【プロレスこの一年 #8】プロレス界が大きな悲しみに包まれた三沢さんの訃報、高山善廣の完全グランドスラム

高山善廣が全日本・両国大会でグレート・ムタから三冠ヘビー級王座を奪取【写真:平工 幸雄】
高山善廣が全日本・両国大会でグレート・ムタから三冠ヘビー級王座を奪取【写真:平工 幸雄】

三冠ヘビーを獲った高山善廣は完全グランドスラムを達成

 この年のはじめ、新日本1・4東京ドームではメキシコの国民的英雄ミスティコが初来日。新日本とCMLLのコラボイベント「ファンタスティカマニア」は11年のスタートだから、その礎となる参戦となったわけだ。同大会では全日本の武藤敬司に流出していたIWGPヘビー級王座を棚橋弘至が1年ぶりに奪回。また、中邑真輔&後藤洋央紀組がNOAHの三沢光晴&杉浦貴組を破っている。このスタートに象徴されるように、09年は主要3団体(新日本、全日本、NOAH)の交流が活発におこなわれた年でもあったのだ。

 また、フリーの高山善廣も大活躍。3月14日、全日本の両国国技館でグレート・ムタから三冠ヘビー級王座を奪取した。これで高山はIWGPヘビー&タッグ、GHCヘビー&タッグ、三冠ヘビー、世界タッグ、アジアタッグ、という完全グランドスラムを達成、「プロレス界の帝王」の名をほしいままとすることになる。

 高山が三冠王者に君臨した全日本では、船木誠勝が約20年ぶりにプロレスのリングに帰ってきた。8・30両国でデビュー25周年記念の武藤とタッグを結成、武藤の同期である蝶野正洋は船木のパンクラス時代の盟友・鈴木みのると組み、タッグマッチで対戦した。この再会で船木と鈴木の遺恨が勃発。船木は試合の翌日に全日本と1年間の選手契約を交わし、鈴木とは9月26日の横浜文化体育館で15年ぶりの一騎打ちをおこなった(船木の反則勝ち)。船木は全日本冬の風物詩でもある「世界最強タッグ決定リーグ戦」に武藤とのコンビでエントリー、優勝まで果たす快進撃まで見せたのである。

 武藤と同じく、蝶野もまた25周年記念大会を開催した。10月12日、両国にて蝶野&武藤&小橋建太組という豪華トリオを実現させたのだ。小橋と武藤はNOAH9・27日本武道館でタッグながら初対決。この大会は、三沢の追悼興行…。プロレス界が大きな悲しみに包まれたのは、この年だった。

次のページへ (3/4) 6月13日NOAH広島大会
1 2 3 4
あなたの“気になる”を教えてください