも変化させたが「すぐに正体がばれてしまった」と振り返る。「変わりようもない動きもある。それはそれで、楽しんでもらえたら」とほほえんだ。同じ日に素顔の高岩とブラックタイガーで2試合したこともあったという。

 ブラックタイガーとして超一流のレジェンド・マスクマンたちと対峙できたのも良き思い出だ。「あのミル・マスカラスと闘えた。素顔では難しいでしょ」と、いたずらっぽく笑った。

 30年も一つの区切りに過ぎない。「いち抜けになりたくない。永田裕志、ケンドー・カシン、藤田和之、小島聡、天山広吉、金本浩二……みんな頑張っている。負けたくない」とまだまだ闘い続ける。

 高岩はいつ何時でもコンディションが良い。常に好調をキープするのは大変だろうが、そこはベテラン選手。調整はお手の物だ。体が資本。長くリングで暴れるためにも、ベストな体調を維持する努力を惜しまない。

 楽しいことも辛いことも数えきれない30年だったが、誰よりも絆を感じるのは、ともに新日本で9年半を過ごし、ZERO-ONEに移籍した大谷だという。「同日入門の同期。彼がいたから、自分も頑張れたのかも知れない」とポツリ。頸椎損傷という大ケガを負い、闘病中の大谷を思いやった。

「よく彼の夢を見る。今の厳しい状況を『冗談だよ』と笑い飛ばして、戻って来るんだ。不謹慎かも知れないけど、今の自分の願いが夢に出てくるんだと思う」と神妙な顔だ。

 大谷にエールを送るためにも、高岩は大好きな角ハイボールをエネルギー源に頑張り続ける。

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