スポーツカーに憧れた女子大生が、一度は手にした国産名車。泣く泣く手放した過去がある。社会人になって、家族げんかをきっかけに思い切って買ったのは、意外な国産モデルだった。“紆余曲折”もありつつ、現在はサーキット走行を目いっぱい楽しむ、36歳女性会社員の愛車物語とは。

愛車は日本にわずか5台の超希少アメ車…ハーレーも乗りこなす52歳俳優のクルマ＆バイク愛（JAF Mate Onlineへ）

「ノリと勢いを大事に生きていて、愛車もノリと勢いで手に入れました」。カーイベント会場に、クルマ好きの女友達と参加した女性は、爽やかな笑顔を見せた。

　スズキ・スイフトスポーツ（ZC33S型）。イエローのボディーカラーにカーボンボンネットがスタイリッシュに映える。2020年に中古で入手した。

　クルマ好きの一家に生まれ、少女時代から親しんできた。「兄が当時新車でエボIX（三菱・ランサーエボリューション）を買って、乗せてもらったのですが、『スポーツカー、やばい』ってなって。「これはきた！」と直感したんです」。

　就活が落ち着いた大学4年生の時、一大決心をする。欲しかった欲しかったマイカーを手に入れたのだ。

「エボVIIIを自力で買いました。それも、家族に無断で（笑）。自分で考えて自分でお金を出したので、そこは自分を貫きました。当時は高騰する前だったので100万円台でしたが、バイトで貯めたお金を頭金にして、残り半分はローンを組みました。最初に聞いた両親は『えーっ』という反応でしたが、クルマ好きの一家なので、購入後にOKをもらいました」。大学卒業と就職を控えたタイミング、なかなか大胆な行動だった。

　いざ社会人として働き始めると、大きく環境が変わった。仕事中心の生活になり、時間もお金もやりくりが大変になってきた。「結局は1年で手放すことになりました」。苦渋の決断だった。

　そこからしばらくは、家の車に乗っていた。5年前に転機が訪れる。クルマ愛好家でもある祖父と、ちょっとしたけんかをしてしまった。祖父の愛車を使わせてもらっていたのだが、「もう乗るな」と言われ、売り言葉に買い言葉で、「じゃあ自分で買う！」とたんかを切った。

　実際に行動に移した。当初は憧れのランエボの“買い直し”を想定したが、「もう10数年落ちで400万円とかになっていて、ちょっと手が出ないですし、パーツも少なくなっていて……」。このタイミングでは断念した。

「スポーツタイプで、なんかいいのないかな」。あれこれ検討する中で、目に入ったのが、スイスポだった。「ターボがあるじゃん！　と見つけたんです。それに求めていた4枚ドアで、『コスパいいじゃん』と決めました」。こうして運命の出会いを果たした。

“走り”を意識して、コンピューターをチューニングし、吸排気系をカスタム。カーボンボンネットもお気に入りだ。サーキット走行にもチャレンジを始め、今年で3年目になる。“ガチで走り込む”というよりは、ほどよくサーキット場を楽しむといったスタイルだ。「街乗りをしていても、たまにちょっと踏み込む、この感覚がいいんですよ。やっぱりマニュアル運転は自分で操作しているという、そこに楽しさがありますよね。もうマニュアルの新車は出なくなるかもしれない。そう思ったことも、スイスポを買った理由の1つです」と語る。

　カーミーティングに誘った女友達は、実はスープラ乗りというからびっくり。「女性ドライバーのお友達も増やしたいですね」と優しい表情を浮かべる。

　充実のスイスポ生活。「スイフトは、オーナーさんによっていじる路線が違って、ラリー仕様にしていたり、街乗りでかわいく、かっこよくカスタムしていたり、幅広さが魅力だと思います。皆さんのいいところを盗みながら、これから進化させたいですね」と目を輝かせた。