相次ぐ豪雨被害、“水害保険”の内情は? 「入っているだけではダメ」交渉で800万円→2500万円に増額

全国各地で記録的な豪雨被害が相次いでいる。水害発生の際に気になるのが、家屋や車などの保険の適用範囲。実際のところ、どこまで補償されるのか。過去に2度、自宅が床上浸水の被害に見舞われたという九州在住の70代男性に、詳しい話を聞いた。

各地で大規模な水害が相次いでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】
各地で大規模な水害が相次いでいる(写真はイメージ)【写真:写真AC】

過去に2度の床上浸水…備えや保険の面では教訓も

 全国各地で記録的な豪雨被害が相次いでいる。水害発生の際に気になるのが、家屋や車などの保険の適用範囲。実際のところ、どこまで補償されるのか。過去に2度、自宅が床上浸水の被害に見舞われたという九州在住の70代男性に、詳しい話を聞いた。

 九州地方で息子夫婦や孫、愛犬のゴールデンレトリバーなど、一家6人と1匹で暮らす70代の男性は、過去2回、床上浸水の被害に遭遇。1度目は夜間の豪雨により、自宅敷地内の駐車場に止めていた高級セダンやミニバンなど自家用車4台が水没、いずれも廃車になったという。

「テレビで各地の豪雨被害を見ていて思うのが、車に対する意識の低さ。うちも4台水没させて反省したんですが、みんな意外と車に対する考えが甘い。アンダーパスを無理に通ろうとするのも本当に危険。冠水したところに無理やり入って水没した車は保険が出ないケースもあると聞きました」

 男性家族の場合、1度目の被災当時から4台とも車両保険に加入。そのうち、納車3か月ほどで新車同然だった2台は全額が支給されたが、購入してから時間がたっていたあとの2台は保険金だけでは足りず、買い替えの際には相応の自己負担が発生した。予想外だったのは、一帯全域で車が水没したため、車が足りなくなり代車がなかなか手配されなかったこと。被災直後は購入もままならず、数か月先まで日々の生活に大きな影響があったという。

「最初は水害を想定していなかったので、火災保険も水害への備えが薄いタイプで、床上55センチの浸水でも保険金は57万円しか出ませんでした。ただ、近くの工場から油が流出する人災が重なり、国から大規模半壊に認定された。200万円ほど補助金も出ましたが、まあそれでも焼石に水でしたね」

 数年後、再び豪雨に見舞われ被災。2度目の水害では浸水範囲が床上110センチと、前回の倍近い高さに達した。前回の教訓を踏まえ、車は雨の降り始めから高台に避難、火災保険も水害対応タイプに切り替えていため2500万円ほどの保険金が出たが、家の中の被害は甚大だった。壁の全面張り替えや電化製品の買い替えなどで出費がかさみ、実際の修復費用は保険金だけではとても足りなかったという。

「家財保険には上限があって、古い家だったこともあり、仏壇や桐のタンスはクリーニング費用だけでそれぞれ100万円、2台あった給湯器も1台100万円、8台あったエアコンも全部買い替えで、1台20~30万円ほどかかりました。エアコンは室外機の浸水でも壊れるので、今はすべて高い位置に設置し直しています」

保険会社の当初の査定は800万円も、業者が交渉に加わり最終的に2500万円まで増額

 最も費用がかさんだのは建材だ。

「水に浸かったドアは見た目がそのままでも、板が反ったりゆがんだりして開かなくなるんです。壁も浸水の深さに関わらず、床から天井まで全て張り替える必要がありました」

 さらに、頭を悩ませたのが被害判定の基準だ。2回目は1回目より浸水がひどかったにもかかわらず、前回の油被害のような人災要因がなかったため「中規模半壊」の判定にとどまった。「地震と違い、水害はじわじわと浸水するだけで、建物の柱がゆがんだりしないため、被害判定が低くなりやすいんだとか」。国からの補助は前回のほぼ半額、100万円程度だったという。

 保険会社の査定についても「やっぱり調査員は、なるべく保険金を抑えるよう査定してきますね」と率直な思いを口にする。2度目の水害では、当初保険会社から提示された金額は800万円。しかし、懇意にしていた建設会社が「800万円ではとても修復できない」と詳細な見積もりと設計図を作成して交渉に加わってくれた結果、最終的に2500万円まで増額されたという。「保険は入っているだけではダメ。しっかり交渉してくれる業者が間に入るかどうかが大きい」。掛け金についても、ある程度高い保険会社ほど査定が手厚く、掛け金の安い共済などはそれなりに厳しい査定になる傾向があったという。

 家屋の片付けにも苦労した。高齢者が多い地域だったため、床下の掃除などを手伝ってくれたのはボランティアの人たち。浸水後はカビと臭いが最大の悩みで、床からはきのこが発生した。

「最初の復旧作業で大事なのは、水で徹底的に洗い流し、そのあと完全に乾燥させること。汚物や泥が入り込んでいるので、中のものは基本的に全部出して、汚れたものは思い切って処分するしかない。すぐに購入した高圧洗浄機が一番役に立ちました」

 いつどこで大規模な水害が発生してもおかしくない昨今。家屋・家財・車両それぞれの保険内容を見直し、適切な備えをしておくことが求められている。

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