芸能人の熱愛報道、なぜ歓迎できない? バッシングが起きるカラクリに気づく

ドラマ版「I”s」で一貴を演じた岡山天音(左)と伊織を演じた白石聖【写真:(C)桂正和/集英社・スカパー! 2018】
ドラマ版「I”s」で一貴を演じた岡山天音(左)と伊織を演じた白石聖【写真:(C)桂正和/集英社・スカパー! 2018】

熱愛の相手はその人にとっての“一貴”

 ここで話を戻したい。芸能人の熱愛報道が出たとき、特にその相手が一般人であったとき、「I”s」を思い出しては感じることがある。

 その相手は、“一貴”ではないのか。熱愛報道が出た芸能人にとってその相手は、伊織にとっての一貴と同じなのではないか。これまでに、我々には想像もつかないほどの困難を乗り越え、あるいは困難の最中にあって、それでも愛を育んでいるのではないのか。

 そう考えればこそ、応援する気持ちは起きても、ゆめゆめバッシングする気などは起きようもないのだ。あれだけの葛藤と苦悩を経験した一貴と伊織に2人の姿を重ねれば、そんな気は断じて起きない。

 だから、もし芸能人の熱愛報道に接して悶々たる気持ちを抱えるのならば、そんな人には強く「I”s」をおすすめしたい。きっと世界の見え方が変わるはずである。きっと、双方の気持ちに寄り添えるはずである。

 2018年、そんな「I”s」がスカパー!により実写ドラマ化された(現在はNetflixやAmazon Prime Videoなど、各種動画配信サービスで視聴できる)。これがまた見事だった。

 主演の一貴役は俳優の岡山天音、そして伊織役を演じたのは女優の白石聖だ。白石の演じる伊織が、見事なまでに伊織だった。伊織そのものだった。

 あの頃抱いていた感情が、瞬く間に全く同じ質量、全く同じ形状で胸によみがえった。夢中で一貴を応援し、伊織の気持ちに寄り添った。一貴の身になり、伊織の姿を懸命に追った。一貴に感情移入するあまり、伊織(白石)に対して恋心に近い感情さえ芽生えた。頭の中が伊織(白石)でいっぱいになった。

 そこで、ふと気づいた。もし、白石聖という女優に熱愛報道が出たら――。

 ……嫉妬に狂い、猛バッシングするかもしれない。

次のページへ (4/5) 【写真】可愛すぎる伊織&「I”s」の名場面カット集
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