愛車に総額3000万円も「一度も車検を通したことがない」 巡り合った運命の1台「ドストライクでした」
クルマ好きであれば誰しも、愛する1台を長く乗り続けたいと願うもの。一方で、さまざまな事情からそれがかなわない人生も存在する。海外転勤の多い金融企業に務める38歳の男性は、これまで転勤の度に愛車を手放す決断を余儀なくされてきた。今ハンドルを握る1台は「いつかは……」と憧れ続けてきた念願の国産高級車。海外転勤という宿命を背負った男性に、家族や愛車と描くこの先の人生プランを聞いた。

海外転勤の多い金融企業に勤務し、転勤の度に泣く泣く愛車を売却
クルマ好きであれば誰しも、愛する1台を長く乗り続けたいと願うもの。一方で、さまざまな事情からそれがかなわない人生も存在する。海外転勤の多い金融企業に務める38歳の男性は、これまで転勤の度に愛車を手放す決断を余儀なくされてきた。今ハンドルを握る1台は「いつかは……」と憧れ続けてきた念願の国産高級車。海外転勤という宿命を背負った男性に、家族や愛車と描くこの先の人生プランを聞いた。
これまでの愛車遍歴は50台以上…「車検に通したことがほとんどない」と語る歌手のクルマ愛(JAF Mate Onlineへ)
東京・江東区の「A PIT オートバックス東雲」で先月16日に行われた定番の早朝カーミーティング。あいにくの雨模様にもかかわらず、遠く兵庫から駆けつけたという男性オーナーは、仕事の都合でこれまで何度も愛車を手放す決断を迫られてきた。
「海外と日本を行ったり来たりという生活で、学生時代にイギリスに7年留学、就職してからはベトナムに4年、インドに3年駐在していました。海外勤務が決まるたびに毎回愛車を売却せざるを得ないので、実は、これまで一度も車検を通したことがないんです。海外にいる間は車への思いが募る一方なので、日本にいる間だけでも思う存分乗り回そうと」
グロリアY34、レクサスGS430、レクサスLS460Fスポーツ、ハリアー80と国産車を乗り継ぎ、これまでに車に投じてきた総額は3000万円を超える。5代目となる現在の愛車は憧れ続けてきたクラウンスポーツRS PHEV。昨年6月に納車されたばかりで、購入金額は820万円ほどだという。
「ずっとセダン乗りで、『いつかはクラウン』と思っていた。去年子どもが生まれたばかりで、荷室もありつつスポーティーさも捨てがたいというなかで、ドストライクの1台でした。こだわりは真珠のようなプレシャスホワイトパールのボディーカラー。ツートンというのもあまりないかなと思います」
長く1台を乗り続けた経験こそないものの、1台1台に、人生のライフステージを彩る思い出がある。
「ベトナムのときは独身で、レクサスGSを買って半年だったので、どうしても手放せず実家の近くに駐車場を借りて親に保管してもらってました。結局帰ってきたらLSに乗り換えてしまったので、ほとんど意味がなかったんですけど(笑)。
プロポーズはそのLSの車内。前々から計画していた旅行の前日にインド赴任が決まり、上司からも身を固めてこいと言われ、妻には『お前、カレーは好きか?』と切り出しました。新婚生活のスタートがインド。妻はヨガにはまって、向こうでインストラクターの資格も取得し、今は『インドに帰りたい』が口癖です」
経済発展の著しいベトナムやインド。同じ車社会でも、日本とはだいぶ道路事情が異なるという。
「一言で言うと、命を削ってる感覚。ベトナムはバイク中心で、横断歩道でも命がけ。インドは光化学スモッグがひどくて、日本で注意報が出る濃度の10倍以上が日常です。コロナ禍でロックダウンになった次の日、産業が軒並みストップし、初めて青空が見えたのがすごく印象的でした。
当時は韓国車も席巻していましたが、それでもシェアの半分はスズキで、街に出れば右も左もスイフトだらけ。駐在中は社用車ですが、日本のような景色のいいドライブラインはベトナムにもインドにもない。海外に長くいると、本当に日本の道はいいなとつくづく感じます」
仕事柄、今後も定期的に海外駐在の可能性があるという男性。もし次の転勤が決まった際には、念願のクラウンはどうなるのだろうか。
「まさに今、クラウンに似合う家を探しているところ。転勤が多かったので今までは賃貸でしたが、子どもも生まれたので、ガレージハウスか5台分くらいの駐車スペースのある家を思い切って購入する予定です。次は単身赴任になるので、愛する妻と子ども、クラウンのことを思いながら、遠い空の下で一生懸命働きますよ(笑)」
ピカピカに磨かれた愛車に目を細めつつ、男性はそう締めくくった。
