【東京女子】話題となった新幹線プロレスでも勝利した山下実優&伊藤麻希が描く防衛ロード
山下実優&伊藤麻希の121000000(ワン・トゥー・ミリオン、以後ワンミリ)は、2024年9月に二度目のプリンセスタッグ王座戴冠を果たした。昨年は東京女子の王者が大きく入れ替わり、新世代が台頭。プリンセスタッグ王座も、でいじーもんきー(鈴芽&遠藤有栖、以後でじもん)という新世代から奪ったものだ。そのワンミリ、3.16大田区の『GRAND PRINCESS '25』では享楽共鳴(中島翔子&ハイパーミサヲ)という長らくともに東京女子マットを盛り上げてきたタッグ相手に防衛戦を行う。

新世代がチャンピオンになったからこそ獲り返すのが面白いと思った
山下実優&伊藤麻希の121000000(ワン・トゥー・ミリオン、以後ワンミリ)は、2024年9月に二度目のプリンセスタッグ王座戴冠を果たした。昨年は東京女子の王者が大きく入れ替わり、新世代が台頭。プリンセスタッグ王座も、でいじーもんきー(鈴芽&遠藤有栖、以後でじもん)という新世代から奪ったものだ。そのワンミリ、3.16大田区の『GRAND PRINCESS ’25』では享楽共鳴(中島翔子&ハイパーミサヲ)という長らくともに東京女子マットを盛り上げてきたタッグ相手に防衛戦を行う。
山下実優と伊藤麻希が海外で活動することが多くなった2024年。渡辺未詩がプリンセス・オブ・プリンセス(以後プリプリ)王座を、荒井優希がインターナショナル・プリンセス王座を、でいじーもんきーがプリンセスタッグ王座を獲得し、東京女子の風景が一変した空気が流れていた。その様子を山下はどう見ていたのか。
「面白くなってきたなと思いました。周りからは『悔しくないんですか?』みたいな質問をよく受けたんですけど、もちろん負けは負け(山下が渡辺に王座を明け渡した)なんですけど、“超えられた”つもりはないですし、負けて終わりではないですから。自分が強くなって、いつでも獲り返しにいけばいいというか、焦りはなくて客観的に見て面白くなってきたと思いましたし盛り上がってきたなと。ここからですよ、ようやく『山下頑張れ』みたいな会場の空気を感じたのは(笑)。私、今が一番応援されているような気がします。未詩は強くなりましたし、存在も大きくなって意識も変わったのは感じましたね。瑞希が(渡辺からプリプリを奪ったときに)言っていましたけど、新世代に獲られて悔しさはありつつも、(辰巳)リカも中島(翔子)もここからまた強くなる姿を見られるなと思うと、わくわくもしましたね」
一方、伊藤は東京女子のベルトとは距離を置いているように見えた。
「これはちょっといろいろな捉え方をされるかもしれないですけど……東京女子でやりたいことはなくなっちゃったんですよ。海外に行くようになって、まだ自分が達成していないものを感じて、海外の試合に夢中になっていたところはありましたね。ファンの方には白のベルト(プリプリ王座)を獲りにいかないのかとよく聞かれるんですけど、あのベルトは東京女子を代表する選手が持っているイメージがあって、自分はまだそういう立ち位置ではないというか、自分のやるべきことがあるなと思っていました」
2024年9月22日。幕張大会でワンミリはでじもんからプリンセスタッグ王座を奪い2度目の戴冠を果たした。
「タッグ王座は1回目に獲ったときに初防衛戦で負けたときから、また狙いに行きたいという気持ちはお互いあって。東京女子に新しい時代が来た、というこのタイミングで獲っちゃうのが面白いかなと。海外で戦って存在を厚くしてきた私たちは獲って、海外でも防衛戦をして自分たちにしかできないやり方でタッグを盛り上げられるかなという気持ちですね」(伊藤)
