13歳で初愛車を購入、免許取得前に手に入れたフランス車 今では10台も所有するコレクター

人生初のマイカーは、誰にとっても大切な思い出の1台だ。日本では早くとも免許取得後、18歳での購入が一般的だが、世の中には車が好きすぎるあまり、まだ運転ができない年齢にもかかわらず購入に踏み切ってしまった猛者も存在する。13歳でフランス車のルノー4(キャトル)を購入、現在はキャトルばかり10台も所有しているという男性に話を聞いた。

中学1年生で購入したという80年式ルノー4 TL【写真:本人提供】
中学1年生で購入したという80年式ルノー4 TL【写真:本人提供】

貯金やお小遣いを全額つっこみ、約30万円で80年代のフランス車を中古購入

 人生初のマイカーは、誰にとっても大切な思い出の1台だ。日本では早くとも免許取得後、18歳での購入が一般的だが、世の中には車が好きすぎるあまり、まだ運転ができない年齢にもかかわらず購入に踏み切ってしまった猛者も存在する。13歳でフランス車のルノー4(キャトル)を購入、現在はキャトルばかり10台も所有しているという男性に話を聞いた。

 カーイベントで鮮やかなブルーの車体が注目を集めていたルノー4 フルゴネット。31歳の河西正悟さんは、不動車も含めて10台ものルノー4を所有するキャトルコレクターだ。

「この車は8年ほど前に75万円で購入しましたが、車検を通して公道復帰したのは去年の10月。キャトル好きで知られているので、安くてもいいから買い取ってくれと知り合いから頼まれて、断れないうちにどんどん増えちゃって、動かない車が溜まっているんです。それでも車体価格だけなら、10台全部で300万円はいかないくらいですね」

 河西さんが人生で最初の1台を手にしたのは、なんと中学1年生のとき。貯金やお小遣いを全額つっこみ、排気量850㏄の80年式ルノー4 TLを中古で購入したという。

「小学生の頃に父がキャトルに乗っていて、ミニカーを買い与えられてすっかりハマってしまって。当時ムシキングブームで集めていたカブトムシやクワガタの生体を全部売って購入資金にあてました。キャトルが一番安かった時代で、30万円くらいだったかな。免許もないのでさすがに名義は父でしたが、初めて買った自分の車はやっぱり格別で、18歳になるのが本当に待ち遠しかった。本当は今日のイベントもTLで来たかったんですが、今はあいにく修理中で、代わりにこの車で参加しました」

 今も普段使いで愛用している1台には、特別な思い出もある。

「山梨の韮崎在住なんですが、遺跡が多い土地柄、縄文文化が好きで、小学生の頃から自由研究で土器を作ったり、竪穴式住居を掘ったりしていたんです。中学のときに『縄文少年』としてちょっと話題になって、テレビの取材で藤岡弘、さんが来たときに、一緒にTLに乗って写真を撮ってもらった。それは結構自慢というか、大切な思い出ですね」

 かつて竪穴式住居を掘った自宅の庭は、今は立派なキャトル置き場。あらためて、キャトルの魅力とはどんなところにあるのだろうか。

「シートも足回りもよく、遠出も全く問題ない。趣味と実益を兼ねた名車だと思っています。難点はクーラーがないところで、10台のうち、エアコンがついているのはルーテシア2 RCの1台しかない。今回も山梨から前日入りしたんですが、もう暑くて暑くて。なるべく春や秋の涼しい時期に乗ったり、夏場は八ヶ岳などの避暑地に行ったりして、キャトルライフを楽しんでいます」

 虫取り少年、縄文少年の時代を経て、たどり着いた愛車趣味。少年の頃と変わらない熱量で、こだわりのクルマ愛を語った。

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