落語家、ラジオパーソナリティーの顔も…異色のレフェリーはバイリンガルの才女 大流血の衝撃プロレス観戦でドハマり
あるときは落語家、あるときはラジオパーソナリティー、そしてあるときは東京女子プロレスのレフェリー。東女では初となる専属女子レフェリーの文りんは、様々な分野で活躍している。さらにいうと、多言語を操る才女でもある。その文りんに聴くインタビュー前編は、プロレスと落語にはまったきっかけのお話を。

保護者面談の帰り、偶然見たプロレスに衝撃を受けた
あるときは落語家、あるときはラジオパーソナリティー、そしてあるときは東京女子プロレスのレフェリー。東女では初となる専属女子レフェリーの文りんは、様々な分野で活躍している。さらにいうと、多言語を操る才女でもある。その文りんに聴くインタビュー前編は、プロレスと落語にはまったきっかけのお話を。(取材・文=橋場了吾)
文りんはプロレス好きの母親のもとに生まれた。父親は転勤族だったが、大阪での生活が長く、今も大阪在住だ。
「親が初代タイガーマスクをリアルタイムで見ていて、その時代のプロレスが好きだったんです。ただ私、親の年齢を知らなくて……いまだに免許証を隠されるんですよ(笑)。母親が私の性格からいって『プロレスは絶対好きになるから見た方がいい』と。それで中学生のときですかね、保護者面談が終わってなんばの方に行ってみたら、道頓堀プロレスの旗揚げ戦をやっていまして。たまたま自動ドアが不調かなにかでちょっとだけ開いていたので中を覗いてみたらバンバンやっていまして……『これがプロレスだよ』って言われて、見たくなってお金を払って中に入りました。母はなぜか『どうしてもミラノ風ドリアを食べたい』とサイゼリヤに行ってしまって、一人で見ることになったんですが」
一人行動には慣れていた文りんだが、初めてのプロレス観戦は衝撃の連続だった。
「とある試合で選手が大流血しているのに、周囲のお客さんは助けるわけでもなく真剣に一眼レフで写真を撮っている……次の試合も流血したら、救急車を呼ぼうと思いました。そうしたら次の試合では、レスラーとレフェリーが会話しながら試合が進むような、コミカルな試合になって。そのあとの試合にHUB選手が出てきて、完全にはまりました。自分もそろそろイケメンのアイドルを推す時期が来るのかなと思っていたら、HUB選手という覆面レスラーを好きになってしまいまして(笑)。それから中高生割引を利用して、道頓堀プロレスさんを放課後に一人で見て帰る生活になり、お小遣いをプロレスに費やしまくりました」

日本語より先に英語を話していた幼少期
それから文りんは、ネットでプロレスの情報を漁りまくった。コンビニに売っているようなムック本も読み漁り、新日本プロレス、DDTといった他団体や、女子プロレスも見るようになっていった。その一方で、落語にも興味を持っていた。
「母が英語が苦手で苦労したということで、熱心に勉強させてくれたんです。母は小さい頃からマイケル・ジャクソンのおっかけもしていて、日本のマイケルのライブは全部行っているくらいで。私、純日本人なんですが日本語より先に英語を話すようになったらしくて。幼稚園で初めて日本語に触れる状況で、幼稚園の先生とはジェスチャーで会話をするという。小学校は公立に入学したんですが、ずっと英語で表現することが好きで、たまたまテレビでやっていた“英語楽語”を見て『これだ!』と思って、落語は全然知らなかったんですけど夏休みにやっていたワークショップに行ったんですよ、落語家さんの。そうしたら普通に日本語で『英語ちゃうやん』と落ち込んだんですけど、その会にいらっしゃった、英語落語をしている先生を知っているという方に紹介してもらい、英語落語も始めました」
英語の落語は、日本語ならではの表現を英語風に昇華し、しっかりオチも作る。ちなみに名作『寿限無』も英語で披露するという。
「英訳してもオチの意味が通じる噺に絞るところから始めて、落語の中でも比較的最近の噺はできる範疇で英訳して、ですね。日本語と英語で笑いのポイントが違うのも面白いところです。また、少しでも英語へのきっかけになればいいなという思いで、自分で開発したバイリンガル落語にも取り組んでいます。英語が苦手な方でも、バイリンガル落語だったら入りやすいと思いますし、英語に自信を持っていただけたらなという気持ちも込めてバイリンガル落語に取り組んでいます」
文りんは大学に進学後、落語研究会には入らずプロレス同好会に入り、リングアナウンサーとレフェリーを兼任することになった。それでも落語でも学生の大会で多くの賞を受賞した。
「落語の大会に出るときに、所属が落研ではなく“同志社プロレス同盟”と書いていたので、事務所局から確認の電話がかかってきたこともありました(笑)。(受賞については)本当に運が良かったというのもあるんですけど、落研所属ではないことが逆に新鮮に映ったのかなとは思いますね」
(28日掲載の後編へ続く)
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