高校卒業後はニート、フリーター 異色の新人28歳はオーディションで映画ヒロインに

山本奈衣瑠は、映画「猫は逃げた」で漫画家の町田亜子を演じる【写真:舛元清香】
山本奈衣瑠は、映画「猫は逃げた」で漫画家の町田亜子を演じる【写真:舛元清香】

役作りは自己流「自分で必死になって、楽しみながら作っていきました」

「受かったときはめちゃくちゃうれしかったですね。俳優として大きな実績がない私を信用しようとしてくれている、と。今泉監督、城定監督、両方の作品を見ていたし、こんなメインの役をオーディションで決めるってあまりないことだとマネジャーさんも言っていたので。映画って、政治的なものが動いたりして決めることもあると思うので、私についた何かではなく私のことを見てくれたんだなと」

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 主役決定後、今泉監督からかけられた言葉はあったのか。「自分は大丈夫だったのかどうかなどは1ミリも聞いていないです(笑)。それがあるなら、まず私が知りたいですよ(笑)。撮影前、『何かした方がいいこととかあるんですか』と聞いても、『別にないです』。こんなにも言わないんかって思うぐらい何も教えてくれなかった(笑)。クランクインまでの流れも分からないことばかりだったので当たり前のように衣装合わせから始まって、何年も付き合って結婚した人みたいになってやるんだもんな、あらためてお芝居ってすごいなあ(笑)、みたいな感じ。自分で必死になって、楽しみながら作っていきました」。

 演技を習った経験は数回のみ。役作りは自己流だった。

「台本はめちゃめちゃ読んだし、(亜子のこれまでの)日記をノート2冊分くらい書いてみました。自分は普段から色や触り心地とか匂いで状況や感情を理解するので、言葉以外にもそういうたくさんの情報のレイヤー(層)を積み上げていきました。これが正しい役作りなのかは分からないですけど、自分なりにしっくりきたんです。その人が体験してきたものを疑似体験しようみたいなこともやってみました」。何も教えてもらえない、何も知らないことが武器になったのかもしれない。自分なりに作り上げ、現場で整えてもらったという亜子役は、本物の漫画家のように見えた。

□山本奈衣瑠(やまもと・ないる)1993年11月12日、東京都出身。モデルとしてキャリアをスタート。雑誌、CM、ショーで活躍。2019年から俳優業に転身。自ら編集長を務めるフリーマガジン「EA magazine」を創刊し、クリエーターとしても活躍。映画「親密な他人」にも出演。

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