高校卒業後はニート、フリーター 異色の新人28歳はオーディションで映画ヒロインに

「あの頃。」「街の上で」など次々と話題作を送り続ける今泉力哉監督と、ピンク映画のトップランナーで「アルプススタンドのはしの方」がヒットした城定秀夫監督による脚本の映画「猫は逃げた」(3月18日公開)。本作で初主演を務めたのがモデル、フリーマガジンの編集長などマルチに活躍する山本奈衣瑠(ないる、28)だ。10代にはニート、フリーターも経験した異色の新人女優となる。

モデル、フリーマガジンの編集長などマルチに活躍する山本奈衣瑠【写真:舛元清香】
モデル、フリーマガジンの編集長などマルチに活躍する山本奈衣瑠【写真:舛元清香】

山本奈衣瑠インタビュー、映画「猫は逃げた」で映画初主演

「あの頃。」「街の上で」など次々と話題作を送り続ける今泉力哉監督と、ピンク映画のトップランナーで「アルプススタンドのはしの方」がヒットした城定秀夫監督による脚本の映画「猫は逃げた」(3月18日公開)。本作で初主演を務めたのがモデル、フリーマガジンの編集長などマルチに活躍する山本奈衣瑠(ないる、28)だ。10代にはニート、フリーターも経験した異色の新人女優となる。(取材・文=平辻哲也)

 山本は19年にモデルから俳優業を始めた28歳の新人だ。

「高校卒業後はしばらくニートだったんですよね。大学も行かない、就職もしない。周りは社会人になっているのに、私だけ何にもしていなかった。でも、何もしたくなかったわけではなくて高校を卒業した途端“急に知らない世界に飛ばされてわけも分からず流れに乗るために大学に行ったり就職すること”が理解できなかった。でもアルバイトはしていたのですが、そこでは一番長く働いているのに、自分が一番怒られる。レジ打ちも間違っちゃうし、車の教習所では、一生懸命勉強してる私を知ってくれた上でも覚えの悪さに素で驚かれ、私は頭の回転も悪いし、普通に社会の中で生きていくのに向いてないな……と思い自分のダメさに傷つくこともありました」

 その後、モデルとしてのキャリアを積み上げる中、女優業を始めたのは、興味からだという。

「モデルの仕事で、CMやミュージックビデオとか動く仕事が増えて、楽しいなと思っていたんです。でも、せりふを言うのはたぶん、別の話だから、近くにあるけど、遠いものでした。どんな場所なんだろう、どんな味がするんだろうと気になってはいて、いろいろなタイミングが重なり、自分がいつでもどこにでも動けるように事務所をやめてフリーになってみようと思ったんです。何もしない方がリスクだな、と」

 2020年からは今のマネジャーが立ち上げた事務所に所属し、オーディションを受ける日々。映画やドラマに端役で出演するようになり、昨年2月に「猫は逃げた」オーディションに合格しヒロイン役を手にした。

 同作は、レディースコミックの漫画家の町田亜子(山本)と、その夫で週刊誌記者、広重(毎熊克哉)が互いに不倫関係にあることを隠しつつ、飼い猫のカンタの取り合いを繰り広げる大人のラブコメディー。「アルプススタンドのはしの方」の城定氏が脚本を書き、今泉監督がメガホンを取った。

次のページへ (2/3) 役作りは自己流「自分で必死になって、楽しみながら作っていきました」
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