芸能人の熱愛報道、なぜ歓迎できない? バッシングが起きるカラクリに気づく
熱愛の相手はその人にとっての“一貴”
ここで話を戻したい。芸能人の熱愛報道が出たとき、特にその相手が一般人であったとき、「I”s」を思い出しては感じることがある。
その相手は、“一貴”ではないのか。熱愛報道が出た芸能人にとってその相手は、伊織にとっての一貴と同じなのではないか。これまでに、我々には想像もつかないほどの困難を乗り越え、あるいは困難の最中にあって、それでも愛を育んでいるのではないのか。
そう考えればこそ、応援する気持ちは起きても、ゆめゆめバッシングする気などは起きようもないのだ。あれだけの葛藤と苦悩を経験した一貴と伊織に2人の姿を重ねれば、そんな気は断じて起きない。
だから、もし芸能人の熱愛報道に接して悶々たる気持ちを抱えるのならば、そんな人には強く「I”s」をおすすめしたい。きっと世界の見え方が変わるはずである。きっと、双方の気持ちに寄り添えるはずである。
2018年、そんな「I”s」がスカパー!により実写ドラマ化された(現在はNetflixやAmazon Prime Videoなど、各種動画配信サービスで視聴できる)。これがまた見事だった。
主演の一貴役は俳優の岡山天音、そして伊織役を演じたのは女優の白石聖だ。白石の演じる伊織が、見事なまでに伊織だった。伊織そのものだった。
あの頃抱いていた感情が、瞬く間に全く同じ質量、全く同じ形状で胸によみがえった。夢中で一貴を応援し、伊織の気持ちに寄り添った。一貴の身になり、伊織の姿を懸命に追った。一貴に感情移入するあまり、伊織(白石)に対して恋心に近い感情さえ芽生えた。頭の中が伊織(白石)でいっぱいになった。
そこで、ふと気づいた。もし、白石聖という女優に熱愛報道が出たら――。
……嫉妬に狂い、猛バッシングするかもしれない。
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