愛車は新車時4000万円、楽しさは“ベンツ超え” 日本にわずか44台…「これぞ芸術作品」

新車時約4000万円という価格で、世界で322台、日本にはわずか44台しか存在しないという希少なモデルに魅了された男性がいる。千葉県在住の石井俊雄さんが所有するのは、1997年式ベントレー コンチネンタルT。高級車の中でも特別な存在感を放つ“極上の1台”の知られざる魅力とは。

新車時4000万円…ゴージャスな内装【写真:ENCOUNT編集部】
新車時4000万円…ゴージャスな内装【写真:ENCOUNT編集部】

【愛車拝見#335】 ベンツとの比較でびっくり「楽しい」

 新車時約4000万円という価格で、世界で322台、日本にはわずか44台しか存在しないという希少なモデルに魅了された男性がいる。千葉県在住の石井俊雄さんが所有するのは、1997年式ベントレー コンチネンタルT。高級車の中でも特別な存在感を放つ“極上の1台”の知られざる魅力とは。

トップアイドル時代にバイクでアメリカ横断、ベンツ、ロードスター…多彩な愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)

 石井さんが愛車と対面したのは、7年前のこと。購入時の価格は850万円ほどで、メルセデス・ベンツ500SLを下取りに出し、実質500万円ほどで手に入れた。

 特徴は随所に職人技が光る内装だ。天井まで英国高級皮革のコノリーレザーで覆われた空間は、28年前の車とは思えない上質さを保っている。さらに磨き上げられたアルミパーツやウッドを使用。ダッシュボードの一部には魚のうろこ模様があしらわれ、「すごく手間がかかっているんです」。精巧な輝きを放つ。

 中でも目立つのは、センターに位置する8連メーターだ。燃料計、ブースト計、時計、温度計、油圧計など、さまざまな情報が一列に並ぶ光景は、まさに芸術作品で、「最高ですね」と石井さんは絶賛した。

 コンチネンタルTの希少性は際立っている。石井さんによると、日本に輸入されたのは44台のみ。千葉県では1台だけだ。

「やっぱり台数も少ないし、7年間で(世界で)322台しか作ってないんですよ」

 特別なのが、車に刻まれたマリナー・パークウォードの印だ。

「コーチビルダー(車体製造メーカー)と言って、ベントレー、ロールスロイスの職人が全部手作りで作ったということなんです」

 難しい工程も熟練工が一つ一つ、手作業で丁寧に仕上げた。この車が単なる高級車ではなく、工芸品に近い存在であることを示している。

 スペックも圧巻だ。車体は全長5メートル23センチ、幅1メートル96センチ、高さ1メートル45センチ。重量は2.4トン。最大トルク80.6キログラム・メートル、404馬力で、最高時速245キロを誇る。後部座席の乗員が独立して乗降できる2つのドアノブなど、細部までぜいたくな設計が施されている。

 現車確認をした際、石井さんの喜ぶ様子を見た売主からは「そのまま乗って帰っていいですよ」と声がけされた。

 高額な買い物だけに、さすがに即決はできなかったものの、まぶしいほどの存在感に気持ちは固まっていた。

 ベンツを長く所有する石井さんだが、両車の魅力は異なるという。

「運転しやすいのはベンツですよ。運転のキレとかいいんですけど、遠出するとトルクがあるから(ベントレーが)全然楽ですよね。こっちのほうが乗っていて楽しいです」

 日常の買い物はベンツを使うが、遠出にはコンチネンタルTが活躍する。孫に会うため千葉から富山まで走破したこともある。

 悩みの種は、リッター3~4キロという燃費だ。

「減るのが早いんすよ。ガス欠になっちゃうといけないので、ガソリンスタンドとか、その辺を調整していかなくちゃいけない」

 逆にガソリンさえ気を配れば、これ以上ワクワクさせる旅のパートナーはいない。「動く応接室」といった気品と風格を漂わせ、ドライバーの気持ちをいや応なしに高めてくれる。

 このゴージャスな車、将来はどうするのだろうか。

 実は“後継者”は決めている。

「これはもう、長男に譲ります。これ買った時に『エッ、コンチネンタル買ったの? マジで!?』と驚いてました。前から欲しいと言っていますし、神戸にいるんですけど、来るたびに乗ってますね」

 日本に数えるほどしかない造形美にあふれた車は、次の世代へと受け継がれていく。英国の匠が生み出したベントレーは、石井家の宝としてこれからも走り続けるだろう。

次のページへ (2/2) 【写真】フロントグリル、エンブレム、車体の実際の写真
1 2
あなたの“気になる”を教えてください