東京Dで数万人の歓声→数時間後に1人でカップ麺 THE RAMPAGE岩谷翔吾が新作小説で描いた光と影

ダンス&ボーカルグループ・THE RAMPAGEの岩谷翔吾(29)が5日、第2作となる小説『一人分の夜を生き直す』(幻冬舎)を刊行する。執筆のきっかけは、2024年の単独東京ドーム公演後、深夜に1人で食べたカップ麺だった。華やかなステージの裏側にある孤独と、夢をかなえた先の思いを聞いた。

インタビューに応じたTHE RAMPAGEの岩谷翔吾【写真:藤岡雅樹】
インタビューに応じたTHE RAMPAGEの岩谷翔吾【写真:藤岡雅樹】

2作目となる小説『一人分の夜を生き直す』を刊行

 ダンス&ボーカルグループ・THE RAMPAGEの岩谷翔吾(29)が5日、第2作となる小説『一人分の夜を生き直す』(幻冬舎)を刊行する。執筆のきっかけは、2024年の単独東京ドーム公演後、深夜に1人で食べたカップ麺だった。華やかなステージの裏側にある孤独と、夢をかなえた先の思いを聞いた。(取材・文=平辻哲也)

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 数万人の歓声が響く東京ドームのステージ。スポットライトを浴びて観客を熱狂させた数時間後、岩谷は自宅でテレビを見ながら、コンビニで買ったカップ麺をすすっていた。

「数時間前まで何万人というお客さんから歓声をいただいていたのに、数時間後には1人でカップ麺を寂しく食べている20代後半の男がいる。同じ人間なのに、見る景色も感じることもこんなに違うのかと。そのコントラストというか、光と影を描いてみよう、僕にしか描けないなと思ったのがきっかけでした」

 東京ドーム公演が行われたのは、俳優の横浜流星が原案を手がけた作家デビュー作『選択』(幻冬舎)の発売を約1か月後に控えた時期だった。

「すでに『選択』は書き終えていて、出版を待つばかりでした。すごく不思議な巡り合わせというか、『あ、今だ』というタイミングで、自分の感情のアンテナがピタッときて、書き始めました」

 着想から完成まで約2年。前作の執筆経験も生きたという。

 物語の軸となるのは、高校時代にダンスバトルで頂点に立ちながらも、異なる道を選んだ2人の青年だ。大手芸能事務所にスカウトされ、アイドルグループ「RIOT」のメンバーとして武道館や東京ドームの舞台に立つ蓮。そして、メジャーの誘いを断り、渋谷のストリートで自らイベントを立ち上げ、ダンスの未来を模索する大和。

 読了後に、思い浮かんだのが大分県にあるミニシアター「シネマ5」だ。そこでは、「生きなかった『もうひとつの人生』を生きる場所」という言葉をコンセプトに掲げている。大和は岩谷にとって、もう1つの人生ではないか。そう尋ねると、「そうですね」とうなずいた。

「どちらが良い、悪いでもなく、どちらが夢をかなえた、かなえていないでもない。対照的な2人を中心に、そこから見えるダンスというものに焦点を当てて書きました」

 大和には特定のモデルがいるわけではない。自身の約20年にわたるダンス経験に加え、ストリートシーンで活躍する先輩ダンサーたちにも話を聞いた。

「『こういう生き方ならワクワクするな』『こういうふうに行動するんじゃないか』というイメージが明確に見えて、スラスラ書けました。大和に関しては、ほとんど改稿もしなかったんです」

 一方、自身の実体験に近い蓮の描写には苦労した。自分に近い人物だからこそ、客観的に描くことが難しかったという。

「自分のことを書くなら、スラスラと昔話を書けばいい。でも、これはフィクションなので、『俺だったらこうするけど、蓮だったらどうするかな』と立ち止まることが多かった。自分に近い人物を俯瞰して書くのは、意外と難しかったです」

