「車オタク」が選んだ究極の1台 気になる価格は…人生最後の愛車に「死ぬまで一緒」
旧車オーナーにはそれぞれのヒストリーがある。70代オーナーのハイサイさんは、20年前、憧れの車を手に入れた。その後、10年以上にわたり、仕事が忙しく、沖縄の納屋に保管していたが、仕事が落ち着くタイミングで路上復帰。「これが最後の車」という相棒と、充実のカーライフを送っている。
「やっと手に入れた」 お宝カーを自ら整備し公道へ
旧車オーナーにはそれぞれのヒストリーがある。70代オーナーのハイサイさんは、20年前、憧れの車を手に入れた。その後、10年以上にわたり、仕事が忙しく、沖縄の納屋に保管していたが、仕事が落ち着くタイミングで路上復帰。「これが最後の車」という相棒と、充実のカーライフを送っている。
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ハイサイさんの愛車は、「絶対欲しかった」という1972年式の三菱ギャランGTO(グレードMR)。しかも、改造せずにノーマルのまま維持する貴重な1台だ。
「路上復帰したのは8年前。手に入れたのは20年前。手に入れて、ずっと納屋に置いてた。ナンバー抹消して」という特殊な事情を持っている。
もちろん、乗るつもりで購入したが、たまたま仕事が忙しい時期と重なった。
「絶対乗る、運転するつもりで買った。だけど、ちょっと余裕はなかったから。金銭的な余裕と、仕事の余裕がね。やっと落ち着いてから、じゃ路上復帰しようということで。コツコツ、コツコツ自分で仕上げて」
もともと大の三菱党。「過去にモータースポーツとかラリーで活躍してたでしょ。いろんなGTO、FTO、ランサー、ギャランとかいっぱいありますでしょ。やっぱGTOのホットモデルだと思って」。グレード最上級のMRは、生産期間わずか2年という激レアカーだ。
「三菱で初めてツインカムのエンジン載せたんだよ。そしてアメリカンスタイルでしょ。後ろに、テールが出てる。このスタイルがなかなかない」
譲り受けたのは、ギャランばかり数台を持つ愛好家からだった。
「本人と交渉してね。話をつけてもらって、やっと手に入れた」
当時ハイサイさんは、沖縄でホンダの初代プレリュードに乗っていた。
「沖縄に1台しかない左ハンドルを持っていた。あれを売れば、これ買えるなと」
伝説の愛車を手放してまで、どうしても手に入れたい車だった。
金額については、「ちょっと言えない」と口をつぐんだ。中古価格は状態にもよるものの、「500万は超えているんじゃないか。多少は程度が落ちても、意外とみんな高いよ」とプレミアがついている。
沖縄の納屋で保管していた間、ハイサイさんは東京や千葉で事業を展開。仕方なかったとはいえ、どんな思いがあったのだろうか。
「乗れなかった時期はいつかは復帰してやろうとずっと思ってた。沖縄に帰った時にちょこちょこ手入れしたり、その繰り返しだった。機械的なものだから常にエンジンかけてなきゃいかんでしょ。まあ、私はいじりが好きだから」
現在、車はマツダRX-7、ミニクーパーも保有しているが、いずれも整備は自ら行っている。
「お店とかには持っていかずに、全部自分でやる。登録まで全部やる。コツコツ仕上げるの好きだから。でっかいプラモデルみたいにね」
とはいえ、ギャランは2台に比べても圧倒的に古い車だ。いつ故障しても直せるようにと、トランクの中には工具と消火器を忍ばせている。
「運転中に止まったこと? あるよ。いつも応急処置のもの持ってるから。どこが故障したか分かる」
ギャランとは一心同体。車にとって、これほど心強いオーナーもいないだろう。「奥さんはいるけども、別に女遊びもしないし、これ一筋。まあ車オタク」。ハイサイさんの熱量は家族の理解も得ている。
快適じゃなくても高い満足感 「動かなくなるまでは持つ」
乗り心地にこだわるなら、最新の車の方がはるかに快適だ。
しかし、そのような選択肢は全くない。
「今の車は楽だよ。楽だし、ハンドルも軽いし、ブレーキも軽いし、パワーウインドーもついてる。エアコン、空調、ばっちりだしな。今思えば、この車は快適じゃないよ。快適じゃないけども、昭和のレトロ感覚いいじゃないですか」
唯一無二のデザイン。そして、乗れば乗るほど不思議なことに、愛着が湧いていくる。
「オーソドックスな形がいいんじゃない。最近の車はどこのメーカーか分かる? この頃は分かるよ。誰が見てもこれギャラン、あれカローラ、スカイラインとかね」
年齢を重ね、いつまで車に乗れるか分からないが、人生で“最後の車”と決めている。
「ずっと持つよ。もう年だしな。死ぬまで一緒。動かなくなるまでは持つ。あとはまた考える」とハイサイさんは言い切った。