祖父が初代プリウスを残して突然他界、約束果たせず…仏壇に報告した孫 受け継いで12年「乗り続ける」

「祖父を助手席に乗せてドライブするのが夢でしたが……」。小学5年生の夏、祖父から「免許を取ったら譲ろう」と約束された初代プリウス。だが、約2年後、祖父は突然他界した。まだ運転できなかった孫に代わり、車を引き継いだのは父だった。それから約6年後、免許を取得した孫へ。新車登録から24年、走行距離36万キロに到達した一台は今も現役だ。祖父→父→孫と受け継がれたマイカーの物語は、SNSで大きな反響を呼んだ。祖父との約束や車を守り続けてきた家族の思いに迫った。

祖父が2002年に新車で購入し、現在は孫が受け継いで乗り続ける初代トヨタ・プリウス【写真:本人提供】
祖父が2002年に新車で購入し、現在は孫が受け継いで乗り続ける初代トヨタ・プリウス【写真:本人提供】

21年前に祖父と小5の孫が交わした約束

「祖父を助手席に乗せてドライブするのが夢でしたが……」。小学5年生の夏、祖父から「免許を取ったら譲ろう」と約束された初代プリウス。だが、約2年後、祖父は突然他界した。まだ運転できなかった孫に代わり、車を引き継いだのは父だった。それから約6年後、免許を取得した孫へ。新車登録から24年、走行距離36万キロに到達した一台は今も現役だ。祖父→父→孫と受け継がれたマイカーの物語は、SNSで大きな反響を呼んだ。祖父との約束や車を守り続けてきた家族の思いに迫った。

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「メインカーが我が家に来て今日で24年を迎えました」

 SNSにこう投稿したのは、祖父が新車で購入した初代プリウスを受け継ぎ、現在も乗り続けている30代男性だ。家族3代にわたって1台をつないできたエピソードは注目を集めた。

 愛車は、2002年8月に初度登録された初代プリウスの後期型「Sナビスペシャル」。祖父が71歳の時に購入したもので、当時、投稿者は8歳だった。

 実は、このプリウスに最初にほれ込んだのは、祖父ではなく投稿者の父だった。

 1998年末、父は当時乗っていたタウンエースノアからの乗り換えを検討。トヨタ車を中心にさまざまな車種を試乗するなかで初代プリウスに乗り、その滑らかな乗り味や快適なパッケージングに魅了されたという。

 しかし、ベースグレードでも215万円。当時38歳だった父には手が届かず、約120万円の別の車を購入した。

 それでもプリウスを諦めきれなかった父は、当時カローラに乗っていた祖父に購入を勧めるようになった。

 祖父は当初、まだ新しかったハイブリッドシステムに不安を感じ、なかなか乗り換えには踏み切らなかった。その後、大規模なマイナーチェンジや海外輸出が始まったことから、父は信頼性も高まったと考え、説得を続けたそうだ。

 やがて祖父が実際に試乗すると、その乗り味に一目ぼれ。02年8月26日、初代プリウス最終型にあたる後期型のSナビスペシャルを購入した。

「祖父は生涯最後の車にしたいということで、コーナーセンサーやフルシートカバー、HIDヘッドライトなど、販売店オプションを多く選択しました」

 当初は上位グレードのGナビスペシャルを検討していたが、オプションを追加すると予算の400万円を超えたため、Sナビスペシャルへ変更。最終的な価格は約380万円だったという。

 投稿者も納車当初から、丸みを帯びたデザインや滑らかな乗り心地が気に入り、強い愛着を抱いていた。家族旅行でも、父の車ではなく祖父のプリウスで出かけたいと希望するほどだったそうだ。

 60歳で苦労して運転免許を取得した祖父は、運転が大好きだった。プリウスに投稿者を乗せ、鳥取砂丘や紀伊半島一周など、さまざまな場所へ連れて行ってくれたという。

 そして投稿者が小学5年生、11歳だった夏。最初の車検を終えた帰り道で、祖父から忘れられない言葉をかけられた。

「祖父が『この3年間、一緒にいろんなところへ行って愛着もあるだろうから、将来免許を取ったら譲ろう』と言ってくれました。自分はとてもうれしくて、周囲の人にその話をしたことを覚えています」

新車登録から24年を迎えた初代プリウスの車内。「祖父を助手席に乗せてドライブするのが夢でした」と振り返る【写真:本人提供】
新車登録から24年を迎えた初代プリウスの車内。「祖父を助手席に乗せてドライブするのが夢でした」と振り返る【写真:本人提供】

祖父が突然他界…13歳の孫に代わり、父が取った行動

「しばらく何が起きたか分からず、呆然とする日が続きました」

 約束から約2年後の07年11月、祖父は76歳で突然他界した。投稿者はまだ中学1年生。当時13歳で、プリウスを運転できる年齢ではなかった。

 気持ちの整理がついた頃、真っ先に思い浮かんだのは、祖父と乗り継ぐ約束をしたプリウスのことだったという。

 しかし、投稿者が車について何かを口にする前に、父がプリウスを引き継いでいた。祖父と孫が交わした約束を、家族も覚えていたのだ。

 祖父の死から約6年後の14年2月18日、投稿者は運転免許を取得。小学5年生の時に交わした約束を果たすため、父からプリウスを受け継いだ。当時の走行距離は約12万キロだった。

 約束を交わした日から約9年。ようやく自らハンドルを握れる日を迎えたが、どうしてもかなえられなかった夢があった。

 祖父を助手席に乗せてドライブする夢はかなわなかった。それでも、プリウスを受け継ぎ、祖父との約束を果たせたことを仏壇に報告したという。

24年で36万キロに到達、走行不能は一度もなし

「今でも20キロ/リットルを切ることのない低燃費を出しつつ、日々元気に走ってくれています」

 投稿者がプリウスを受け継いでから12年。今年5月には、走行距離36万キロに到達した。

 長く乗り続けるため、家族はこまめなメンテナンスを欠かしてこなかった。エンジンオイルやフルード類を定期的に交換し、車齢20年を迎えた際には、足回りの部品や駆動用バッテリーも取り替えたという。

 もちろん、故障がまったくなかったわけではない。インバーター用ウォーターポンプや、駆動用バッテリーを制御するコンピューターの故障を経験した。後者の修理には約25万円かかったという。

 それでも、いずれのトラブルでも自走でき、深刻な故障で走行不能になったことは一度もない。新車登録から24年を迎えた現在も、初代プリウスは元気に走り続けている。

 祖父と乗り継ぐ約束をして21年、乗り継いで12年になる。今後、どこまで乗り続けるのか。投稿者の答えは決まっている。

「自分が免許を返納するまで乗り続けるのが夢です」

 小学5年生だった少年が祖父と交わした約束は、父から受け取った1台のプリウスとともに、今も続いている。

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