【東京女子】「このまま異質なままでいたい」 チアダンス生かしたプロレスラー・芦田美歩の野望
2023年にプロレスデビューした芦田美歩は、今年1月1日に東京女子プロレス入団を表明、同4日に初めて東女のリングに立った。チアダンスで世界大会にも出場した体の柔軟性を生かしたプロレスは、早くも東女の一風景となりつつある今、今後の展望を聴いた。

東京女子は自分がしたいチャレンジできる団体だと思った
2023年にプロレスデビューした芦田美歩は、今年1月1日に東京女子プロレス入団を表明、同4日に初めて東女のリングに立った。チアダンスで世界大会にも出場した体の柔軟性を生かしたプロレスは、早くも東女の一風景となりつつある今、今後の展望を聴いた。(取材・文=橋場了吾)
昨年12月31日、芦田美歩は古巣アイスリボンを卒業した。その去就が注目されていたが、翌日に東京女子プロレス入団を発表した。
「大みそかの試合は『ここまでやった』という良い区切りになったので、思い残すことがないと思えたのですっきりした表情だったのかなと思います。東京女子については、色々な団体を見たり先輩に相談したりする中で、私が芸能活動をしながらプロレスを続けたいという気持ちを継続できる団体ということが決め手になったかなと思いますね。プロレスと芸能を両立している選手もたくさんいらっしゃいますし、自分の進みたい方向に合っている団体が東京女子だったんです。あとは全国そして海外でも試合をしたいという気持ちもあるので、チャレンジできる機会がたくさんある団体だとも思いました」
1月4日、芦田はHIMAWARIとタッグを組み、凍雅・七瀬千花組と対戦。チアリーディング経験を生かしたムーヴを見せるも敗退。しかし同月11日、七瀬相手にジャーマン・スープレックス・ホールドで東女参戦初勝利を飾った。
「(4日は)超満員の後楽園ホールで、こんな贅沢な環境で東京女子の一戦目をできるなんて本当に嬉しかったですね。そしてとにかくお客さんが温かくて、会場の雰囲気も優しくて……迎え入れてもらえたかなという印象が強かったです。団体によってカラーが違いますし、求められているプロレスも違うのはわかっていたのでちょっと心配な部分もあったんですが、ゲートをくぐった瞬間に『ようこそ!』と言ってもらえたような雰囲気を感じました。試合後のSNSやサイン会でのお客さんとの会話でも『来てくれてありがとう』というようなポジティブな内容の反応をいただけたので、自分は幸せだなと思いました。初勝利はただただ嬉しかったですね」

プロレスほど楽しくて喜怒哀楽を素直に見せられるものはないと感じて沼にはまった
現在、芦田は2024 JAPAN AMBASSADOR準グランプリとしての芸能活動も行っているが、このタイミングでプロレスを辞めるという考えはよぎらなかったという。
「正直、デビュー前はプロレスをすぐ辞めるのかなと思っていたんです。デビューまで3か月も練習期間と決められていたので、その間は一生懸命やろうと。どんどん体はマッチョになっていっちゃって、芸能活動ができなくなるような気もしていました。でも……“沼にはまっていた”という感じですね。プロレスほど、楽しくて喜怒哀楽を素直に見せられるものってないなと思って。
こんな経験は人生でなかなかできないですし、表現者として得られるものがたくさんあります。そして、プロレスを続けていく中でこういう選手と戦いたい、こんな試合をしてみたい、海外でもプロレスをしたいとやりたいことがどんどん増えていって。私はエゴサーチをよくするんですけど(笑)、期待してもらっている言葉をたくさん見かけると、その期待に応えたいと思って辞めてしまうのはもったいないという気持ちでしたね」
その芦田のテクニックには、チアダンスを生かしたものが多い。入場時のダンスに始まり、Y字バランスからのギロチンドロップ、そして開脚からリングインしてスクールボーイなどオリジナリティーに溢れた技も披露している。
「チアリーディングは手先まで綺麗に見せるスポーツなので、プロレスにもその姿勢が生きていると思います。セコンドのときの姿勢や所作も綺麗と言われることがあるんですが、これは意識しているというより“癖”ですね(笑)。あまりプロレスっぽくないのかもしれないですが、逆に個性になっているのならいいのかなと思っています」
最後に芦田に今後、東京女子でどういうプロレスラーになっていきたいかを聴いた。
「私のプロレススタイルが東京女子とは違うという意見もいただくんですが、完全に合わせてしまうと私ではなくなると思いますし、このまま異質なままでいたいという気持ちがあります。この異質さに将来性を感じてくれている人も一定数いらっしゃると思うので、早くベルトにチャレンジできるような選手になりたいです。ベルトへの挑戦の“順番待ち”をしているよりは、異質の存在のまま個性を生かしてベルトを獲りたいですね」
