愛車は50年前の“激レア車”…日本の技術「誇りに思う」 27歳男性、歴代オーナーの思い「引き継ぐ」

27歳の男性会社員が乗るのは、“自分の年齢より上”の旧車どころか、50年前に製造された1台。超が付くほどの希少モデルだ。自動車整備学校出身で、現在は自動車用品を取り扱う会社に勤めている。そんな筋金入りのクルマ好きがほれ込んだ“絶版車”は、現役バリバリ。歴代オーナーの「思いを引き継ぐ」と心に決めている。

1975年式の初代シビックRSは激レアモデルだ【写真:ENCOUNT編集部】
1975年式の初代シビックRSは激レアモデルだ【写真:ENCOUNT編集部】

【愛車拝見#328】「旧車に乗ることによって、僕らが知らない時代を体感できる」

 27歳の男性会社員が乗るのは、“自分の年齢より上”の旧車どころか、50年前に製造された1台。超が付くほどの希少モデルだ。自動車整備学校出身で、現在は自動車用品を取り扱う会社に勤めている。そんな筋金入りのクルマ好きがほれ込んだ“絶版車”は、現役バリバリ。歴代オーナーの「思いを引き継ぐ」と心に決めている。

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「全然普通に乗れますよ。ホンダのよく回るエンジンが楽しいです」

 1975年式の初代シビックRS。生産期間は74年から1年足らずだったといい、「ツインキャブレターを搭載しています。僕で4代目のオーナーです。もともとは赤色だったそうなのですが、40年ほど乗った2代目オーナーがオレンジ色に塗り替えて、ほろを付けたと聞いています」。よく見ると、ボディーとボンネットで2種類のオレンジ色が使い分けられており、部品は丁寧に磨かれ、“古さ”を感じさせない。

 一級の整備士資格を持つ男性オーナー。自動車整備学校時代に旧車に触れた経験から、「古い車への憧れ」を強くしていったという。「ホンダS800クーペをレストアしたこともあります。ホンダの古い車に乗ってみたいなあと思うようになったんです」。

 友人からの誘いが転機になった。「専門学校の同級生が、グリーンのRSに乗っているのですが、その友人が初代シビックのオーナーズクラブに入っていまして、『1台空くから乗ってみない?』と声をかけられました。『じゃあ乗るよ』と返事したんです」。オーナーズクラブに入会。昨年3月に話がまとまり、同8月に4代目を“襲名”。こうして、歴史的名車が手元にやってきた。

 実はこの初代RSは、3代目オーナー時代に、BS日テレ『おぎやはぎの愛車遍歴 NO CAR, NO LIFE!』に“出演”。ボンネット裏には、おぎやはぎのサインが記されている。歴代オーナーのこだわりと歴史が刻まれているのだ。

 普段はフィットRS(GE8)に乗っており、ヒストリックカーとの2台持ち。「今の時代の車と比べて軽い。楽しく走ることに加えて、やっぱり自分でメンテナンスをしていけることも大きいです。改造よりメンテナンスのいじり方。整備士としては、調子よく走らせること。その楽しさもあります」。故障は付き物だが、そこは整備のプロ。必要なところは自分で修理することもあるといい、「実は乗り始めて1週間でブレーキが壊れて自分で直しました。キャブも自分でオーバーホールしました。3代目のオーナーの方からは『よかった』と言っていただけました」。手入れをしっかりやってくれる頼もしい4代目オーナー。前の所有者たちにとっても心強いだろう。

 旧車オーナー“あるある”の悩みもある。やはり部品入手の難しさだ。「やっぱりパーツが少なくなってきています。シビックは大衆車モデルなのですが、逆に言えば専門店がない。RSはまだ共通のパーツを使えるのが救いですが、ゴムなどの消耗品がなくなってきています。現に、トランクのハッチの上が、部品不足もあって雨漏りしちゃうんですよ」。

 それでも、海外の自動車部品を取り扱う仕事に就いているからこそ、日本車のすごさを実感することが多々ある。「やっぱり日本車は繊細な造りをしていて、部品も含めてちゃんと作られています。日本の技術を誇りに思います」と話す。

 オーナーズクラブの年1回の会合やカーイベントに積極的に参加。ベテランオーナーや長年の愛好家と交流を深めている。20代の旧車乗りにとって、多くの学びがあるといい、「50年前の当時は知らないですが、旧車に乗ることによって、僕らが知らない時代を体感することができます。オーナーズクラブは70代の方々が多いのですが、皆さんから『大事に乗ってね』『RSは一番整備がしやすいよ』といった声がけをいただきます。きれいに残していこうという使命感が自分の中で出てきています」。2代目オーナーからは「ぜひ大切になさってください」というメッセージを受け取っている。よく会っている3代目オーナーからは「よろしくね」。短い言葉に信頼感が伝わってくる。

 けっして、旧車ブームに乗っているわけではない。希少モデルの金銭的価値もあるが、大切にするのは、受け継いだ「心」だ。50年間の歴史の重みを感じながら、「維持すること」を大事にしていくつもりだ。「今はイベントに出すことが中心ですが、ゆくゆくは通勤車両として使っていきたいです。周りで普段使いしている方も何人かいますし、それが大衆車としての本来のシビックの姿なのかなと思っています。やっぱり動かしていかないと車はダメなので。この車を残していただいた皆さんの思いもあるので、できるだけ長く乗っていたいです」と結んだ。

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