「維持するだけでお金が…」24歳男性の愛車は“時代に逆行” 「ガソリン代は他の車の倍」も自慢の1台

初めて買う愛車は、人生において記念になるもの。その1台目は、なんと世界的にも注目度を誇る国産旧車だ。運よく話が回ってきて……。ハコスカ乗りになった24歳男性は「とにかくかっこいい」と日々愛情を注いでいる。自動車・バイク好きの父親の背中を見て育ってきた。その父親は「20代でこういう車に乗るのも、楽しくていいことだと思います」と、本当にうれしそう。“愛車物語”は走り出したばかりだ。

ハコスカが自慢の愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】
ハコスカが自慢の愛車だ【写真:ENCOUNT編集部】

「自分ぐらいの年だと、そもそも知らないっていう人ばかり」【愛車拝見#337】

 初めて買う愛車は、人生において記念になるもの。その1台目は、なんと世界的にも注目度を誇る国産旧車だ。運よく話が回ってきて……。ハコスカ乗りになった24歳男性は「とにかくかっこいい」と日々愛情を注いでいる。自動車・バイク好きの父親の背中を見て育ってきた。その父親は「20代でこういう車に乗るのも、楽しくていいことだと思います」と、本当にうれしそう。“愛車物語”は走り出したばかりだ。

トップアイドル時代にバイクでアメリカ横断、ベンツ、ロードスター…多彩な愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

 1971年式の日産スカイライン 2000GT。約2年前に手に入れた。「逆に自分ぐらいの年齢だと、この車をそもそも知らないっていう人ばかりで。今どきじゃない車を最初に乗ってやろう。そんな思いもありました」。自分が生まれるはるか前の旧車を、初めてのマイカーに選んだ理由について語る。

 免許を取ったばかりの頃、ハコスカを中心とした旧車の愛好家クラブ「エルスピード」の先輩が乗るハコスカを初めて見て、「これかっこいいな、いつか乗ろう」とひと目ぼれ。10代で憧れ、社会人になっていた22歳で、同じクラブのメンバーから譲り受ける形で念願のハコスカオーナーとなった。

 実際に乗ってみて感じるのは、旧車ならではの“手のかかり方”だという。「カスタムとかしなくても、維持するだけでお金がかかります。ガソリン代は他の車の倍ぐらいかかって(笑)。燃費はリッター7、8キロくらいです」。それでも、「まだ故障してない方ですよ。他の旧車の方はリッター3キロと聞くこともあるので」と話す。

 今年10月、福島・浪江町で行われた震災復興の願いを込めたカーイベントに、北関東から参加した。こうして、たくさんの旧車や名車が集まるイベントを経験するのは何よりの楽しみだ。「大変ですけど、今の車にないよさがあって、『乗ってる』という感じがするんです。いつ止まるか、壊れるか分からない。不便で楽しい。それこそカーイベントにたどり着けるかなと思いながら走ってきています。そこも含めて楽しいですね」と醍醐味(だいごみ)を語る。

 このハコスカとの出会いは父親の存在が大きい。55歳になる父親は、バイクにも熱を上げてきた愛好家だ。「物心がついた時から、身の回りにはバイクとかがあって、よく触っていました」。自然と自動車好きに育った。その父親が、エルスピードのメンバーからハコスカ譲渡の話を持ってきたのだ。父親は「『こんな話があるけど』と言ったら、息子は瞬間的に食いついて(笑)。2日後ぐらいには、私が知らないうちにもう決めていましたね」と笑う。

 父親自身も若い頃からハコスカファン。「“国光カラー”のハコスカGT-Xに乗っていた時期もあるんですよ。みんなで楽しく乗っていましたね」と自慢気だ。一方で、「昔は先輩が乗って後輩に託すみたいなことをやっていました。そんな時代の車でしたからね、うちらの頃は。それこそ19歳の時に、ハコスカに乗っていました。先輩から譲ってもらって。その頃は捨て値に近いぐらいだったんでよ。『なんだこんな重い車』って言って、数か月で後輩に出しちゃったぐらい」というほろ苦い思い出も。

 父親は若い頃の自分を息子に重ねるように、「今の車に乗るという別の選択肢はもちろんありますが、これはこれでいいと思っています。息子が楽しく乗っていればそれでいいです」と目を細める。実は21歳学生の弟も車の趣味にのめり込んでおり、「将来ハコスカに乗りたい」と話している。父から息子たちへ。“車好きのDNA”は確実に受け継がれている。

 維持費もかかる。これから故障も増えてくるかもしれない。正直大変なことも多い。それでも、「よっぽどのことがない限りは乗り続けたい。動かなくなっても、オブジェとして家に置いておこうかな」。そう語る、若い旧車乗りの目は、愛車への情熱に輝いていた。

次のページへ (2/2) 【写真】24歳若者が選んだ貴重旧車、実際の車体
1 2
あなたの“気になる”を教えてください