伊藤沙莉が18歳で味わった挫折 “学生役”で終わらなかった女優人生

お芝居をしていたらなんにでもなれると語った伊藤沙莉【写真:荒川祐史】
お芝居をしていたらなんにでもなれると語った伊藤沙莉【写真:荒川祐史】

壁にぶつかり飛躍遂げる 「このまま学園ドラマをやって、いなくなっていくんだと思っていました」

――今回、伊藤さんが演じたビッケは冒険の中でさまざまな困難に立ち向かっていきます。伊藤さんにとって、これまでにぶつかった一番大きな壁はなんでしたか。

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「18歳の時に事務所を移籍するにあたって、オーディションをいくつか受けました。そこで『学生服を着ているあなたしか想像できない。大人になったあなたに役がくると思えない』と言われて。正直、図星でした。それまでは学生役しかやってこなかったですし、“クラスにいそうな一人”という役でほとんど学園ドラマにしか出てこなかったので。ホームドラマの長女、次女、三女とかでもなかったです。このまま学園ドラマをやって、いなくなっていくんだと思っていました」

――そこから今のご活躍につながるきっかけをどうつかんだのでしょうか。

「ドラマ『GTO』で、今もお世話になっている飯塚健監督とお会いして。本当に根本的で基礎の部分を一から教わりました。現場では撮影部、照明部、美術部、録音部とか。メイク、衣装…色々ある中の俳優部なんだと頭では分かっていても、現場ってなんとなく“俳優部さん”という感じがあるんです。その意識をがっつり正していただけたことで作品作りにおいて、『私も仲間の一人なんだ』という感覚を改めて持てました。

 いじめっ子がいじめっ子という一面しかないわけじゃないように、その一面だけで人間を演じてはダメということも教わりました。すっごく非道で、ぐちゃぐちゃないじめをしている子が、もしかしたら人の心に寄り添って泣いていることもあるかもしれない。ちゃんと“人”を描くということが楽しいなと思うようになって。お芝居が好きで、好きなお芝居ができればいいと自分の中で吹っ切れた感じがありますね」

――その“お芝居が好き”という原動力はどこからきているのでしょうか。

「自分だったら絶対にやらないということをいくらでもできるし、私はもともと将来の夢とかもまったく定まっていなくって。あれもやりたいこれもやりたいって、ドラマを見るたびに将来の夢が変わっていました(笑)最終的に『お芝居をしていたらなんにでもなれるんじゃない?』というところで落ちつきました。欲張りなだけなんですが、それ以外では欲張ることがあんまりないので、これくらいはいいかなと思っています!」

――最後に、映画「小さなバイキング ビッケ」を楽しみにされている皆さんへメッセージをお願いします!

「大人になっていろんな世知辛いものに揉まれていく中で妥協したり、諦めていくことが増えると思うんです。ビッケの夢や目標を一途に思う心だったり、誰にも止められない熱さだったりを『懐かしい』と思える作品ですし、子どもたちはビッケと一緒に冒険を楽しめるようになっています。映像もすごく素敵なので、ぜひ映画館で見てほしいです。幅広い年代の方に楽しんでもらえますし、大事な人と一緒に見ていただけたらいいなと思います」

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