夢をかなえたという実感はないと語る【写真:藤岡雅樹】
夢をかなえたという実感はないと語る【写真:藤岡雅樹】

作品のタイトルは「プレゼントのように言葉が浮かんできた」

 作中には、芸能界の華やかな表舞台の裏側も描かれている。ライブ終演後に業界関係者があいさつに訪れる「たまり面会」の描写について、岩谷は「僕もちょっとこだわった部分」と明かす。

「実際、疲れているんです。それも文学というか、小説だから昇華できるなと。逆に描かなかったらリアルじゃないですし、どこまでもきれいな人間なんていない。でも、それは僕じゃないですからね。蓮ですから(笑)」

 イヤモニ(イヤーモニター)についても、率直な感覚を明かした。

「イヤモニはとても踊りづらいんですよ。僕は毎回つけないんです。スタッフさんからは『音がズレる』と言われて嫌がられるんですけど、僕は嫌なんです。本来、イヤモニをつけながら踊るダンサーなんていない。なんだか自分が作り物になったような気がして、すぐに取ってしまうんです」

 こうしたディテールにこそ、現役ダンサーである自分が小説を書く意味があると考えている。

 物語の根底にあるのは、夢をかなえた先に何があるのかという問いだ。東京ドームに立つという大きな目標を達成した岩谷だが、夢をかなえたという実感はないという。

「まず、自分が夢をかなえたという実感は全くないです。これはきれい事じゃなく、本当に思っています」

 東京ドーム公演を終えた時も、1つの目標を達成したという思いはあった。しかし、すぐに次の目標が見えた。

「また大きな次の階段が見えますから。そこで満足したら、もう終わっちゃいますし、つまらないですよね」

 小説の蓮も、華やかな世界で成功を収めながら、心のどこかに満たされない思いを抱えている。

「夢をかなえることが人生のゴールじゃなくて、その先でどう生きるのか。失ったものを無理に忘れるのではなく、それを抱えながらでも日常を生きていく。そんな蓮の姿に、自分自身を重ねてもらえたらうれしいです」

『一人分の夜を生き直す』岩谷翔吾(幻冬舎)
『一人分の夜を生き直す』岩谷翔吾(幻冬舎)

 なかなか決まらなかった作品のタイトルは、原稿を書き終える直前に生まれた。

「最後から2行目に『一人分の夜を生き直している』という言葉がポンと出てきたんです。その瞬間、『あ、俺が思っていた、言語化できなかった言葉ってこれだったんだ』と。プレゼントのように言葉が浮かんできて、自分自身が一番すっきりしました」

 編集者も賛同し、『一人分の夜を生き直す』というタイトルに決まった。

 数万人の熱狂と、1人でカップ麺をすする深夜。華やかな舞台に立つ岩谷が見つめたのは、夢をかなえた先にも続く日常だった。その実感が、新たな物語を生み出した。

□岩谷翔吾(いわや・しょうご) 1997年3月11日生まれ、大阪府出身。LDH JAPAN所属。2014年開催のオーディションを経て、THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのパフォーマー正式メンバーとなる。26年からはEXILE B HAPPYのメンバーとしても活動。俳優として映画『HiGH&LOW』シリーズや『チア男子!!』、ドラマ、舞台など多数の作品に出演するほか、朗読劇の脚本や演出を手がけるなどクリエイターとしても多彩に活躍。実用マナー検定準1級の資格を持ち、読書情報誌などでブックレビュー連載も担当していた。24年、書き下ろし小説『選択』で作家デビューを果たす。

ヘアメイク:上野綾子
スタイリスト:shuhei

衣装クレジット
Jacket: vintage 80’s Giorgio Armani stripe double breasted tailored jacket
2万4500円+tax/NOILL
Shirt: vintage euro metalic stripe shirt
1万2500円+tax/NOILL
Pants: vintage wide flare trousers
2万6800円+tax/NOILL
Shoes: Go Go Darlin’× kids love gate dress shoes
5万9800円+tax/Go Go Darlin×kids love gate
Necklace: Marland Backus Blossom Bolo
2万7800円+tax/Marland Backus

書影クレジット
『一人分の夜を生き直す』岩谷翔吾(幻冬舎)
幻冬舎HP
https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344046108/

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