斎藤工、今の“映画の尺”に警鐘「セリフの間や映画の余韻を楽しむことがなくなっている」

俳優の斎藤工(40)と女優の板谷由夏(46)がMCを務めるWOWOWの映画情報番組「斎藤工×板谷由夏 映画工房」(毎週金曜午後9時30分、無料放送【WOWOWプライム】【WOWOWオンデマンド】)が10月に10周年を迎える。同番組は、2人が俳優ならではの視点を持ち込んで、映画について本音で語り合うもの。2人は10年の軌跡を振り返りながら、映画の今、未来を語ってくれた。2人は役者として10年ぶりの共演も夢見ている。

MCを務めるWOWOW「映画工房」について語り合った斎藤工(右)と板谷由夏【写真:荒川祐史】
MCを務めるWOWOW「映画工房」について語り合った斎藤工(右)と板谷由夏【写真:荒川祐史】

板谷由夏とMCを務めるWOWOW「映画工房」が10月で10周年

 俳優の斎藤工(40)と女優の板谷由夏(46)がMCを務めるWOWOWの映画情報番組「斎藤工×板谷由夏 映画工房」(毎週金曜午後9時30分、無料放送【WOWOWプライム】【WOWOWオンデマンド】)が10月に10周年を迎える。同番組は、2人が俳優ならではの視点を持ち込んで、映画について本音で語り合うもの。2人は10年の軌跡を振り返りながら、映画の今、未来を語ってくれた。2人は役者として10年ぶりの共演も夢見ている。(取材・文=平辻哲也)

 斎藤は「映画工房は、映画、舞台などの作品を主戦場としている人間が、どう思うかを切り口にしている番組。最初から、ただ、映画の紹介番組が増えたという感じではなかった。節目を目指して向かってきたわけじゃないんですが、最初から、スタッフさん、板谷さん、(映画解説者で共演する)中井圭さんとの関係値が自然。オンオフがない感じで、距離感良く続けられた」。板谷は「確かに、リビングで映画を見ているような感じで、その上、紹介したい作品はちゃんと熱がある。雰囲気はすごく自由。よく俳優仲間から『台本はあるの?』って聞かれるんですけども、台本はありません」と話す。

 番組の魅力は2人の映画愛にあふれた本音トークだ。「作品によっては、共演したことがある人が出演していたり、ディレクションを受けたことのある人の作品だったりすることもあるので、僕らから見えるものを紹介していく。現場寄りの寄り添い方をしているのが唯一の切り口と言ってもいいかも」(斎藤)。板谷が「だから、ゲストで監督がいらっしゃると、ビビって緊張しちゃうんだよね」というと、斎藤は「青山真治監督回(ともに出演作あり)がそうだったよね」と振り返る。

 500回以上を数える放送で印象に残っていることは何か。斎藤は「カンボジアを中心に、映画環境のない子供たちのために作ったクレイアニメ『映画の妖精 フィルとムー』(2017年)ですね。WOWOWは権利元でもないのに、趣旨を理解してくださって、作品制作の入り口から出口までサポートしてくださった。50か国くらいで上映され、いまだに子供たちからのお礼状が届いたりする。映画“工房”という番組で、作品を生み出すことができた。これからも、いろんなところに羽ばたいていく」。

「フィルとムー」は、移動映画館プロジェクト「cinema bird」を展開する斎藤が「映画環境のない子供たちのために、自由に楽しんでもらえる手軽に楽しめるアニメを作りたい」と声の出演に加え、齊藤工として企画・原案・脚本を担当した8分の短編(WOWOWオンデマンドで配信中)。その後、WOWOWとともにクレイアニメ「オイラはビル群」を製作し、配信している。

 そんな斎藤の姿を間近で見た板谷も、「役者は受身の仕事だけども、0ベースから何かを生み出すのを近くで見たのは刺激だった。映画工房が、違うステージに行った感がすごくあった。言うのは簡単だけども、ちゃんと形にしていくのが斎藤工の面白さ、すごさ。今後もこういったことをやっていけると面白いと思います」とマルチな才能を見せる斎藤を絶賛する。

 10月1日放送の10周年記念回では、視聴者とリモートで結んで収録。WOWOWシネマで紹介する映画1作品を紹介しつつ、視聴者とのトークや質問コーナーなども行い、過去に扱った1118本以上の映画の中から視聴者が選ぶ最も心に残った映画の投票結果を発表。さらに、斎藤、板谷、中井の3人が「今届けたい映画100本」を披露する。

次のページへ (2/3) ドラマ「最上の命医」で共演の斎藤と板谷、夢は「映画工房」の“ドラマ版”で共演
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