数千万円の裁判沙汰にDV離婚 うさたにパイセンが辿り着いた7DKの古民家山暮らし生活

「人間ってヤベェな」。そう笑い飛ばすギャルのカリスマ“うさたにパイセン”こと岩本紗也加(31)の20代の数年は、金銭トラブルにスピード離婚とあまりにも波乱万丈だった。インタビュー後編では、東京を離れてたどり着いた現在の「山暮らし」と、根底に流れるピュアな思いを聞いた。

インタビューに応じたうさたにパイセン
インタビューに応じたうさたにパイセン

スーパーまで歩いて2時間…山へ移り住んだ理由

「人間ってヤベェな」。そう笑い飛ばすギャルのカリスマ“うさたにパイセン”こと岩本紗也加(31)の20代の数年は、金銭トラブルにスピード離婚とあまりにも波乱万丈だった。インタビュー後編では、東京を離れてたどり着いた現在の「山暮らし」と、根底に流れるピュアな思いを聞いた。(取材・文=島田将斗)

 夢のギャルモデルとなった10代は、素行不良などで事務所を解雇されることを恐れ、遊びを封印して仕事に打ち込んでいた。真面目に働く一方で、25歳の年の1年間は飲みの席にも多く参加していた。

「マジで無限に飲んでました。テキーラを飲んで、昼間にYouTubeの撮影行って、またその帰りにお酒飲んでっていう生活を毎日。曜日感覚もなくなっていましたね」

 しかし、そんな日々は突然終わりを告げる。小麦アレルギーによる激しい肌荒れで「モデルを辞めたい」と思うほど顔が腫れ上がり、そんな生活からは遠ざかった。

 体調不良だけではなかった。負の連鎖のように、信じていた人間関係や金銭面でも次々とトラブルが襲い掛かる。前事務所からの数百万円の未払い。友人からの数百万円の持ち逃げに数千万円の裁判沙汰。東京・渋谷の家を出てキャリーバック一つで点々と生活した。

 プライベートでも壮絶な経験をした。出会って1週間で交際し、2週間後にプロポーズされ、2022年12月にスピード結婚。しかし、25年6月には離婚を報告している。結婚期間2年半のなかで一緒にいた時間も少なく、合算すると半年ほどだったという。運命だと思った相手との生活は、思いもよらない方向へ転がっていった。

「普段は本当に優しかったんです。お酒を飲むと、とにかく私の『ギャル』をけなしてくる。飾り物みたいにされて、私が真剣に悩んで泣いていたことも、相手は飲み会でエピソードトークとして笑い話にしていたんです」

 結婚式でゲストからもらったご祝儀を無断で使い込むなどもあったが、決定打となったのはDVとだった。けんかをした際に、腹を殴る、蹴るなどされ「この人との子どもは生めない」と離婚を決意した。

猟師の資格取得も視野に

 華やかなスポットライト、酒と金、そして信じていた人たちからの裏切り。東京という大都会で酸いも甘いも知った“うさたにパイセン”が、行き着いた先は山暮らしだった。

 現在の住まいは、宮大工が建てたという7DKの古民家。東京で仕事がある際には“上京”するような感覚で、取材当日もスーツケースを持参していた。

「朝は太陽とともに起きて、ストレッチして白湯を飲んで。庭のハンモックに揺られながら山を見てコーヒーを飲むんです。近所のおじいちゃんに薪割りを教わったり、自炊したり。夜になったら寝るし、携帯も仕事以外は触りません」

 東京時代はショートスリーパーで常に街に出歩いていた生活は文字通り180度変わった。

 なぜ、山へ向かったのか。その根底には、ギャルになる前の小学2年生の時に抱いた「ユニセフに入りたい」というピュアな夢があった。“うさたにパイセン”は当時からボランティアや地元のゴミ拾いに率先して取り組み、「地球に住ませていただいている」という強い感謝の念を持っている。

 現在はあったか福島観光交流大使も務め、農林水産省の開催するイベントにも積極的に参加している。地方創生や現場のリアルを知るため、「まずは自分で田舎暮らしをしてみよう」と思い立った。

 Googleマップの「緑のところ」にしか住みたくない。仕事のたびに交通費がかかるため、東京から離れすぎずの最適な場所に移り住んだ。

「東京にいると便利すぎて、ありがたみを感じなくなるんです。今は起きた瞬間から『空気吸えてサンキュー』って感謝できる環境。東京で闘って疲れている友達のために、電波を遮断して自分と対話できる『デジデト(デジタルデトックス)』の空間を家の中に作っています」

「すげぇ若い子が来たぞ」。突如として山に現れた、盛り髪に長い爪という生粋のギャルに地域は騒然としたという。

「私はコミュニケーションを取るのが結構好きなので、いろんなところにあいさつしに行きました。福島に帰った時に地酒や『ままどおる』(お菓子)を買って配ったりしました。ストーブ屋のおじいちゃんが私の“推し”で、一緒にお餅を焼いて外で食べたり、職人さんが多いんです。山は全部私が求めていたところだなって」

 今では地域になじみ、猟師の資格取得も視野に入れている。ウーバーイーツもない、スーパーまで歩いて2時間かかる環境で自炊の腕を磨き、たき火をして、近所の高齢者と交流している。「東京では誰かに誘われたらどこへでも行く『フッ軽』」だったが、山暮らしを通じて「誰からも誘われなくなった」。しかしその環境すらも、心から楽しんでいるそうだ。

 心身をすり減らす経験をしても、明るく前を向いている。地方創生という新たな目標を見つけ、自ら山へ飛び込んでいく圧倒的な行動力こそが、“うさたにパイセン”だ。「空気吸えてサンキュー」。山暮らしを選択したからこそ「パワーアップしたギャルを生き生きとやれている」という。大自然と温かい人々に囲まれ、自分の力で生きる姿は「ギャル」そのものと言えるだろう。

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