「負けていないのは東京女子への愛」鈴芽、4年4か月ぶり再会の同期・MIRAIから至宝奪還へ

2019年に東京女子プロレスでデビューした鈴芽は、4年4か月ぶりに戻ってきた同期・MIRAIの指名を受ける形で3月29日の両国国技館大会でインターナショナル・プリンセス王座に挑戦する。目指すは同王座の2度目の戴冠だが、一度巻いたことのあるベルトだけにその思いは相当なもの。その鈴芽へのインタビュー後編は、インターナショナル・プリンセス王座にまつわるお話を。

MIRAIとの運命の対決について語った鈴芽【写真:橋場了吾】
MIRAIとの運命の対決について語った鈴芽【写真:橋場了吾】

世代やキャリアに関係なく一緒に東京女子プロレスを作っていきたい

 2019年に東京女子プロレスでデビューした鈴芽は、4年4か月ぶりに戻ってきた同期・MIRAIの指名を受ける形で3月29日の両国国技館大会でインターナショナル・プリンセス王座に挑戦する。目指すは同王座の2度目の戴冠だが、一度巻いたことのあるベルトだけにその思いは相当なもの。その鈴芽へのインタビュー後編は、インターナショナル・プリンセス王座にまつわるお話を。(取材・文=橋場了吾)

 憧れだった辰巳リカ(前編参照)にも勝利し、タッグでも実績を残してきた。インターナショナル・プリンセス王座も獲得した鈴芽。

「自分なりに駆け抜けてきましたけど、根っこはずっと変わっていないなと思います。東京女子プロレスが大好きで、ここで戦いたい、ここで生きていたいという思いはずっと変わらないです。その中で、インターナショナルのベルトを持った経験は大きくて、私のプロレス人生の中で一番大きな成長ポイントだと思っています。当時は『東京女子が大好き』という思いをもっと広めたかったですし、海外のまだ見ぬ選手ともっと戦いたいという気持ちも強かったですね」

 鈴芽がインターナショナル・プリンセス王座を獲得したとき(2025.1.4後楽園ホール大会)の王者は、荒井優希だった。後輩ながら同年齢、鈴芽よりも先に王座を獲得するなど、鈴芽としては強烈に意識する相手だ。

「優希ちゃんとはずっと勝てなくて、私はライバルだと思っていましたし、優希ちゃんにもライバルだと思ってほしいという思いでしたね。なので、あの日勝ったことで『ライバルだと思ってよね!』という気持ちでした。優希ちゃんが持っていたからこそ(ベルトが)輝いていたと思っていましたし、それに負けないぐらい輝かせるから見ていてね、と思いましたね」

 その日、鈴芽は普段のフィニッシャーであるリング・ア・ベルを、初公開のスプリングボード式で完璧に決めてみせた。

「荒井優希対策として、勝つために考えていた武器のひとつですね。(荒井が)知らないタイミングで飛んでくるというのはヒントかなと思っていました」

 その1年後、今年の“イッテンヨン”(2026.1.4後楽園ホール大会)では、超満員札止め・1500人を超える観衆が見守る中、渡辺未詩の持つプリンセス・オブ・プリンセス王座に挑戦した。渡辺のフィニッシャーであるティアドロップにカウンターで合わせるリング・ア・ベルを初披露するなど大健闘するも、惜しくも敗退。しかし、各所から大絶賛される名勝負となった。

「自分の中でも、あの日(2026.1.4)の自分を超えることが今後の課題だなと思っています。未詩さんのデビュー戦(2018.1.4後楽園ホール大会)はファンとして見ていて、デビュー戦を見た相手がこんなにも強いチャンピオンになっていて、そこに同じ場所である後楽園ホールで私が挑む日が来たんだなと。でも、いわゆる初期メン(中島翔子、山下実優ら)がいたからこそ、この個性的なメンツが集まって引っ張ってきてくれたからこそ、一緒に引っ張りたいという思いで私は強くなってきたんですよ。

 何年か前に『新世代』『世代交代』という言葉を使ってもらうことがあったんですが、ありがたいですけど私はモヤモヤしていたんです。明確にその世代を分ける言葉が、同じ時代に東京女子で私は生きていたいのにという悔しさがあって。一緒に東京女子プロレスを作っていける選手になりたいという思いで追いかけてきて、今も最初から走り続けてくれる選手たちがいるからこそ東京女子があり続けられると思いますし、一緒に作っていきたいという思いがあるんです。その言葉を最初にぶち壊したのが、未詩さんだったんです」

マイクで気持ちを確かめ合ったMIRAI(左)と鈴芽【写真:(C)東京女子プロレス】
マイクで気持ちを確かめ合ったMIRAI(左)と鈴芽【写真:(C)東京女子プロレス】

MIRAIには負けていないこと、『東京女子が大好き』という気持ちは譲れない

 鈴芽がそんな思いを抱えていた日、MIRAIが4年4か月ぶりに東女に帰ってきた。しかも、みちのくプロレス所属の選手として、鈴芽の現パートナーの遠藤有栖からインターナショナル・プリンセス王座を奪ったのだ。

「MIRAIが(インターナショナル・プリンセス王座に)昔挑戦したとき(2021.2.18後楽園ホール大会)の悔しい顔をずっと覚えているんです。それで強くなってあのベルトを手にして……。でも、私は有栖がベルトを失ったことが悔しかった。その一方で、(MIRAIが)ベルトを持っている姿を嫌という気持ちにはなれなかったですね」

 2.14後楽園ホール大会。凍雅を相手にインターナショナル・プリンセス王座の初防衛に成功したMIRAIは、「戦いたい相手がいる」と鈴芽を挑戦者に指名。ほどけかけていた運命の糸が再び絡みだし、3.29両国国技館大会で二人の道が再び交わる。

「正直なところ、私は(MIRAIの)やりたい選手がいるという言葉を絶対に自分だとは思い切れていなかったです。試合中は『凍雅、やったれ!』という気持ちで見ていましたし。試合が終わって、私が戦わなきゃという思いはありましたけど、名前を呼んでくれたから実現した感じです。(リングで二人で向かい合った瞬間は)よくわからなかったですね……その状態になったこともなかったですし、向き合ってマイクで話したことも初めてでしたし。私はいつもマイクで自分の言葉を喋るときには思いが溢れてしまって泣いちゃうことが多いんですけど、この日ばかりは泣いてたまるかと思って堪えていました。MIRAIから直接勝ったことはなかったんですけど、あの頃からずっと負けたくないこと、いや負けていないことが一個だけあって、それが『東京女子が大好き』ということなので絶対に譲れないですね」

 鈴芽がインターナショナル・プリンセス王座に強い思いがあるのは、現王者がMIRAIであることだけではなかった。

「(初戴冠時には)約半年間ですごいハイペースで防衛戦ができて、私らしい駆け抜けた防衛ロードだったなとは思っています。ただ、この先東京女子は海外の試合もたくさんあって、東京女子の選手がインターナショナル・プリンセスのベルトを持っていたいという思いが強くて。やっぱり、大好きな東京女子を世界に知ってほしいからこそ、私が勝ってベルトを巻きます」

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