罪深い高カロリー炭酸が異例ヒット、若者向けでも40~60代男性も支持 「想定以上」飲み方にメーカー驚き
サントリービバレッジ&フードが3月に発売した炭酸飲料「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」が、発売150日で出荷本数1億本を突破した。令和以降に発売したサントリーの飲料新商品の中で最速だという。健康志向が高まり、摂取カロリーを気にする人が増える中、同商品は600ミリリットルペットボトル1本で336キロカロリーという高カロリー。まさに「ギルティ(罪深い)」な飲料だ。なぜ、健康志向の時代に大ヒットしたのか。同社の担当者に見解や開発の経緯などを聞いた。

発売1週間で2000万本 若者の「炭酸離れ」から生まれた“罪の味”
サントリービバレッジ&フードが3月に発売した炭酸飲料「ギルティ炭酸 NOPE(ノープ)」が、発売150日で出荷本数1億本を突破した。令和以降に発売したサントリーの飲料新商品の中で最速だという。健康志向が高まり、摂取カロリーを気にする人が増える中、同商品は600ミリリットルペットボトル1本で336キロカロリーという高カロリー。まさに「ギルティ(罪深い)」な飲料だ。なぜ、健康志向の時代に大ヒットしたのか。同社の担当者に見解や開発の経緯などを聞いた。
「ギルティ炭酸 NOPE」は、完熟フルーツやスパイスなど99種以上のフレーバーを組み合わせた「甘濃い」炭酸飲料。甘味や酸味だけでなく、塩味、苦味、うま味も取り入れ、あえて「○○味」とは決めていない。黒とマゼンタを基調にしたパッケージも強烈な印象を放つ。
カロリーは600ミリリットルペットボトル1本で336キロカロリー。同じサントリーの600ミリリットル炭酸飲料と比べても、「ペプシ〈生〉BIG COLA」は276キロカロリー、「C.C.レモン」は216キロカロリーで、NOPEの高カロリーが際立つ。
発売前には、生田斗真、鈴鹿央士、アントニーが囚人役で登場するCM「ギルティ監獄」篇を展開。新商品CMの舞台が「刑務所」という異例の内容で話題を呼んだ。発売後はわずか1週間で出荷2000万本、50日で5500万本を突破した。
開発の出発点には、若者の「炭酸離れ」があったという。
「炭酸飲料市場では、近年特に若年層の流入減少が課題となっていました。そうした中で着目したのが、現代人のストレス実態や、ストレスとの向き合い方の変化です」
開発時の調査では、若い世代を中心に、一人で動画やゲームを楽しみながら気持ちを緩める「ストレス溶解」とも言える過ごし方が広がっていることが分かった。
「普段は我慢をしつつも、たまに欲望を解放して好きなこと(ギルティ消費)に没頭する、ということがポイントになりそうだと分かりました」
そうした若い世代の過ごし方に加え、健康志向を反映するヘルスケアフード市場が拡大する一方、その対極にある「ギルティフード」市場も伸びていることから、「ギルティ炭酸」という新カテゴリーの開拓に踏み切った。
近年は、背脂たっぷりのラーメン、食べ応えのある肉料理、チーズをふんだんに使ったパスタ、生クリーム山盛りのスイーツなど、自分へのご褒美として“背徳感”を楽しむギルティグルメが人気だ。飲料では、女性を中心に、スターバックスのホイップクリームをたっぷり使ったフラペチーノなどが背徳感のある「ご褒美系」として定着している。
しかし、コンビニや自販機で気軽に買える炭酸飲料で、高カロリーや背徳感を打ち出し、男性層に訴求しやすい商品はあまりなかった。健康志向の裏でギルティグルメブームが起きたが、男性に支持されやすい「背徳感飲料」のポジションがぽっかり空いていた。「NOPE」は、そんな隙間にぴたりとはまったともいえる。
味をめぐり賛否も…「多くの方に関心を持ってお試しいただけた結果」
「NOPE」は発売直後から大きな反響を呼んだ。
「『ギルティ炭酸』というコンセプトや、ブラック×マゼンタのカラーリング、ブランドアイコンを通じた世界観が、多くのお客様の関心につながったと考えています。また、お客様がSNSなどで自発的に楽しみ方や感想を発信してくださったことも印象的でした」
SNS上では「何味か分からないけどうまい」「クセになる」といった好意的な意見が上がったが、「甘すぎる」といった声やカロリーの高さに困惑する声もあり、賛否が飛び交った。これについて、担当者は「味わいについてもさまざまなご意見をいただきましたが、それだけ多くの方に関心を持ってお試しいただけた結果だと受け止めています」と前向きに話す。
購入者について、担当者は「炭酸飲料全体と比べて男性の割合が高く、特に若年男性を中心にご支持いただいています」と説明。一方、40~60代の男性からも平均以上の支持があり、男性では年代が上がるほどヘビーユーザー率が高い傾向も見られたという。
「コーラ飲料や透明炭酸飲料などの炭酸飲料からの流入に加え、炭酸飲料と関与が薄い無糖茶や果汁飲料などの炭酸飲料以外のユーザーからも流入が見られました」
特定のカテゴリーに偏らず購入者が流れ込んだことで、担当者は「『ギルティ炭酸』という新たな価値提案で需要を開拓することができたのではないか」とみている。
1億本の次に問われる「定着」
想定を超えるほどの爆発的なスタートダッシュは、ユニークなコンセプトや広告を受け、消費者が「一度飲んでみよう」と試してみた結果ともいえる。ただ、出荷1億本という数字は、トライアル需要だけでは届かないだろう。
「1億本突破は、発売当初の話題性に加え、多くのお客様に繰り返しご購入いただいた結果であり、大変ありがたく受け止めています」
発売当初に話題を集めた飲料が、数年で消えてしまうケースも少なくない。今後の課題は「定着」だ。担当者は「まだ発売から間もないブランドであり、さらなる成長の余地があると考えています」としたうえで、今後もコミュニケーションやキャンペーンを通じて「『ギルティ炭酸』という新たなカテゴリーの定着を目指していきます」とした。
飲み方にも想定外の広がりがあった。当初は「一人でダラダラ過ごしながら」「動画やゲームを楽しみながら」「ギルティフードを食べながら」といった場面を想定していたが、お酒の割り材や調味料として使う、アイスと合わせるなど、SNSなどで新たな楽しみ方が自然発生している。
「お客様自身が新たな楽しみ方を発信してくださっていることは想定以上でした。多くの方に『NOPE』を自分事として楽しんでいただけていることをうれしく思っています」
猛烈な勢いで出荷1億本まで駆け上がった「NOPE」。ここから炭酸飲料の「定番」となることができるか。「ギルティ炭酸」の次の勝負が始まっている。
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