「ベルトを獲ったらゴールではないんですよ。そう思っていたらベルトは獲れない。どんなベルトでも、イコールゴールになっているうちは強くないと思いますね。私はベルトを獲ってからどういう防衛ロードを重ねるか、それが怖いんです。持っていない方が身軽じゃないですか、ベルトって。チャンピオンだからこそお客さんに見られる部分が多くなって、良いこともあればリスクもあるわけで。だからこそ、ベルトに挑戦するときは今の自分がチャンピオンになったときに潰れない自信があるときですよね。でじもんは強くなったというか、意識が本当に変わって見えたので、見ていて面白いなと思いました」(山下)
「(でじもんは)ベルトを持ってからがすごかった。持つまでは、まだ時間がかかるのかなというイメージがありましたから。ファンもでじもんの防衛ロードを支持しているのを感じていたので、ゴングが鳴る直前まで私たちのこと誰も応援しないだろうから心を鬼にしてぶつかろうと思っていたんですけど、意外に私たちも応援されたのはちょっとびっくりしましたね(笑)」(伊藤)

何度も戦ってきた享楽共鳴との防錆戦は“わくわく”しかない
3.16大田区では享楽共鳴を相手に5度目の防衛戦を行うワンミリ。実はワンミリは、過去に享楽共鳴が上がるタイミングをすべて潰してきた。
「(享楽共鳴が)私たちを嫌いというのはわかりますよ(笑)。あれだけ何回も戦って、私たちに負けさせられていたらそりゃあ嫌いにもなりますよね。でも享楽共鳴の試合は見ていて面白いんですよ、感性もぶっ飛んでいますし。だからめちゃくちゃわくわくしていますよ。前哨戦(2.22両国KFC大会)では勝ちましたけどあれだけコンビネーションがあるのは今までの挑戦者と違いすごいなと思います」(山下)
「前哨戦で負けた中島翔子が、口から血流しながら伊藤のベルトをポンって突いたんですよ。それがすごく怖いと思って。これは絶対油断しちゃダメなやつだって、膝がすごく震えた。そこまで思わせてくれる挑戦者は今までいなかったので、すごいわくわくしていますし、自分たちが悔しさをぶつけられる超えたい存在のタッグになっているということも感じられて、ちゃんとチャンピオンとして認められているんだという確認にもなりました。あと個人的にはビッグマッチでは“変化球”の試合が多かったので、久しぶりに東京女子の選手と戦えるのは楽しみですね」(伊藤)
3.1北沢大会で、ワンミリは中島翔子&鳥喰かやと対戦。中島が最後の前哨戦に全力を注いできたが、何とか勝利で飾った。最後に、大きな話題となった新幹線プロレス(2.15東京発新大阪行き・東海道新幹線のぞみ343号、カードは瑞希&渡辺未詩&らく&アジャコングvs山下実優&伊藤麻希&荒井優希&マックス・ジ・インペイラー)についても聴いてみた。
「鈴木みのる、出てきましたよね? 絶対準備していましたよね、あれ。海外の選手から『私も新幹線でやりたい』というDMがばんばん来ました(笑)。次は違う場所でもやってみたいですね。渋谷のスクランブル交差点とか……」(伊藤)
「マックスがずっとワーワー言っているんですよ。まず彼女を落ち着かせないといけない、そして試合も成立させないといけないのは大変でしたよ(笑)。しかも動きながらなので酔っちゃうし。でも限界値に行ってから強くなるタイプなので。(「限界、自分で決めんなよ(山下の決め台詞)」ですね?)海外も含めてヤバい状況になればなるほどテンションが上がって、試合中ずっと笑っていたんですよ(笑)。最後のクラッシュ・ラビットヒート・のぞみスペシャルの速度が時速600キロと言ったのは、新幹線が時速285キロなのでそれには負けたくないと思って、私の技は時速315キロということで(笑)」(山下)
