激レア国産車を父→おじ→息子と継承 ベテラン業界人も太鼓判の1台は「よく残っていた」
父が当時新車で手に入れた国産名車に、おじが乗り、息子に受け継がれた。1983年式の日産ダットサン・ブルーバード SSS-S(U11型、前期型)。黄色と黒のボディーカラーが印象深い1台は、現役バリバリで走っている。“家族の証し”として乗り継がれる貴重車には、奥深い物語があった。
「このグレードで黄色と黒のボディーカラーはなかなかないと思います」
父が当時新車で手に入れた国産名車に、おじが乗り、息子に受け継がれた。1983年式の日産ダットサン・ブルーバード SSS-S(U11型、前期型)。黄色と黒のボディーカラーが印象深い1台は、現役バリバリで走っている。“家族の証し”として乗り継がれる貴重車には、奥深い物語があった。
「このカクカクとした黄色と黒のスポーツタイプのクルマが、僕にとっての“クルマ”のイメージなんです」
37歳の男性オーナーは、今年の正月に受け継いだばかりの、父とおじのブルーバードを誇らしげに見つめた。まさに自身の原点だ。
今は70代の父が、約40年前に新車で手に入れた。父の弟、オーナーにとってのおじが乗り継ぎ、一家の大切な愛車になった。そのおじも高齢となり、後継のタイミングとなった。
「父から、『乗れば?』と言われて、基本的には前向きだったのですが、『ちょっと中身を見てみてみる』と答えたんです」
日産のディーラーに持っていくと、古いクルマが大好きなディーラーは大喜び。チェックしてもらったら、「絶好調です」と太鼓判を押してもらった。消耗品であるゴムの部品を交換したぐらいだった。今年の正月休みにブルーバードを取りに行き、晴れて息子がオーナーになった。
「赤ちゃんの頃から乗っているクルマで、僕自身ずっと好きだったクルマ。こうして乗れるようになってうれしいですね」。大人になって、自分がハンドルを握る時が来た。なんとも感慨深い。
乗り心地は加速度にも大満足で、「モードのスイッチがあって、ノーマルとハードに切り替えることができます。まるで違うクルマに乗っているように感じられて、楽しいですよ」と声を弾ませる。
当時の「そのまま」をキープ。ベテラン自動車販売関係者も「よくこのカラーリングのものが、この状態で残っていた」と驚くほどの素晴らしい個体。オーナー自身も、「このグレードで黄色と黒のボディーカラーはなかなかないと思います」。そうそう巡り会えない激レアな1台だ。
責任感が強く、「こうやって自分が乗ることになってうれしい反面、ちゃんと直して維持していけるかなという心配もあります」。旧車オーナーになったばかりの率直な心境を明かす。
普段はジムニーに乗るオーナー。このピカピカに輝く激レアカーは、主にカーイベント出展の際に動かすことで、しっかり“動態保存”に取り組んでいくつもりだ。
家族にとっても、自身にとっても、「大事なクルマ」。これからも丁寧に取り扱って乗っていく。それに、「将来いつか、僕自身から継承することができれば」。世代を超えて、日本の名車が引き継がれていくだろう。