86歳のレジェンド俳優・柳澤愼一 “遺作”「兄消える」を引っさげ、“第2の故郷”上田に凱旋!

長野・上田で全編ロケした映画「兄消える」(西川信廣監督)が17日、「第23回うえだ城下町映画祭」が開催中の長野・上田文化会館で凱旋上映され、主演の柳澤愼一(86)、ヒロイン役の土屋貴子(53)、プロデューサーの新田博邦氏が登壇した。

150本以上の映画に出演
150本以上の映画に出演

第23回うえだ城下町映画祭

 長野・上田で全編ロケした映画「兄消える」(西川信廣監督)が17日、「第23回うえだ城下町映画祭」が開催中の長野・上田文化会館で凱旋上映され、主演の柳澤愼一(86)、ヒロイン役の土屋貴子(53)、プロデューサーの新田博邦氏が登壇した。

 同映画は、家業の鉄工所を地道に営む弟・鉄男(高橋長英)のもとに、放蕩の限りを尽くした兄・金之助(柳澤)が40年ぶりに帰ってきたことから起こる騒動、兄弟の絆を描く。昨年3月、昭和レトロな面影が残る袋町商店街や千曲川沿いの鉄工所などでロケ。今年5月に全国公開され、TOHOシネマズ上田では10週のロングランとなり、5000人以上を動員した。

 戦後からミュージシャン、俳優として活躍する柳澤は150本以上の映画に出演したレジェンド俳優。米人気ドラマ「奥さまは魔女」のダーリンの吹き替え、近年では「メゾン・ド・ヒミコ」(2005年)、「ザ・マジックアワー」(08年)での出演でも知られ、映画主演は「酔いどれ幽霊」(1958年)以来、約60年ぶり。「本作が遺作」という意気込みで撮影に臨み、「上田に来た時は『ただいま!』ということにしています。20日間もロケした映画はほかにないので、第2の故郷だと思っています。何しろ、遺作に選んだわけですから。『これぞ遺作』と思って演技ができたのは、数ある俳優の中でも私1人だと思っています」とユーモアを交えて挨拶した。

 長野県内では台風19号による大きな被害が出た中、10月26日には長野相生座・ロキシーで公開記念の舞台挨拶を行った。柳澤は「こんな時に映画の舞台挨拶をするのはどうかと思っていましたが、支配人からは『こんな時だからこそ来ていただきたい。千曲川の穏やかな流れを信州の人に見て欲しい』と言われ、感激しました。ずっとお世話になっていた上田の皆さんも、どうしていらっしゃるのかと心配していましたが、皆さんの笑い声を聞いて、安心しました」と話した。

 上田市出身で信州上田観光大使を務める土屋も、「映画を応援してくれた方にも土砂に流れ込んだり、私も1日だけですが、避難もしました。上田は安全な場所と言われ、育ってきましたので、こんなに大きな被害になるなんて……。(上田電鉄の崩落した)赤い鉄橋を見た時にはショックでした」と明かした。うえだ城下町映画祭には初参加で「上田が舞台の映画に出ることは夢でした。上田の皆さんが『兄消える』を自分たちの映画だと思ってくださることをうれしく思っています」と笑顔を見せた。

 柳澤は40年以上腰椎椎間板ヘルニアを患っており、普段は杖なしでは歩けないほど。しかし、映画ではちゃらんぽらんな兄役を演じるため、杖なしで軽妙に演じきった。「痛みをこらえて、奥歯を噛み締めていたら、奥歯の下1本と上2本が折れてしまいました。体はいろんなところにガタが来ていますが、これからも上映イベントに駆けつけたい。公開1年を迎える来年の5月までは生き永らえるつもりです」と話し、会場からは盛大な拍手を受けていた。

 信州上田フィルムコミッションでは、「映画『兄消える』を観て、兄・金之助に手紙を送ろう」というキャンペーンを実施し、約150通が寄せられた。新田氏は「この映画はもともと、羽田空港近くの蒲田で撮る予定でしたが、ロケハンで訪れた上田をひと目で気に入ってしまいました。映画業界では、ご当地映画は成功しないと言われますが、上田の方々が一丸となって支えてくれ、いい成功例になったと思います」と胸を張っていた。

次のページへ (2/2) 土屋貴子らに囲まれ元気な姿を見せた
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