きっかけは“耳鳴り”…演技派女優・黒沢あすかが明かす映画「積むさおり」誕生秘話

黒沢は『Horrible Imaginings Film Festival』短編部門で主演女優賞を獲得した
黒沢は『Horrible Imaginings Film Festival』短編部門で主演女優賞を獲得した

子育て、離婚、再婚…人生経験を積み重ねてきて、自分の深みとして生かしたい

――それは、自分が特別だと思うな、という意味の励ましの言葉だったということですね。黒沢さんの家庭環境はどんなものでしたか?

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「私たち夫婦は全然違う環境で育っています。私の父はトラック運転手。いつも夕方5時半には帰って、6時半には家族で食事をしていました。一方、梅沢の父は百貨店でお勤めされていた方で、平日にはほとんど家にいなかったそうです。梅沢から『歳末は繁忙期なので、父は家には居ない』と聞いたときは正直、驚きました。そのせいか、梅沢も結婚当初は年末ギリギリまで仕事をしていて、家にいなかったことが多々ありましたね。結婚して数年は慣れなかったですね。寂しかったですよ(笑)」

――さおりには後半、恐ろしい展開はあるわけですが、さおりは普通の妻でした。黒沢さんはエキセントリックな役が得意ですが、演じる上ではどちらがやりやすいというのはあるものですか?

「特別意識はしないですね。さおり役はエキセントリックなところもありますが、普通の部分を大切にしている女性です。自分自身も、子育て、離婚、梅沢と再婚し、人生経験を積み重ねて来て、この経験は自分の深みとして芝居に生きていると思っています。今の方が昔より生きやすいですね」

――何か、きっかけがあったのでしょうか?

「出演した『楽園』(公開中)の初号試写を観た時に、気を張っていたものが、自然と解けた気がしました。自分の演技に納得できましたし、自分を認めてあげていいな、と思えたんです(笑)。『積むさおり』では『Horrible Imaginings Film Festival』(米サンタアナで開催)短編部門では主演女優賞をいただくことができて、心から喜んでいます」

□黒沢あすか(くろさわ・あすか)1971年12月22日、神奈川県生まれ。47歳。10歳から児童劇団に所属し、1990年に「ほしをつぐもの」で映画デビュー。映画「愛について、東京」やドラマ「あすなろ白書」などに出演後、2002年の「六月の蛇」ではオポルト映画祭、東京スポーツ映画大賞などで主演女優賞を受賞。2010年の「冷たい熱帯魚」では殺人鬼の妻を演じた村田愛子役が評価され、ヨコハマ映画祭助演女優賞を受賞。2017年の「沈黙―サイレンス―」ではロドリゴの妻を演じ、高く評価された。現在、三児の母。

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