【東京女子】チャンピオンだけどチャレンジャーの気持ち…辰巳リカとの初シングルに臨む瑞希の心境
今年1月4日の後楽園ホール大会で、東京女子プロレスの最高峰であるプリンセス・オブ・プリンセス王座に2回目の戴冠を果たした瑞希。初の戴冠時は半年で王座から陥落してしまったが、今回の戴冠には期するものがある。しかし3.16大田区総合体育館大会で行われる初防衛戦の相手が、8年近く同じ団体にいて初のシングル戦となる辰巳リカ。曲者中の曲者を相手に、瑞希はどのように戦おうとしているのか。
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山下実優、中島翔子、辰巳リカ…同世代が負け続けて何も思わないわけがない
今年1月4日の後楽園ホール大会で、東京女子プロレスの最高峰であるプリンセス・オブ・プリンセス王座に2回目の戴冠を果たした瑞希。初の戴冠時は半年で王座から陥落してしまったが、今回の戴冠には期するものがある。しかし3.16大田区総合体育館大会で行われる初防衛戦の相手が、8年近く同じ団体にいて初のシングル戦となる辰巳リカ。曲者中の曲者を相手に、瑞希はどのように戦おうとしているのか。
2023年3月18日、有明コロシアム大会でマジカルシュガーラビッツのパートナーでもある坂崎ユカを破り、プリンセス・オブ・プリンセス王座(以下プリプリ)を獲得した瑞希(第12代)。“5度目の正直”でようやく到達した最高峰だった。
「こんなにプリプリのベルトに挑戦して負けて、挑戦して負けて、挑戦して負けてを繰り返しているのは私くらいで。でも、そのタイミングで獲れたのが良かったのかなと今は思っています。それまでは本当にベルトを獲りたい、応援してくれる皆さんにベルト姿を見せたいという“自分”の気持ちが強かったんですけど、負けて負けて負けている間に長く東京女子にいて、ベルトの重みやその時々のチャンピオンのすごさ、そして東京女子への愛と応援してくる皆さんの気持ちを取り込めたと思うんです。獲りたいだけではなくて、獲ってからの明確な目標もありましたし、あのタイミングがベストだったなと思います。ただ、(プライベートでも仲の良い)ユカッチ(坂崎)とはとてもやりづらかった……とはいえ、試合になってしまえばしっかり向き合ってやっちゃうんですけど(笑)」
昨年3月31日、両国国技館大会で渡辺未詩が山下実優を破り第14代プリプリ王者に。この日、でいじーもんきー(鈴芽&遠藤有栖)が第16代プリンセスタッグ王者となり、インターナショナル・プリンセス王座を保持していた荒井優希も含め東京女子のタイトルすべてが新世代に移動した。その後、渡辺は中島翔子、辰巳リカなどベテラン勢を相手に防衛を重ねる。そのベテラン勢最後の砦として挑戦したのが瑞希だった。
「自分より下の世代の子たちがベルトを持って活躍しているのは、すごくいいことだと思うんです。選手層が厚くなって、未来が明るくなりますし。でも、私もベルトを落としてから一生懸命やっていましたけど、みーちゃん(山下)、翔子さん、リカさんが負けている姿を見て何も思わないわけがない……未詩はすごいですし彼女がチャンピオンであることに不安もなかったんですけど、勝手に悔しがっていたんです。
このまま自分の気持ちをごまかし続けてもダメだなって思ったから、私しか未詩を止められないと思ったんですよ。でもその強い気持ちは、逆に自分にプレッシャーになってしまって。意外といわれるんですが、私は自分に自信がなくて、試合前とかめちゃくちゃ緊張して震えているくらいなんです。でも、会場に飛び出ていってみんなの顔を見ると安心しますし、(1.4は超満員札止めで)たくさんのお客さんに来ていただいて、それだけ応援してくれる味方がいると思って一人ではないと思えるんですよね」

「瑞希好き」を公言する辰巳には全部さらけ出す決意ができた
渡辺のバリエーション豊富なジャイアントスイングや雪崩式ティアドロップに苦しめられるも、コーナー最上段から場外へダイビングフットスタンプを敢行するなど破天荒な攻めを見せた瑞希が、見事渡辺に勝利し第15代プリプリ王者に返り咲いた。その初防衛戦が、3.16大田区総合体育館で開催される『GRAND PRINCESS ‘25』で行われる。対戦相手は辰巳リカ。「瑞希好き」を公言している挑戦者と、初のシングル戦に臨む。
「(専門誌の裏表紙を見せて)リカさんからの手紙(内容的には完全にラブレター)がついている裏表紙って前代未聞じゃないですか? これだけ愛情を語られると逆に怖くないですか?(笑) でも私が東京女子に来たとき(前編参照)に、リカさんが裏で『私は瑞希が好き』と言ってくれていたらしくて、そのおかげですぐに東京女子に馴染めたんですよね。
(2.8後楽園ホール大会の)前哨戦では、まだ私はリカさんのことを疑っていたのかもしれないです。距離感を完全に縮められないというか、何をしてくるかわからないというか。これだけ好きだ好きだと言ってくれているのに、距離がある(笑)。でも、まっすぐ向かってきてくれたのを感じて、全部さらけ出そうと決意できました。リカさんとはシングルをしたことがないので、私もリカさんに対する挑戦者という気持ちで臨もうと思っています」
最後に、長谷川美子や芦田美歩など他団体でデビューし東京女子を主戦場にする、瑞希のいうところの「転校生組」について聴いてみた。
「私も転校生組だったので、東京女子をもっともっと知ってもっともっと大好きになったら、見えてくるものがたくさんあるのかなって思います。皆すごく一生懸命で気持ちはすまっすぐ向いていて、とてもいいなって思いました。トレーニングを頑張るだけでは強くならないことを私はもうわかっているんです。気持ちも強くならないとダメですし、東京女子でいろいろな感情を知って、たくさんの楽しい・悔しいという気持ちを感じて大事なものを見つけてもらいたいなと思いますね」
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