子役デビューから25年…成海璃子、多感だった学生時代 ラップ聴きながら通学「全員敵と思いながら」
俳優の成海璃子(32)が9日午後11時からスタートしたABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』に出演している。ヒップホップと薬物の関係性に切り込んだ異色作となったが、学生時代からヒップホップが好きだった成海にとっては、夢のような世界が広がっていたと明かす。
変化した立場「話し合うことを意識するように」
俳優の成海璃子(32)が9日午後11時からスタートしたABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』に出演している。ヒップホップと薬物の関係性に切り込んだ異色作となったが、学生時代からヒップホップが好きだった成海にとっては、夢のような世界が広がっていたと明かす。(取材・文=中村彰洋)
ラップスキルのある警察官が違法薬物を摘発するためにラップグループに潜入捜査を行ったという実話をもとに描いた本作。主人公となる警察官・伊弉諾翔吉を演じたのが、ドラマ初主演となるラッパーの般若だ。成海は、伊弉諾が配属された麻薬取締課に所属する刑事・高橋舞子を演じている。
ディープな話題に切り込んだストーリーとなったが、「元々ヒップホップが好きだったこともあったので、ぜひ参加したいと即答させていただきました」と前のめりで出演オファーを受けた。「台本を読んで、すごいストーリーだなと思いました。そして、これが映像になったらどうなるんだろうというワクワク感がありました」。
般若との共演シーンも多かったが、「最初からすごくナチュラルにご一緒させてもらえて、とてもやりやすかったです」と感謝を口にする。
「般若さんは私の青春だったんです。元々大ファンで、中高生の時は、般若さんの曲を聴きながら通学したりしていました。当時は多感だったこともあって、道行く人を『全員敵だ』と、にらみつけながら聞いていたかもしれません(笑)。今回の出演も、般若さんが主役だったからという点は大きかったです。ご本人にも直接、『ずっとファンでした』と伝えることができました。般若さんは『やや、勘弁してくださいよ!』って反応してくださいました(笑)」
実際にライブハウスでラッパー陣がラップするシーンも描かれているが、「個人的にはめちゃくちゃテンション上がっちゃいました」と声を弾ませる。「『般若さんだー!』とか、普通にライブを見に来た人みたいになっちゃう瞬間もありました」。
一方で、ラッパー陣と芝居を通して向き合う中で、新たな刺激を受けることもあったという。
「セリフを一言一句変えずに伝えるということがほとんどですが、この現場ではフィーリングだったりで言い回しが変わったりすることもあり、そういった時の瞬発力の高さはラッパーの人ならではなのかなとも思いました。私もその場その場で起こる化学反応を純粋に楽しむことができました」
ウェブドラマだからこそ描くことのできるディープな世界観。「大麻大麻ってよくこんなに言うなって思いました」と思わず笑う。「現場でも『大麻って言いすぎだよね』と般若さんとも話していたぐらいです。地上波では描けないような切り込んだ内容ですし、『どうなるのこれ?』という展開になっていると思います」。
パブリックイメージとは異なる素顔「多分わかりやすい人間」
7歳での子役デビューから数えると芸歴も25年。演技との向き合い方は「固めすぎない」ことだ。「準備をしすぎて現場に向かってしまうと、現場で『これをやってほしい』と言われた時に対応できなくなってしまうんです。セリフを自分の中でかみ砕いて、納得して現場に立ってみて、監督さんたちの意見を聞きつつ、作り上げていくようにしています」。
かつては現場で最年少ということも多かったが、今では年下の人たちと仕事を共にすることも増えてきた。「何か分からないことがあれば、お手伝いもしますし、なるべくみんなで話し合うことを意識するようになりました。壁を作ってしまっていた時期もあったかと思いますが、オープンにコミュニケーションを取れるようになったかもしれないです」と成長を実感している。
30代に突入してからはや2年が経過したが、心境の変化は「あまりないかもしれないです」と笑う。「年齢を重ねるたびに、『え、私こんなんで大丈夫?』ってビックリしています。いい大人なんだからしっかりしないといけませんね」。
SNSなどで発信することもなく、プライベートは謎に包まれている。パブリックイメージの大多数は、まさに今作で演じた高橋のような正義感にあふれ、真っすぐで凛とした人物像だろう。だが、当の本人は「全然違いますよ」と明るく笑い飛ばす。
「気性が荒い一面もありますよ(笑)。小さなことでイラッとすることもあれば、なにげないことではしゃぐこともありますし、多分わかりやすい人間なんだと思います。顔にもなんでも出ちゃいますし(笑)」
理想の俳優像は「現場で120%のパフォーマンスを出せる人」。「それを発揮できるように、プライベートも含め、費やせる時間は全て使っていきたいです」と意気込む。今後は新たなジャンルへの挑戦も見据えている。「『成海さん、恋愛物のイメージがないから、やってみたら?』と言われたら、『やってみたい』と思ったりもします。いろんなことに興味を持って挑戦を続けていきたいです」。
□成海璃子(なるみ・りこ)1992年8月18日、神奈川県出身。97年から演技を始め、2000年に『TRICK』(テレビ朝日)でデビュー。『瑠璃の島』(05年/日本テレビ系)でTVドラマ初主演、『ハチミツとクローバー』(08年/フジテレビ系)、映画『無伴奏』(16年)、『青天を衝け』(21年/NHK)など話題作に多数出演。直近ではフジテレビ系にて放送されたTVドラマ『全領域異常解決室』での怪演が話題に。25年1月9日からスタートするABEMAオリジナルドラマ『警視庁麻薬取締課 MOGURA』ではヒロインを務める。