神木隆之介、「ありのまま全力でぶつかる」25周年の俳優生活 芸能界に導いた母の存在

YouTubeチャンネル「リュウチューブ」を開設した【写真:荒川祐史】
YouTubeチャンネル「リュウチューブ」を開設した【写真:荒川祐史】

YouTubeチャンネル開設「自分が好きなことを発信していき、人とコミュニケーションを取っていきたい」

――辞めたいと思ったことはありますか。

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「ないです。ただ、辞めたらどうなるんだろうとは思ったことがあります。でも、どう考えても楽しいなって思っちゃうので、そう思えるうちは続けてもいいんじゃないかなと思っています」

――神木さんの出演作は、ドラマ、実写からアニメ化まで幅広く、これまでの興収をあわせたら、いくらだろうと思えるほどですが、今まで演じた中でお好きな役は?

「(フジテレビドラマの)『家族ゲーム』(13年)の沼田慎一です。すごく大好きです。初めてっていうぐらい、あんな陰湿な人間をやったんですよね。人から『悪魔だ』って言われるような、いわゆるクズ。そのクズを演じられることがすごく楽しかった。いい子が崩れていくのを演じていて、すごく楽しかったですし、吉本荒野先生を演じる櫻井翔君が全力で駆け引きをしてくれたので、僕も全力で駆け引きしました。もちろん、せりふは覚えているんですけども、(櫻井の)せりふを受けて、“吉本荒野という人間は僕に何を言わせたいんだろ”、“多分こうだな、これは言っちゃいけないんだ”。“俺はこういう言おうか”とリアルタイムで考えて言うと、向こうも『いいの、慎一君、そんなことを言っちゃって』と返してくる。編集で短くなっているところはあるんですけども、ちゃんと現場ではそういうお互いの間や駆け引きがあったんです。沼田慎一はすごく忘れられないですね。こないだ再放送を見たんですけど、本当に面白かった」

――すごく順調な歩みでしたが、挫折はありましたか?

「僕自身は、そこまで感じたことがなかったですね。全部楽しかった。もちろん、全くできないものをやらなきゃいけないのは大変でしたけど、『やってやろう』と思うと、すごく楽しいんです。あえて、唯一挫折したことを言うなら、中学生の時の映画の舞台あいさつ、宣伝周りのコメントですかね。事務所の人から、下手くそすぎて怒られましたから。『着地点がない』『まとまりがない』『言っていることがわからないし、定まってない。場数だから仕方ないけどさ、気をつけてね』って。何回も言われましたね。それが挫折かも(笑)」

――この経験があるから、YouTubeチャンネル「リュウチューブ」での語りがめちゃくちゃ面白いじゃないか、と思います。

「ひとしゃべりがめちゃくちゃ大変なんです。覚悟はしていたんですけど、かろうじて自分のチャンネルなんで、なんとかやっています。今でも話し始めると、着地点が分からなくなる人間です」

――6月18日に開設しましたが、きっかけは?

「(新型コロナウイルス禍での)自粛期間中ですね。(芸能界でも)インスタライブをやっている人が結構いたんですが、僕自身はアカウントは持っていないし、自宅からの発信はできないなって思っていました。僕はいつもYouTubeを見ますし、渋谷で見かける(人気YouTuberの)HIKAKINさんの広告の言葉『好きなことで、生きていく』がいいなと思っていました。自分が好きなことを発信していき、人とコミュニケーションを取っていきたいと思ったんです。僕ら役者は人とコミュニケーションはあまり取れないし、そのタイミングがないから、YouTubeでみんなと近くなれる場所があれば、今後の役に立つかなと思いました。だからといって、YouTubeを活動の中心にするのではないんですけどもね。ただ、そういう場所がないとあるのでは違うと思ったんです」

(続く)

□神木隆之介(かみき・りゅうのすけ)1993年5月19日、埼玉県出身。主な出演映画は「妖怪大戦争」(05年)、「桐島、部活やめるってよ」(12年)、「バクマン。」(15年)、「3月のライオン」(17年)。ドラマに日本テレビ系「学校のカイダン」(15年)など。声優としてアニメ映画「サマーウォーズ」(09年)、「君の名は。」(16年)がある。アニバーサリーブック「おもて神木/うら神木」(限定版税込4500円、通常版税込3000円)は9月25日に発売。

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