石川恋、思春期に不思議な体験 金縛りに加え…「寝てたら小さいおじさんが跳ねてた」

金髪のギャル姿で世間の注目を集めたブレイクから十余年。俳優として着実にキャリアを積み重ねてきた石川恋(32)が、ホラー映画『祝山』(武田真悟監督、6月12日公開)で、見る者を圧倒する芝居を見せている。

インタビューに応じた石川恋【写真:増田美咲】
インタビューに応じた石川恋【写真:増田美咲】

10年ぶりのホラー映画『祝山』に出演

 金髪のギャル姿で世間の注目を集めたブレイクから十余年。俳優として着実にキャリアを積み重ねてきた石川恋(32)が、ホラー映画『祝山』(武田真悟監督、6月12日公開)で、見る者を圧倒する芝居を見せている。(取材・文=平辻哲也)

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「金髪のギャル」の姿で記憶している人も多いかもしれない。石川は2013年、大ベストセラーとなった書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』(通称「ビリギャル」)の表紙モデルに起用され、一躍ブレイクを果たした。

 そこから俳優として着実にキャリアを積み重ね、今回挑んだのが、加門七海のホラー小説を原作とした本作だ。踏み入れてはならない禁忌の場所「祝山」に足を踏み入れた者たちが、逃れられない運命に侵食されていく恐怖を描く。石川が演じるのは、スランプに陥っているホラー小説家・鹿角南(橋本愛)に不穏な手紙を送り、物語の幕を開ける中学時代の同級生・矢口朝子だ。

 ホラー映画への出演は『コープスパーティー Book of Shadows』以来10年ぶり。

「普段ホラーというジャンルは得意ではないので、今回オファーしていただいたのはすごく新鮮で、新しい挑戦だと思いました」と振り返る。台本を開き、心ひかれたのは役柄が持つ変貌ぶりだった。

「脚本を読んで、矢口という役がどんどん変貌していく異質さがあり、キャラクターとしてすごくやりがいがありそうなところが1番の魅力に感じて、ぜひやらせていただきたいと思いました」

 肝試しに行ったことで禁忌に触れ、恐怖に感染していく役で、「とにかく難しかったです」と苦笑いを見せつつ、「自分自身は心霊体験をしたことがなく想像がつきづらかったので、見えない恐怖がどういうものなのかというところから考え始めました」と役作りのアプローチを明かす。

 行き着いたのは、触れてはならない禁忌と人間の執着の関連性だった。「矢口の『生きることへの執着心みたいなものが少しずつ失われていく』ところが見えない恐怖を表現できると考えました。完全に浸食された状態や、それを超えて生の執着を手放した状態など、その塩梅をとにかく考えながら重ねていきました」と語る。

 撮影は順撮りではなく、初日が穏やかなファミレスのシーン。ところが2日目には、早くも禁忌に侵食された感情マックスのシーンが待っていたという。

「ここからクランクインか、という状態でしたが、マックスの状態を監督やプロデューサーの方と相談しながら最初に持ってこれたことが、逆に大きくて乗り越えられたのかなと思います」と、ハードな現場を前向きに捉えていた。

“ビリギャル”書籍の表紙でブレイク【写真:増田美咲】
“ビリギャル”書籍の表紙でブレイク【写真:増田美咲】

共演の橋本愛とは「初めましてでした」

 劇中では主人公・鹿角(橋本愛)を不穏な運命へと引きずり込んでいく矢口だが、橋本とは撮影裏でチャーミングな時間を共有した。

「初めましてでしたが、もちろんずっと作品を見ていた俳優さんなので共演はすごくうれしかったです」と声を弾ませる。「劇中ではギスギスしているのに、撮影以外の時間はずっと楽しくおしゃべりしていました。同じアーティストが好きで、撮影の待ち時間に外の寒い道で2人で踊ったりもしました」という意外な裏側も明かしてくれた。

 都内近郊で行われた撮影は泊まり込み。霊感がないと語る石川も、重いシーンの後は「お風呂にお塩を入れたりして、清めるというか切り替える意味でみんなの真似をしてやっていました」と見えない恐怖への対策は怠らなかった。それでも、自身の一番怖かった体験を尋ねると、「住んでいた場所がいろいろあって、思春期の頃は金縛りがいっぱいありました」と不思議なエピソードが飛び出した。

「自分の部屋で寝てたら小さいおじさんが跳ねてたり、下から這い上がってくるような感じがしたり、母親に『学校行ってくるね』と言ったら『え、さっき言いに来たじゃん、なんでまだいるの』と言われたりしました」と淡々と語る。

 完成した作品を見て、石川は「ホラー映画でありつつ、鹿角と矢口の2人の話でもあるな」と感じたという。特に印象深いのは、終盤に訪れる「一緒に帰ろう」と呼びかけるシーンだ。「あのシーンは、すごく好きです。やっと少し心が繋がれたような、わずかな温かみがあそこにはあったと思うんです」。

 しかし、そのかすかな光さえも、祝山の闇は無慈悲に飲み込んでいく。「温かみを感じたからこそ、その後に訪れる展開がこの映画最大の切なさであり、怖さの『肝』。脚本で読んだ時よりも、映像ではじわじわとまとわりついてくるような気持ち悪さを強く感じました」。そう言って作品の余韻を噛み締める石川に、住んでいた場所の「その後」について尋ねてみた。

「今思えば、いろいろそういうものがあったのかなと思います」。映画のスクリーンを降りても、得体の知れない“何か”は案外、私たちの日常のすぐ隣で静かに口を開けて待っているのかもしれない。

□石川恋(いしかわ・れん) 1993年7月18日生まれ、栃木県栃木市出身。2013年、書籍『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』の表紙モデルに起用されブレイク。17年から22年まで女性ファッション誌『CanCam』の専属モデルを務める。俳優として映画『マスカレード・ホテル』(19年)、『ぐらんぶる』(20年)、ドラマ『東京タラレバ娘』(17年、日本テレビ)、『silent』(22年、フジテレビ)など多数の話題作に出演。今年はドラマ『ゲームチェンジ』(BS-TBS)、『ディープリベンジ -顔を捨てた家政婦-』(読売テレビ)のほか、映画『黄金泥棒』に出演。

ヘアメイク:野由梨乃
スタイリスト:金野春奈
衣装協力/THE silhouette、Sorbet、SYKIA、ダイアナ

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