「カノキレ」に元局女子アナがもう1人出演 「今日、社長に会わせて」から始まった女優道

あの連ドラには、もう1人の「元局アナ」が出演している。中島健人、小芝風花がダブル主演で、「カノキレ」と呼ばれるフジテレビ系「彼女はキレイだった」(カンテレ制作、火曜午後9時)。同作では、元TBSアナウンサーの宇垣美里がファッション誌「ザ・モスト」の編集部員役を演じているが、同じ編集部員役で元Daiichi-TV(静岡県)アナの山田桃子も出演中だ。珍しいローカル局アナからの女優転身。山田に、初連ドラ出演までの道のりと「今後」を聞いた。

「彼女はキレイだった」で連ドラ初出演の山田桃子【写真:柳田通斉】
「彼女はキレイだった」で連ドラ初出演の山田桃子【写真:柳田通斉】

静岡のDaiichi-TV出身の山田桃子、転身4年目でつかんだチャンス

 あの連ドラには、もう1人の「元局アナ」が出演している。中島健人、小芝風花がダブル主演で、「カノキレ」と呼ばれるフジテレビ系「彼女はキレイだった」(カンテレ制作、火曜午後9時)。同作では、元TBSアナウンサーの宇垣美里がファッション誌「ザ・モスト」の編集部員役を演じているが、同じ編集部員役で元Daiichi-TV(静岡県)アナの山田桃子も出演中だ。珍しいローカル局アナからの女優転身。山田に、初連ドラ出演までの道のりと「今後」を聞いた。(取材・文=柳田通斉)

 山田が演じているのは、「ザ・モスト」編集部ファッション班アシスタントの小松麻利奈。役の設定は山田と同じ30歳で、頭に必ずスカーフを巻いている。

「『この年齢でアシスタントなの?』と思われるかもしれませんが、私は『やりたいことを見つけて転身してきた』と解釈しました。ある人からは『桃子と一緒だ』と言われました(笑)。衣装やスカーフを頭に巻くスタイルもすごく気に入っています」

 山田はDaiichi-TVの人気アナウンサーだった。明るいキャラクターで、情報バラエティー番組では「毒舌キャラ」の一面も見せていた。3年目からは、民放の他局アナと結成した静岡広報アイドルグループのメンバーになった。だが、幼少期から抱いていた役者への思いが捨てきれず、入社5年目の2017年夏、再会した大学時代の知人に相談。知人はその思いをくみ、旧知である芸能事務所トライストーン・エンタテイメントの社長を紹介することを約束した。しかし、山田は「今度じゃなく、今日に」と迫ったという。

「とても強引でしたが、その日のうちに社長に会わせていただき、熱意をお伝えしたところ、演技レッスンを受けることになりました」

 静岡で仕事をしながら、休日に上京し、レッスンを受ける日々が始まった。ある日、社長の前で演じる機会があり、「本当に演技は初めてなの?」と言われ、翌年4月からの女優転身を決意。番組の最終出演日には、視聴者に「役者の道に進みます」と伝えた。東京で一人暮らしを始め、小栗旬、田中圭、綾野剛、木村文乃らが所属の同事務所に入所。しかし、10代から活躍する女優も多い中、当時27歳の山田は「厳しい現実」を突きつけられた。「最初の段階で2本、お仕事をいただいたのですが、その後はなかなかで……」。翌19年は、アナウンサー役で映画1本出演したのみになった。しかし、同作が「流れ」を変えるきっかけになったという。

「作品の打ち上げで出会った方に、演技のアクティングコーチを紹介していただき、6時間のレッスンを週2度受けることになりました。アナウンサー時代に身についた『言葉をきれいに伝える』癖を指摘され、自然体で感情を出す言い回しをひたすら練習しました。ずっと『泣く演技』が苦手でしたが、稽古を重ねる中で、その役、状況に入り込み、涙が出るようになりました。『どうしても泣けない時は、これだけやったのにできない自分に泣け』と言われ、本当にそれで泣けたこともあります」

 レッスンの成果はあり、20年から映画、ドラマ単発出演のオファーが届くようになった。だが、女優1本では生活できず、アクセサリー作りなどのアルバイトも経験。マネジャーからも「このままひたむきにやっていくしかない」と励まされる中で、ゴールデン帯での「連ドラ出演決定」を聞かされたという。

「今年の4月、当日も事務所で今後のことを話し合った帰り道で、連絡を受けました。もう、信じられないのとうれしさで、『やったー』と叫んでしまいました(笑)」

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