「よくバイク屋と間違われて」 所有した愛車は約50台、生粋の趣味人が手元に残した“最後の5台”
車関連企業の社員には、趣味が高じて仕事になったという根っからの車好き、バイク好きも少なくない。オートバックスセブンに勤める61歳の吉田惣一さんも、そんな熱き趣味人の一人。これまで所有した車は30台、バイクは総勢50台という熱の入れようで、老後の蓄えもそこそこに白秋時代を謳歌(おうか)している。「バイクのための再雇用」と笑う吉田さんに、趣味に明け暮れた半生を聞いた。

再雇用のオートバックスセブンで働く現場最年長のスタッフ
車関連企業の社員には、趣味が高じて仕事になったという根っからの車好き、バイク好きも少なくない。オートバックスセブンに勤める61歳の吉田惣一さんも、そんな熱き趣味人の一人。これまで所有した車は30台、バイクは総勢50台という熱の入れようで、老後の蓄えもそこそこに白秋時代を謳歌(おうか)している。「バイクのための再雇用」と笑う吉田さんに、趣味に明け暮れた半生を聞いた。
これまでの愛車遍歴は50台以上…「車検に通したことがほとんどない」と語る歌手のクルマ愛(JAF Mate Onlineへ)
16歳でオートバイを始め、18歳からは車にも熱中。時折自転車にも手を出しつつ、愛車に人生をささげてきた。大学時代には、実家の庭にバイク20台、車3台を所有。あまりに異様な光景から、修理業者と間違われることも度々あったという。
「学生の頃はお金もなくて、ほとんど解体屋からタダ同然でもらってきたものを、自分で直して乗ってました。最初は親からも邪魔だなんだと言われましたが、10台を超えてからは何も言ってこなくなった。よくバイク屋と間違われて、おばちゃんのスクーターを直してあげたこともありました」
趣味が高じてオートバックスセブンに入社したのは39年前のこと。以来約40年間、営業一筋で勤め上げ、昨年会社を定年退職。今は再雇用で働く現場最年長のスタッフだ。
「バイクにお金を使いすぎて、退職金だけじゃ老後の蓄えを残せない(笑)。趣味のために再雇用で働いてるようなものです。上場企業となった今でこそ、車は仕事と割り切って入ってくる子も多いけど、昔は自分のような根っからの車好き、バイク好きがたくさんいた。自分は両方好きだったけど、どっちもというのは経済的に厳しい。車は仕事で触れるから、趣味にするなら二輪かなと」
これまでに所有したバイクは「40~50台」。今も手元に残っているのは5台で、会社のイベントなどにも度々出展しているお気に入りの1台が、イタリア製の「MV AGUSTA」だ。国内30台の限定車で、15年前に350万円で購入したという。
「あとの4台は80年代の国産車。81年式のカワサキZはフルレストアで、500~600万円はかかっているかな。この5台だけは死ぬまで持っていようと思ってる。よく、そんなに何台も持っていてどうするのと言われるけど、1台1台乗り心地が全然違う。服を着替えるような感じで、長い距離を走るならこれ、近場はこっち、平坦地か山道か、行先や相手に合わせてその日ごとに最適な1台を選んでいます」
そんな吉田さんにも、過去にはすべてのバイクを手放した時期があるという。
「若い頃は仕事が忙しくて乗る暇がなくてね。最後の1台は車検が切れた状態で4年ぐらい放置してて、子どもも生まれたし、これを機にやめようと。それが……5年もたたないうちに再開しちゃってね(笑)。娘が小学校に上がったタイミングで、仲間が誘ってくるんですよ。『乗ろうよ、乗ろうよ』って。結局、みんな子どもが生まれて一度はやめるんだけど、一段落するとまた乗りたくなってくる。乗り始めると、今度は一緒に走る仲間が欲しくなるもんなんです」
家族からは「もう完全にあきらめられている」といいつつも、26歳と25歳の娘2人はどちらもマニュアル免許。車好きの血が受け継がれていることには「父親としてはうれしい」と素直に顔をほころばせる。「自分も2度大けがをしているので、娘にはバイクはやらせないけど、世代を超えて自分の子どもくらいの年齢の子たちと走るのは楽しい。どうしてもお金がなくなったら切り売りするしかないかもしれないけど、持てるところまでは持ち続けたいですね」。愛車の車体に目を細めつつ、吉田さんはそう結んだ。
