がんで闘病中の大林宣彦監督が明かす 黒澤明監督、山田洋次監督から掛けられた言葉

がんで闘病中の大林宣彦監督(81)の最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(2020年4月公開)が1日、東京・六本木のTOHOシネマズで開催中の「第32回東京国際映画祭」で上映され、特別功労賞の贈呈式が行われた。

車いす姿で登壇した大林監督と常盤貴子
車いす姿で登壇した大林監督と常盤貴子

 がんで闘病中の大林宣彦監督(81)の最新作「海辺の映画館―キネマの玉手箱」(2020年4月公開)が1日、東京・六本木のTOHOシネマズで開催中の「第32回東京国際映画祭」で上映され、特別功労賞の贈呈式が行われた。

 車いす姿で登壇した大林監督だったが、相変わらずエネルギッシュ。得意の話術であっという間に映画館は“大林劇場”となった。「お客さんが目で楽しむのは美術と女優さんですから」と言いながらも、司会者から「トロフィー贈呈です」と言われると、「ここからはちょっとだけ私が主役だね」と笑いを誘った。映画祭チェアマンの安藤裕康氏からトロフィー、常盤貴子(47)から花束を受け取るとニッコリ。

 安藤氏から「大林監督は『30年映画を撮る』と宣言され、先日は35年と訂正されましたが、今日は40年と訂正していただきたい」と言われると、「2000年でも3000年でも訂正いたします。特別功労賞を頂きましたので。すごいですね。重いですよ」と上機嫌だった。

「海辺の映画館―キネマの玉手箱」は故郷・尾道のとある映画館を舞台に、映画と戦争をめぐる一大叙事詩。厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦演じる観客たちが映画の世界に入り込み、日本の戦争の歴史を体感していく物語で、俳優たちは劇中で複数の役柄を演じている。

 大林監督は「あなたなら、どうする?という映画です。私たち観客が世界を幸せにする力を持っています。それが映画の自由な尊さ。自由を守るのは難しいことですが、やり遂げなければいけません。黒澤(明)さんからは『平和は400年かかる。だから、大林さん、僕たちの続きをやってくれよ』と言われました」などと映画に込めた思いを語った。

 常盤は「走馬灯はその人にしか見られないというけど、監督は前倒しでみんなに見せてくれたんだと思いました。そんなことができる監督はいないと思います」。また、山崎紘菜(25)は「4つの役という大きな課題を頂きました。自分にできるのかと思いましたが、とても楽しくやらせていただきました。私は密かにミュージカル、アクション、方言のある映画に挑戦したい、と思っていましたが、全部夢を叶えてくださった。映画にある祈りがいろんな人に届けばいい、と思っています」と話した。

【大林監督が語った言葉を抜粋】

 山田洋次さんからは「(前作の)『花筐/HANAGATAMI』はさよならホームランだったが、今度は場外ホームランだ。この人(大林監督)に終わりはない。この人は進化している」というお褒めの言葉を頂きました。今まで人間がやってきたことよりも、やらないことの方がいっぱいあるのだから、やらないことをやれば、星の数ほど、それ以上の冒険ができるというのを持論にしていますので、この後、3000年は生きるつもりです。特別功労賞をいただき、そんな思いをしみじみとしています。

「映画はプロデューサーが作るもの」というのは私の持論。プロデューサーの想像力と人生体験が物語を作るもので、私はその再現者です。そういうことを踏まえると、今回の映画がいかなるフィロソフィーを持ち得たか、ということになる。どうか仰天してください。仰天することが映画の魅力です。

 未来のことは誰にも分かりませんから、後2000年、3000年は映画を作ろうと思います。それでないと、私が映画を作る意味はない。あの戦争を知っている私が、戦争を知らない若い人たちのために映画の学校を作り、ハラハラドキドキし、感動する物語を作り出したいと思っています。

 映画は素晴らしい!ありがとう!

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