父が亡くなり初めて知った“バイク好き”の素顔 タレント娘はハーレー乗りに「血筋ってすごい」
「亡くなった父はバイク乗りだったらしい」――。ふとしたタイミングで知った、生前の父が愛していたもの。家族のエピソードについて報告したSNSが話題を集めた。若い頃にバイクを駆った父の血を受け継ぐ娘は、父からはほとんどバイクの話を聞くことはなかった。それでも、今ではハーレーを乗り回し、バイクを通した地元の地域振興活動に取り組むまでのバイク好きに成長した。投稿者で、タレント・実業家として活躍する朝山すずさんに、運命の巡り合わせの家族秘話を聞いた。
2年前、55歳で他界した父 朝山すずさんが明かした運命の家族秘話
「亡くなった父はバイク乗りだったらしい」――。ふとしたタイミングで知った、生前の父が愛していたもの。家族のエピソードについて報告したSNSが話題を集めた。若い頃にバイクを駆った父の血を受け継ぐ娘は、父からはほとんどバイクの話を聞くことはなかった。それでも、今ではハーレーを乗り回し、バイクを通した地元の地域振興活動に取り組むまでのバイク好きに成長した。投稿者で、タレント・実業家として活躍する朝山すずさんに、運命の巡り合わせの家族秘話を聞いた。(取材・文=吉原知也)
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「亡くなった父は
バイク乗りだったらしい
これなんのバイク」
ジーンズ姿で、赤と黒のクールなカラーリングのバイクにまたがる青年。ちょっと自慢気に笑顔を見せている。朝山さんの父の若かりし頃の姿だ。
「父は若い頃、ちょっとやんちゃだったみたいです」。朝山さんは優しい口調で教えてくれた。その父は2年前、55歳で他界した。
岡山・津山市出身の朝山さんは、10代からモデルとして活動を始め、テレビリポーターなどを経験。現在、つやま産業支援センターPR大使(つやまPR大使)や『バイク王』の公式アンバサダーを務めており、バイクYouTubeチャンネル『山族ライダー』でバイクの魅力を発信している。新型コロナウイルス禍を機に、ライブ配信に取り組み、ライバー事務所の代表として奮闘。SNSコンサル業の実業家としての顔も持つ。
マルチに活動する朝山さんがバイクに出会ったのは、3年前のこと。YouTube開設時に、「幼なじみからドッキリを仕掛けられて、バイクの後ろに乗せられたことがきっかけです」。それまで興味のなかった二輪車の世界に、ひょんなことから一気に引き込まれた。バイクに初めて乗り、実際に免許を取り、自分でバイクを手に入れ、「すごく楽しいものだと知りました」。新しい世界が広まった。
インフルエンサーとしての知見を生かし、地元・津山の盛り上げに一役買っている。昨年4月には、全国のバイカー向けに、津山まで来てもらう町おこしスタンプラリー企画をプロデュース。地元の約100の事業者から協賛を得られ、約3か月間で1万人が津山を訪れる結果となり、大成功を収めた。
そんな朝山さんと父には、バイクの見えない絆があった。
父が車好きなのは知っていた。「何台も持っていて、車高が低い車やスポーツカーが置いてあったのは記憶しています」。
若かりし頃の父がバイクにまたがる印象的な写真を目にしたのは、2年前の父が亡くなった後のことだ。
「この写真は、祖母、私から見ると父の母が、父の仏壇に飾っていたんです。『お父さんはバイクが好きだったんだよ。若い頃によく乗っていたんだよ』と祖母から教えてもらって、『そうだったんだ』と驚きました。そこで初めて、父がバイクが好きだったことを知りました。正直なところ、父とは生前はそこまで仲がよくなかったこともあり、バイク歴やどれぐらい好きだったかは知らなかったんです。私が生まれた時には、何かの理由でバイクを降りていたみたいです」。初めて知る父の横顔だった。
ハーレーダビッドソン・883Nアイアンなど3台持ち
バイクを知らなかった女の子がバイクと出会い、最初はヤマハSR400を手に入れ、今ではヤマハ・セロー225と、ハーレーダビッドソン・883Nアイアンの3台持ちになるほどの愛好家になった。業界大手のアンバサダーにも任命された。その原点が父にあることを知り、奇跡的なバイクの縁に、自分のことながら感動したという。
その思いを共有しようと書き込んだ今回の投稿。7400件以上のいいねを集める大反響で、「超名車!! 憧れても手が届かんかった~」「懐かしい」「自分も乗ってました」「お父様がご健在なら熱く語り合えたと思います」「父親さんもバイク乗りなんて 遺伝ですね」「凄いですね、バイクで繋がってる」など、驚嘆と感動の声が寄せられた。
また、父の乗っていたバイクの疑問について、バイク好きのユーザーたちから多くの意見が寄せられた。「父のバイクは、スズキのガンマだと思います」。ウォルターウルフ仕様とみられる。どんなバイクなのかを多くのバイク愛好家から教えてもらい、感謝しきりだ。
「遺伝子・血筋ってすごいなあと思っています。私には兄もいるのですが、きょうだいの中でバイク好きなのは私だけなんです」。
仰天の“秘密”は、まだあった。
「私には生みの母がいて、数度しか会ったことがないのですが、その生みの母も大のバイク好きだったことを最近聞いたんです。私って、バイク乗り同士から生まれたんだって」と明かす。
朝山さんは、親子のつながりについて、「父は、もし娘の私がバイクを知ったらハマってしまいそうだと分かっていて、バイクのことを私に話さなかったのかもしれません。それぐらい私は熱中しているので。それに、父はよく、『お前は俺の性格に一番似てる』と言っていました。私はそれだけバイク乗りの血が濃いのかもしれません」と実感を込める。
「これからも自分の好きなバイクに乗って、好きな道を走り、好きに生きたいです」
父が好きだった曲を流しながら1人でバイクに乗る。これが朝山さんが大好きなバイクの楽しみ方の1つだ。「バイクに乗りながら、父との思い出に浸る時間が大好きです。私は、亡くなった人が、誰からも忘れられてしまった時に、本当に死んでしまうものだと考えています。だから、私はずっと父に思いをはせています」。
イベント開催など新たな挑戦をする中で、全国のバイカーが地元・津山の人たちと交流を深めたり、関東や関西のファンたちが仲良くなる姿を見てきている。「バイクは人の縁をつなげていく」。心の底から実感しているという。今後は「バイクの活動を通して、少しでも地元の盛り上げのお役に立てるよう頑張りたいです」と声を弾ませる。
天国の父に見守られながら駆け抜けていくバイクライフ。「これからも自分の好きなバイクに乗って、好きな道を走り、好きに生きたいです。もし父が生きてたらハーレーに今私が乗っていること、そしてバイク王のアンバサダーをしていることを伝えたかったですね。きっと父は喜んでいると思います」と結んだ。