熊本地震から4月16日で5年が過ぎた。熊本は昨年も豪雨の被害にあうなど大災害が続き、復興への道は険しい。熊本といえば、90年代、アイドルとして人気を誇った女優・井上晴美さん（46）の故郷で、今は故郷に戻り家族で暮らしていることで知られる。熊本地震の際には、自宅が全壊したことなどをブログで発信し注目が集まった。井上さん、その後、どうしているのか。井上さんに聞いた。（取材・文＝中野裕子）

　テレビの仕事があって、熊本から2泊の予定で来ました。今も熊本に住んでいるので、仕事があると上京し、時間に余裕があるときには友達に会って息抜きもしたりして（笑）。普段は自然のなかで、子どもの成長をそばでみる、のんびりした生活を送っています。子どもは中学2年生の長男、小学校6年生の長女、小学校4年生の次女の3人。今回も「いつ帰ってくるの!?」って言ってたから、まだ母親がそばにいたほうがいいのかな？　でも、子どもがだんだん大きくなり手がかからなくなってきたから、上京しやすくなってきました。

　熊本地震までは阿蘇の西原村に住んでいました。地震で家が全壊し、熊本市内にある私の実家も全壊したので実家に頼るわけにはいかず、一時はテントを張って寝起きしていました。当時は、自身の避難状況を記録するためにブログを書いていましたが、結果、心ないコメントが殺到してしまい……自分が意図したこととまるで異なる受け止められ方をしてショックを受けましたね。

　熊本地震は前震、本震のあと余震が続き、地震後めまい症候群にもなりました。それで熊本での生活を一度見直そうと、地震の1か月後から約1年間、主人のお友達が部屋を提供してくれた大阪市内で暮らしていました。都会は都会で楽しんだんですけど、家族で話し合って戻ることにしました。熊本地震の被災者は一度離れても戻っている人が多いんじゃないかな。熊本は水もお米もおいしくて、いい所です。私にとっては生まれ育った所なので、親きょうだいがいて、イザというときは助け合えますからね。

　大阪から戻った後は、借り上げ住宅がなかなか見つからず、ようやく見つけた、熊本市内から車で30分の家に住んでいます。以前、住んでた家は更地になって周辺の道路もコンクリートで舗装・整備され、風景が変わりましたね。ときどきそばを通りますけど、新興住宅地みたいになっています。地震によって、結局、2回の引っ越しを余儀なくされたわけですが、子どもは子どもなりに新しい環境をポジティブに受け入れてくれました。