「おそらくこれが最後の1台」世界で愛された名車の“ラス1” 家族から「車じゃない」と不評のワケ
愛車の手入れはすべて自分で――。65歳のカーオーナーは今も現役で学生たちにその熟練の技を教えている。都内で行われた旧車祭に自慢の1台を展示した男性は、その祭りに初回から参加する、いわゆる“古参”。愛車に込めた思いを聞いた。
購入金額はおよそ300万円
愛車の手入れはすべて自分で――。65歳のカーオーナーは今も現役で学生たちにその熟練の技を教えている。都内で行われた旧車祭に自慢の1台を展示した男性は、その祭りに初回から参加する、いわゆる“古参”。愛車に込めた思いを聞いた。
「クルマは人生のパートナー」 ポルシェにランドローバー…31歳人気女優の愛車遍歴(JAF Mate Onlineへ)
東京・国立市で開催された「谷保天満宮旧車祭」。1970年式のホンダS800を展示していたのは深尾雄一さんだ。「おそらくこれが最後の1台だと思います。中には違うと言う人もいるんだけど、いろいろ調べるとどうもこの車体番号が一番最後みたいです」と貴重な1台であることを教えてくれた。
「僕は1台が長いんですよ。バモスも8年乗っているし、これ(1970年式ホンダS800)も12年、その前のポルシェが7年かな。ジープとかハイラックスとかも乗ってきました」と華麗な愛車遍歴を明かした。
鮮やかに輝く赤の車体が、イチョウが宙に舞う境内に映える。通称「S8(エスハチ)」と呼ばれた大きな丸目のヘッドランプが特徴的な2シーター。ホンダ公式サイトでは「モータースポーツの恰好の入門車としても圧倒的な支持を集め、数々の国内レースで大活躍を続けた」、「現在なお世界中に熱烈なファンを持つ伝説のスポーツカーとなった」と紹介される、言わずとしれた名車だ。2023年にはNHK BSプレミアムで放送されたドラマ『グレースの履歴』で、俳優の滝藤賢一や尾野真千子が乗っていたことでも話題になった。
現在、「四輪で持っているのはこれとホンダのバモスだけ」という深尾さん。旧車にハマったのは、幼いころから車が好きだったことが理由だという。「今は商売で整備士を育てるための学校で教えているんです。講師といった感じですね。ほかにも専門学校とか振興会、自動車大学校にも行っています」。自身の体験や知識を受け継いでいるという。
ハンドル周りなど車内パーツの取り付けは、もちろん全て自分の手で行っている。驚きなのはボンネットの中。なんとリザーバータンクをペットボトルで代用しているのだ。「ちゃんと機能していますからね」と自慢げな深尾さん。確かに腕は本物だ。
「やっぱり気に入っているのは音とエンジンですね。ここもフランスの表示なんですよ」とボンネットの中を披露。購入金額はおよそ300万円で、前のオーナーから購入したと話す。これまで乗ってきた愛車の総台数をたずねると「いや~分からないなあ(笑)。だいたい10~20台ぐらいですかね。バイクは5~60台はいっていると思います」と明かした。
お気に入りの1台も家族からは不評のようで、「『クーラーがない車は車じゃない』って言っていました。この車にクーラー? あるわけないです。扇風機です」と自身で取り付けた“冷房”を指差して笑った。それでも手放さない理由とは? 「まあ、好きですからね」。深尾さんはそうしみじみと話した。