富士山で99歳救助要請が騒動に 年齢に上限、下限はある? 静岡・山梨両県が回答…制限を設けないワケとは
開山期間中の富士山で、99歳の女性が転倒し救助されたとの報道が物議を呼んでいる。今月中旬には、生後約4か月の乳児を連れて標高2000メートル級の高山に登頂したとのSNS投稿が炎上。3年前から入山料の徴収や事前予約制の導入、宿泊を伴わない夜間の弾丸登山禁止など、さまざまな規制を強化している富士山だが、今後年齢による規制を設ける予定はあるのか。「富士山における適正利用推進協議会」事務局を務める静岡・山梨の両県に見解を聞いた。

救助された99歳の女性は毎年富士山に登頂するなど経験豊富で、装備に問題もなかった
開山期間中の富士山で、99歳の女性が転倒し救助されたとの報道が物議を呼んでいる。今月中旬には、生後約4か月の乳児を連れて標高2000メートル級の高山に登頂したとのSNS投稿が炎上。3年前から入山料の徴収や事前予約制の導入、宿泊を伴わない夜間の弾丸登山禁止など、さまざまな規制を強化している富士山だが、今後年齢による規制を設ける予定はあるのか。「富士山における適正利用推進協議会」事務局を務める静岡・山梨の両県に見解を聞いた。(取材・文=佐藤佑輔)
報道によると、今月17日、富士山富士宮ルートの元祖7合目付近で複数人で登山をしていた99歳の女性が転倒。けがをして動けなくなったことから、静岡県警の山岳遭難救助隊などに救助された。女性は毎年、約1週間の時間をかけて富士山に登頂するなど登山経験が豊富で、装備に問題もなかった。
また、今月中旬には生後約4か月の乳児を連れて夫婦で標高2354メートルの四阿山(あずまやさん)に登頂したとのSNS投稿が炎上。車道が開通しておりバスで登れてしまう観光地の富士山5合目が同等の標高であることから、両者を比較した議論も巻き起こった。
相次ぐ救助要請やオーバーツーリズムによる行政負担から、入山料の徴収や事前予約制の導入、宿泊を伴わない夜間の弾丸登山禁止など、近年さまざまな規制を強化している富士山だが、現状年齢制限は設けられておらず、自力・他力を問わず、100歳でも0歳であっても登山は可能だ。2023年には、世界最高齢でのエベレスト登頂記録を持つプロスキーヤーの三浦雄一郎さんが、アウトドア用車いすに乗り同行者に引っ張り上げられながら90歳で富士山登頂。25年には群馬県の男性が102歳51日で登頂し、ギネス世界記録に認定された。
今後、富士山で年齢制限が導入される可能性はあるのか。
静岡県スポーツ・文化観光部富士山世界遺産課の担当者は「現時点で年齢制限を設ける予定はありません。今後、ある年齢以上の救助要請が異様に高いというデータが出てくれば検討することもあり得ますが、今の時点ではそういった予定もありません。年齢よりも、その方の個人的な体力による部分が大きい。極論、トレーニングを積んだ70代の方が、20代よりも安全ということもあります」と説明。
一方、1歳や0歳を連れての子連れ登山など、年齢の下限については「高所に子どもを連れていくリスクを考えれば、当然避けていただくのが望ましい。ただ、年齢の下限についても条例で規制はしていません。上も下も(年齢制限の)可能性がないわけではありませんが、実態として事故が多発しているなどのデータがない限り、行政として規制を設けることはありません」とした。
富士山では、昨シーズンから山梨・静岡一律で入山料を1人4000円に値上げ。担当者によると、以前と比べて家族連れが減ったとの声が多く寄せられているという。
「主に山小屋の方からの声です。入山料には子ども料金がなく、大人も子どもも一律4000円。経済的負担から家族や親子での富士登山が減っているのだと思われます。我々としても、富士山の未来を守っていくためのルール作りであって、富士山に登る機会を減らすことは本意ではない。子どものうちから登るのが悪いわけではありませんし、学校登山などの申請があれば入山料の減免もしています。県の検討会でも子ども料金を導入した方がいいのではないかという意見も広がっており、今後は山梨側とも足並みをそろえて、総合的に判断していきたい」
山梨県観光文化・スポーツ部富士山観光振興グループの担当者も「年齢制限は今のところありません。1歳や0歳で登ることを推奨しているわけではありませんが、富士山の登山道は県指定の公の施設であることから、年齢で制限を設けることはしておりませんし、今後もその予定はありません。家族連れが減っているという声も確かにあり、それが望ましいことだとは思っていない。まだまだ課題はあると感じています」と話した。
100歳から0歳まで、誰もが挑戦できる“日本一の山”は今後どうなっていくのか。国や自治体の判断にも注目が高まっている。
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