“朝倉未来の再来”の声も「だから何?ってだけ」RIZINデビュー・千春の本音 榊原CEOから異例の指名…原点に“過激”な地下格闘技
「朝倉兄弟の再来」。鋭い目つきと独特の雰囲気をまとい、大きな注目を集める兄弟がいる。「abc presents RIZIN.55」(11月8日、千葉・LaLa arena TOKYO-BAY)に出場する、兄・千春(25=FREEDOM@OZ)は、Fighting NEXUSライト級を制した弟・賢民(22)に続き、今年7月に同団体のフェザー級王座を獲得。直後、ケージに上がった榊原信行CEOが「RIZINで待ってます」と伝える異例の展開で、大舞台への切符を掴んだ。鈴木博昭(41=BELLWOOD FIGHT TEAM)とのデビュー戦を前に、今の思いを聞いた。

鈴木博昭とRIZINデビュー戦「フェイスオフでこれは絶対勝つなと」
「朝倉兄弟の再来」。鋭い目つきと独特の雰囲気をまとい、大きな注目を集める兄弟がいる。「abc presents RIZIN.55」(11月8日、千葉・LaLa arena TOKYO-BAY)に出場する、兄・千春(25=FREEDOM@OZ)は、Fighting NEXUSライト級を制した弟・賢民(22)に続き、今年7月に同団体のフェザー級王座を獲得。直後、ケージに上がった榊原信行CEOが「RIZINで待ってます」と伝える異例の展開で、大舞台への切符を掴んだ。鈴木博昭(41=BELLWOOD FIGHT TEAM)とのデビュー戦を前に、今の思いを聞いた。(取材・文=浜村祐仁)
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「フェイスオフでこれは絶対勝つなって思いましたね」。一回り以上年上のベテランにも臆する様子は無い。対戦相手の鈴木は、かつてONE Championshipでタイトル戦も経験した実力者。近年はRIZINフェザー級の“門番”として、初参戦の若手や外国人選手の幻想を打ち砕いてきた。
「(相手は3連勝中?)そんくらいで天狗になってるんだなというか。みんながどう思っているか分からないですけど、僕には勝ち方が問われている。『千春見せてくれよ』っていう試合だと思う。僕ぐらいの長身の選手ともやったことないはず。秋元(強真)選手とかにも苦戦してましたよね。同じような試合ができればって思います」
バックボーンは柔道とムエタイ。格闘技好きの父親の影響で、中学時代には元修斗王者でムエタイでも実績を残したランバー・ソムデートM16(タイ)のもとに入門した。そして、何より自身の格闘技人生の礎となっているのが、地下格闘技団体「飛車角」との出会いだったと明かす。
「結構歴史ある団体なんすけど、まあ過激っすね(笑)。パウンド無制限、頭突き肘ありのスリーノックダウン制。ストップも遅いし、みんなが本当は見たいけど、見たいって言えないような境目が見れると言うか。後はみんな地元を背負って喧嘩しに来てるんですよね。初めて見た時に感動しちゃって。当時なんで『女の子にモテるかな』とか『格好つくかな』とか思いながらやってたんですけど、良い団体ですよ」
飛車角ではライト級王者を獲得。その後、Fighting NEXUSでプロMMAの道を歩んでいったが、当時の経験が今に生きているという。
「総合に生きてる部分は多いっすね。地下格がアマチュアではあるんですけど、オープンフィンガーでヘッドギア無しで頭突きも肘も防具無しなんで、そこで経験積めたおかげでプロデビューしてからの戸惑いがなかった。『プロはストップが遅い』とかよく言われますけど、そこにビビりが一ミリも無かったんで、いい経験でしたね」

“朝倉未来の再来”の声に「言われて嬉しいとかもないです」
プロデビュー戦では反則負けを喫したが、そこから破竹の6連勝でつかんだ今年7月のタイトルマッチ。当日、NEXUSの会場には榊原CEOが視察に訪れていた。「アップしてる時に代表に『榊原さん来るから』って言われて。そこで初めて知った」と明かすが、プレッシャーはさほど感じていなかったという。
「フィニッシュして榊原さんにアピールできたらいいなというぐらい。確実に(ベルトは)獲れると思っていたので。本来タイトルマッチって勝ちに徹するのがセオリーだと思うんですけど、見せ方が問われる試合だった。でも、コケたら弟に迷惑がかかるというのはありました。今は個人というよりは兄弟っていうのが根強いんで、負けたらやべえなというのはありましたね」
試合は1R・リアネイキッドチョークで一本勝ち。「僕はもっと上の舞台に行きたい。榊原さんリングに来て下さい」と自らケージの中に榊原CEOを呼び出し、それに応じたCEOも「千春、最高です。RIZINで待ってます」と宣言。ベルトだけでなく、RIZINへの切符も一気にもぎ取った。
地下格から成り上がり、兄弟そろって注目を浴びる。「あのころの未来に似ている」。その姿をかつての朝倉兄弟に重ね合わせるファンも少なくない。「(声は)まあ耳には入ってますね。兄弟でチャンピオンですし、みんながそう思うなら似てるんでしょうね」と神妙に語ったうえで、率直な思いも打ち明けた。
「だから何って話だし、本当それだけですね。2世とかって自分から言うつもりもないし、言われて嬉しいとかもないです。自分らはただやりたいことやってるだけだし、今後もそうしていく。似せにいくつもりもないし、俺らは俺らでやっていくつもりで。そのうえで、似てるって言われるならもう自由ですけど、『朝倉兄弟ならこうだった』みたいな圧は、嫌とかじゃないですけど意味分かんないですね」
「いつかは『千春・賢民兄弟』の名前で売れたいです。多分弟も同じだと思います。だから(そういう声は)意識せずにやろうと思ってます」

成し遂げたいのは“親孝行”「親父に車、買ってあげたいですね」
自身の性格は意外にも傷つきやすく、寂しがりやと分析。10代の頃からRIZINを現地観戦し、THE OUTSIDERにも足を運ぶ格闘技ファンだった。好きな選手は青木真也、秋山成勲。「柔道から成り上がった選手のMMAがかっこいいなって。俺もこうなりてぇと思ってましたね」と笑顔で語る。
「もう、あの頃の熱狂には戻れないかもというもどかしさもあります。みんなアスリートを見たいというわけじゃなくて、デカいやつ同士みたいな“人間”を見たいんだと思います。だから、自分も試合の見せ方、フィニッシュにはこだわっています」。勝つだけでなく、記憶に残る試合を見せることも使命だ。
最後に人生で成し遂げたいことを聞いた。試合を目前に、口にしたのは純粋な両親への思いだった。
「やっぱり、格闘家の人生をお父さんとお母さんは心配してた。『格闘技なんてお前は芽が出ないからやめとけ』って親父にはずっと言われていた。お金を持っているのだけが正解じゃないけど、コツコツやってる人間からしたら認めるのは給料だし、『親父、俺こんだけ頑張って人よりかは稼げるようになったよ』って見せるのが親孝行かなって。稼いで親父に車、買ってあげたいですね」
公開練習では、カメラに向かって「おれのタイマンよく見とけよ」と強気に宣言。SNSの声も徐々に騒がしくなってきた。しかし、5分3Rのリングで千春を縛るものは何もない。11月8日、まずは兄が先陣を切ってRIZINの舞台へ殴り込みに向かう。
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