eスポーツ&麻雀の“二刀流”に注目 プロ選手が異例の挑戦、その思いとは

発展途上にあるeスポーツの世界において、プロ選手の立ち位置はフィジカルスポーツと異なる部分もある。数多くある競技の中で埋もれないための発信や、個人の魅力をアピールする努力など、さまざまな活動が見られる中、麻雀プロとの“二刀流”という独特な個性を持つのが、プロeスポーツチーム・AXIZ(アクシズ)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門に所属するRobだ。インタビューでは2つのシーンでプロ活動を並行する異例の挑戦の理由や、eスポーツにプロ選手として取り組む意識などについて語ってくれた。今回は前編。

今年3月の麻雀プロテストに合格したRob【写真:ENCOUNT編集部】
今年3月の麻雀プロテストに合格したRob【写真:ENCOUNT編集部】

プロeスポーツチーム・AXIZのRob 3月に麻雀のプロテストに合格

 発展途上にあるeスポーツの世界において、プロ選手の立ち位置はフィジカルスポーツと異なる部分もある。数多くある競技の中で埋もれないための発信や、個人の魅力をアピールする努力など、さまざまな活動が見られる中、麻雀プロとの“二刀流”という独特な個性を持つのが、プロeスポーツチーム・AXIZ(アクシズ)のデジタルカードゲーム「シャドウバース」部門に所属するRobだ。インタビューでは2つのシーンでプロ活動を並行する異例の挑戦の理由や、eスポーツにプロ選手として取り組む意識などについて語ってくれた。今回は前編。(取材・文=片村光博)

 各ジャンルのゲームにチームを持つAXIZだが、シャドウバース部門は「RAGE Shadowverse Pro League」2019-20シーズンのリーグチャンピオンシップでよしもとLibalent(現・NTT-WESTリバレント)を下し、年間優勝。頂点を極めたチームを、Robはリーダーとして力強くけん引した。

 今シーズンも引き続きAXIZのために戦うRobだが、取り巻く状況にはある変化があった。3月に麻雀のプロテストに合格。2つのプロ活動に並行して取り組むようになった。プロテスト後から現在に至るまでの心境を、Robは次のように明かす。

「実際に受かったからこそ言えることですが、合格自体は確信していました。なので、その先に勝っていくためにどうしたらいいかを考えていました。今は同期や先輩たちと一緒にやっていくということで、緊張感を感じることなく楽しくやれています。本業はシャドウバースのプロということもあって、麻雀プロになることによる良い影響があると思っていましたし、その逆もこれから絶対にある。基本的にはすべてに関してポジティブにやれています」

“二足のわらじ”に挑戦するという決断の源流は、大学時代にまでさかのぼる。野球とアメリカンフットボールに取り組み、バリバリのスポーツマンとして歩んできたRob。しかし、大学2年時のけがによって引退を余儀なくされたときに、それまでスポーツに傾けていた情熱が向かった先が、シャドウバースと麻雀という2つの頭脳ゲームだった。

 配られたカード(牌)、相手の出方、場の流れを吟味しながら、次の一手を打つ。ただ、どれだけ最善を尽くしても運に左右される部分があり、だからこそエンターテインメント性に富むという共通点がある。先に実績を積んでシャドウバースのプロとして一度は頂点を極め、今年から麻雀プロの世界に飛び込む形となったRobは、その効果を次のように語っている。

「シャドウバースのプロとしての経験が、麻雀に生きていると感じています。緊張状態にある中でのパフォーマンスや、コンディションの整え方、自然体で普段の実力を出すためのスキル、慣れという部分ですね。ただがむしゃらに練習するだけじゃなくて、本番で100%の実力を出せるような練習の仕方、体調の整え方を意識してやってきたので、麻雀プロとしては最初からそうした部分ができていると思います。そして、シャドウバースも麻雀も、どちらも運が大きく絡むゲームで、負けるときは負ける。それでもメンタルを崩さないというところでも、シャドウバースのプロリーグで得た経験が生きていると感じます」

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