大ブレークの奈緒 無名時代を支えてくれたのは高校時代からの親友
「幻の花魁じゃないけど、幻の角川春樹みたいな存在」
――役との共通点は見つけながら演じますか?
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「まずは共感できる部分やト書きの一つでも自分に近いものがあるかどうかを最初に探します。私にも、学生の頃からの友達が自分の中の大きな支えになっているので、澪に対する気持ちの一つ一つにはものすごく共感ができました。そこから、なぜ、自分にはない気持ちになるのかとか、違うところを探していきます」
――そのお友達はどういう方ですか?
「福岡の高校時代からの親友です。先に上京していて、会社勤めしているんですが、オーディションを受ける時に泊めてもらったりしました。その子も合否を待ってくれていたのですが、落ちてしまって、友達の前では号泣。よしよししてもらいました。家族は『そんなにつらいなら、やめたら』というので、そんな姿は絶対に母に見せられないんです。友達が仕事で失敗した時は、泣いていたり、お互いで支え合った仲です。友達は私の今の活躍を喜んでくれて、大きな支えになっています」
――大阪から江戸に出る澪と野江にも通じる関係性ですね。角川春樹さんの印象はいかがですか?
「角川映画は『時をかける少女』『セーラー服と機関銃』が好きでした。怖い人とも言われますが、角川映画からは想像もつきませんよね(笑)。実際はとても優しくて、女優を大切にしてくださいます。この作品だけではなく、この作品を経て、どうステップアップするのかまで考えてくださっているんです。原田知世さんとはドラマでご一緒して、お話したんですけども、『すごく優しいよね』と。それこそ、幻の花魁じゃないけど、幻の角川春樹みたいな存在。近くで愛を知られて、すごく幸せでした」
――撮影現場はどんな様子でしたか?
「ものすごく緊張感のある空気の中でも、スタッフさんたちが締めるところは締めて、穏やかに進んでいく。監督と技術部さんとのコミュニケーションがすごく多かったです。私自身は、そんなに撮影日数が多くなかったんでが、その中でもすごく育てられている体感がありましたし、監督はすごくこの映画を愛していることが伝わる瞬間が毎日ありました。モニターを見る時も愛おしそうに見つめていらっしゃって、自分の撮影がないときも、モニターの横で一緒に見させていただきました。私がお芝居している時も、こんな顔で見てくださっていたんだろうな、と思いました。すごく幸せな現場でした」
――出番がない時も、現場でモニターを見るのですか?
「現場が好きなので、邪魔にならなければ、現場にいたいんです。こういうご時世(新型コロナウイルス禍)ではできませんが。自分の出番だけでは、全体を見られることはないので、仲のいい技術部さんがいると、『エキストラでいいので、見せてもらえませんか』と言ったりします。日数が少ない時は事前に見せていただくこともあります。今回は子役が野江を演じるシーンもあったので、子役の方々がどういう演技をしているのか、どういうふうに過ごしているのか、知りたかったので、一緒にご飯を食べに行きました」
――角川監督とは事前にどんな話をしましたか?
「『目で会話をしてほしい』っていうのが一番言われたことでした。その場では『はい』と言ったんですけども、どうやればいいのかと思いました(笑)。自分が発している裏に伝わらない意味が隠されている。そういうことは日常でもあると思うので、その時に抱えている気持ちを素直に持っていてほしいということなんだろうなと思っていました」