26歳女性調理師が「かわいい」と直感した80年代懐かしの原付 父親と一緒に当時を“忠実再現”
免許を取得して半年後に手に入れた人生初マイカー。光岡自動車の個性派・レイに乗ってカーイベントに参加してみるとどんどん楽しくなり、すっかり沼にハマった。二輪にも興味が湧き、ちょっと懐かしいユニークな原付とめぐり会った。1983年式のスズキ・蘭 スーパーデラックスだ。真っ赤な1台をほのぼのたしなんでいると、なんと大型イベントの展示企画に選出されたのだ。車とバイクの世界に出会ったことで人生が変わった。26歳女性オーナーは「今しか乗れない楽しさ」を追い続けている。

キャンディーズ・伊藤蘭のCMで知られるスズキ蘭
免許を取得して半年後に手に入れた人生初マイカー。光岡自動車の個性派・レイに乗ってカーイベントに参加してみるとどんどん楽しくなり、すっかり沼にハマった。二輪にも興味が湧き、ちょっと懐かしいユニークな原付とめぐり会った。1983年式のスズキ・蘭 スーパーデラックスだ。真っ赤な1台をほのぼのたしなんでいると、なんと大型イベントの展示企画に選出されたのだ。車とバイクの世界に出会ったことで人生が変わった。26歳女性オーナーは「今しか乗れない楽しさ」を追い続けている。(取材・文=吉原知也)
これまでの愛車遍歴は50台以上…「車検に通したことがほとんどない」と語る歌手のクルマ愛(JAF Mate Onlineへ)
日本最大級のクラシックカーイベント「第16回 Nostalgic 2days(ノスタルジック2デイズ)」。2月22~23日に行われたオーナー車両の展示会「選ばれし10台」で、名セダン車や国産スポーツカーがデモ走行する中で、一風変わった雰囲気を漂わせたのが、このスズキ・蘭だ。原付にまたがって登場したのは、オーナーのレイ・ランさん。ピンク色の着物で愛くるしさを振りまいた。
「テレビで原付の特集がやっていて、別のモデルを買おうと考えていたのですが、私は漢字1文字の名前が好きで引かれるんです。それで『蘭』っていいなと思いました。ヤフオクで見つけて、旧車好きの彼氏に見てもらって、『実車が茨城にあるよ、行ってみる?』と。実際に見に行って、『ちっちゃい、かわいい、乗りたい』ってなりました」。直感もあって、昨年6月に購入したという。
気軽な街乗りで、カゴ付きのため普段の買い物にも便利。近所の狭い道路を冒険するのも楽しく、「蘭にまたがって食べるアイスがおいしいです!」とにっこり。風防にはこんなエピソードが。「去年の猛暑で、ぐんにゃり曲がってしまったんです。熱湯に漬けて戻しました(笑)」。少し湾曲しており、それが味わい深さになっている。
学校給食の調理師として働く26歳。通勤にも使っているマイカーのレイには、「ひと目ぼれ」の愛車物語がある。
何か趣味が欲しいと23歳で自動車運転免許を取得して、半年後に購入。「ネットで見つけて、車屋さんに行ったその日に決めました」。ダイハツ・ミラジーノL700をベースにしたコンパクトでレトロなかわいらしいデザイン。大好きなピンクのボディーカラーで、キュートな装飾にこだわり、セーラームーン風などのカスタムを満喫している。
カーイベントに参加するようになって、仲間の輪が広がり、びっくりの展開に。カーイベントでの表彰だ。女性ドライバーが集まる人気イベント『ガールズカーコレクション(GCC)』で、2023年のグランプリに輝いたのだ。参加者全員の投票で決まるだけに、喜びもひとしお。授賞式では感激の涙を流した。
普段のカーイベントでは、レイのカラーリングに合わせたピンク色のつなぎを着たり、アニメ『鬼滅の刃』の甘露寺蜜璃のコスプレで、場を盛り上げている。今回のノスタルジック2デイズでは着物姿を披露した。風防には「蘭、咲きました。」の文字があしらわれており、ランの花を飾るなど、絶妙な演出を練った。
スズキ蘭は当時、イメージキャラクターに元キャンディーズの伊藤蘭が起用されていた。テレビCMなどの広告をイメージしたといい、「(「蘭、咲きました。」のキャッチコピーは)当時オプションだったそうです。今回は父がカッティングシートで作って貼りました。当時のCMそのまんまを意識しました!」と、再現秘話を明かした。

新たな夢「今、私の中できているのが、マークIIやソアラです」
社会人生活は日々の仕事も大変だが、車とバイクが人生の糧であり、エネルギー源だ。「週末にはこうしてイベントがありますし、家に帰ったら、レイも蘭もある。これがあるから仕事を頑張れるんです」と実感を込める。
SNS発信も充実している。「原付が楽しいからもっと広めたい。そんな思いで、SNSで『こんなに楽しいんだよ』と伝えています。価格も価値も含めて、今しか乗れないものが多くなっていると思います。『乗りたいと思ったら今のうちに』。そのことも発信していきたいですね。私も今のうちだという気持ちで乗っています」。
それに、新しいワクワクも広がる。「彼氏もバイクが好きで、ホワイトダックスに乗っています。彼氏のクルマに蘭とホワイトダックスを積んで、ツーリングに出かけています」。GCCで知り合った女性カーオーナーが古い“旧原付”を趣味にしていることを知り、「いろいろな人といろいろなバイクに会えています」。愛好家同士の交流を深めているという。
新たな目標もできた。「限定解除したいんですよ。今、私の中できているのが、マークIIやソアラです。かっこいいなって。これからですね!」。マニュアル車デビューの日は遠くなさそうだ。
