自前の“教習車”はまさかの昭和3年製…しかも妻が自宅敷地内で練習 戦前ロールス・ロイスに驚嘆

自宅敷地内で使われる“教習車”が、まさかの戦前の旧車だった。ノスタルジーただようSNS投稿の背景には、何があったのか。投稿者に話を聞いた。

昭和3年製の旧車、ロールス・ロイスのTwenty【写真:投稿者提供】
昭和3年製の旧車、ロールス・ロイスのTwenty【写真:投稿者提供】

約100年前製造の名車「Twenty」には哀愁ある現代車との違いも

 自宅敷地内で使われる“教習車”が、まさかの戦前の旧車だった。ノスタルジーただようSNS投稿の背景には、何があったのか。投稿者に話を聞いた。

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「免許取得中の妻が自宅の敷地内にて、戦前ロールスロイスで運転の練習を行いました。初めて、この車がホイールスピンする姿を見て私は感激しました」

 7月28日、SNSにアップされたのは哀愁を感じられる投稿。共に掲載された写真では、街灯に照らされた夜道で“戦前ロールスロイス”がたたずむ。

 投稿したのは、クラシックカーファンにはなじみ深い埼玉県加須市の旧車博物館「WAKUI MUSEUM」で館長を務める31歳のW.K.Bさん(@WcCartney)だ。現在の愛車は、昭和3(1928)年に製造されたロールス・ロイスのTwenty。歴代のロールス・ロイスを乗り継いできたというW.K.Bさんは「Twentyは同社初の小型モデルで、シルバークラウドやシルバーシャドウ、ゴーストなどにつながる系譜。メーカー創業者のヘンリー・ロイスが生きていた時代の車に乗れば『どのような理念で車を作りたかったのか』が分かると思い、購入しました」と、愛車とのなれそめを話す。

 約100年前に製造された伝説の名車を“教習車”として使用しているのは驚きだが、その経緯について「同い年の妻は免許のいらない生活をしていたのですが、昨年、車がないと生活が不便な地域に引っ越したので、なかば強制的に教習所に通わせたんです。教習所で学びはじめると運転が楽しくなってきたようで、それなら『運転してみれば?』と妻に話したら、堂々とTwentyでの練習をはじめました」と、W.K.Bさんは明かす。

 ところで、気になるのは投稿にあった「初めて、この車がホイールスピンする姿を見て私は感激しました」の一文だ。愛車のTwentyはエンジンをかける際に「チョークレバーを動かし、点火時期を合わせて、スターターを回しながら任意の位置で点火時期の設定をする必要があります」と特徴を伝えるW.K.Bさん。走行時の操作性も現代車と違い「すべてのギアに(ギア同士をなめらかにかみ合わせるための)シンクロメッシュ機構がないので、クラッチを切って数秒待たなければ1速に入れられないんです。現代車の感覚でギアをつなげると“ガツン”と連結して駆動輪に一気に力がかかってしまい、それがホイールスピンの原因になりました」と話す。

 奥様は現在も教習所に通っているが「もうすぐ“仮免”の試験とのことで、Twentyの操作性に慣れ過ぎてしまうと変なクセが付いてしまうので、自宅敷地内での“教習”は中断しています(笑)」という。

 SNSの投稿では「現代車に比べ、めちゃくちゃ操作の所作が多いのに乗ってみようと思う事が素晴らしい意気込み!」「映画の1シーンで描かれそうな、大英帝国の上流社会に於(お)ける妻子への運転の手ほどきそのまんま」などの声も寄せられたが、W.K.Bさんは「戦前の旧車は温故知新そのもの。現代車に至るまでさまざまな機構が進化を遂げ、いかに便利になったのかというありがたみが分かります。人の負荷が減ったということは、すなわち『機械が頑張ってくれている』ということですから、車に負荷をかけない運転にも気を配れるようになると思います」と、ロマンあるクラシックカーの魅力を語る。

 戦前の旧車で運転の練習ができるのはぜいたくで、なんともうらやましい。奥様がいずれ免許を取得した日には夫婦そろって、Twentyでのドライブを心から楽しんでほしい。

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