「逃げて逃げて逃げ切るんだ」 車いす生活送る志茂田景樹が今、悩める若者に伝えたいこと

直木賞作家・志茂田景樹さんのエッセー本「9割は無駄。」(あさ出版)が9日に発売される。歴史小説、伝記小説、探偵小説、架空戦記ものなど幅広いジャンルの小説を書きながらも、90年代にはタイツを軸とした奇抜なファッションとカラフルなヘアカラーでテレビのバラエティー番組に出演。執筆、テレビ・ラジオ出演、講演会など超多忙な日々を送る中、「テープレコーダーに声を吹き込む」というスタイルで長編小説を書いていた時期もあった。また「よい子に読み聞かせ隊」を結成し、ライフワークとして1900回以上もの絵本の読み聞かせも行ってきた。

直木賞作家・志茂田景樹
直木賞作家・志茂田景樹

志茂田景樹インタビュー前編、エッセー本「9割は無駄。」発売

 直木賞作家・志茂田景樹さんのエッセー本「9割は無駄。」(あさ出版)が9日に発売される。歴史小説、伝記小説、探偵小説、架空戦記ものなど幅広いジャンルの小説を書きながらも、90年代にはタイツを軸とした奇抜なファッションとカラフルなヘアカラーでテレビのバラエティー番組に出演。執筆、テレビ・ラジオ出演、講演会など超多忙な日々を送る中、「テープレコーダーに声を吹き込む」というスタイルで長編小説を書いていた時期もあった。また「よい子に読み聞かせ隊」を結成し、ライフワークとして1900回以上もの絵本の読み聞かせも行ってきた。

 81歳の現在は、関節リウマチや間質性肺炎などを発症し車椅子生活。自宅で執筆活動を続けながら、SNSで若者と交流している。ツイッターのフォロワーは40万人を超え、フォロワーの悩みにも答えている。人々を勇気づける言葉が詰まった今回のエッセー。志茂田さんに著書や言葉に込められた思いを聞いた。(取材・構成=コティマム)

「9割は無駄。」には、志茂田さんがこれまでの人生で経験したことをベースに、読者の背中を押す言葉が並んでいる。例えば「1回こっきりの人生だから、攻めに出て正解だよ」「人生、2度はねえよ。やりたいことはやり残すな。うまくいく、いかないは二の次でいいぞ」。

 と同時に、「人生は逃げることでしか解決できないことが必ずある。そのときは逃げろ、逃げて逃げて逃げ切るんだ」といった、弱さや辛さを受けとめる言葉も詰まっている。

 取材は志茂田さんの自室からZoomで行われた。車椅子に座る志茂田さんは、パソコンの画面越しでも黄色や赤のカラフルなヘアーが目立つ。

――お体はいかがですか? 今回のエッセーも「テープレコーダーに吹き込み」で書かれたのでしょうか?

「今はパソコンでポチ……ポチ……と打っています。肘も手首も痛いので、両手の指を使って(キーボードを)ぽつん、ぽつんと。大変疲れやすい病気なので、(活動を)1日上限5時間以内と決めています。以前はテレビに出ずっぱりで講演もしょっちゅうあったので、カセットテープレコーダーに吹き込んでいました。東京から大阪に日帰り講演の時は、3分の1しか仕上がっていなかった短めの長編小説380枚を、新幹線の中で全部こなしちゃったこともあります」

――今回はパソコンに「ポチ……ポチ……」と?

「今回はもうちょい早く、『ポチポチポチポチ』とできました。手首の痛みを我慢しながら、まずいぞと思ったらポチ、ポチ、ポチっと(ゆっくりに)する。どうにか書きあげることができました」

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