池内博之の飽くなき向上心「いつかハリウッドに」 アジア映画経験で「器が大きくなった」
壮大なスケール感で話題となったドラマ『インフォーマ』の新シリーズ『インフォーマ -闇を生きる獣たち』がABEMAで11月7日からスタートする。前作に続いて、今作でも桐谷健太演じる謎の情報屋“インフォーマ”木原慶次郎が巨悪と激突するが、今作で木原の前に立ちはだかる鬼塚拓真を演じたのが池内博之(47)だ。近年、日本のみならずアジア映画への挑戦も続ける池内に、今作への思いや俳優業への向き合い方について聞いた。
『インフォーマ 』出演は「『絶対やるでしょ』と即答」
壮大なスケール感で話題となったドラマ『インフォーマ』の新シリーズ『インフォーマ -闇を生きる獣たち』がABEMAで11月7日からスタートする。前作に続いて、今作でも桐谷健太演じる謎の情報屋“インフォーマ”木原慶次郎が巨悪と激突するが、今作で木原の前に立ちはだかる鬼塚拓真を演じたのが池内博之(47)だ。近年、日本のみならずアジア映画への挑戦も続ける池内に、今作への思いや俳優業への向き合い方について聞いた。(取材・文=中村彰洋)
――今作への出演経緯をお教えください。
「すごく重要な役という形でオファーをいただきました。僕も前作は見ていて、すごくスリリングで緊張感のある作品だなと思っていました。それでいて、なかなか描かれないような部分を題材にしていて、リアリティーがあっていいなと思っていました。なので、『まさか』とびっくりしましたね。もちろんうれしかったですし、『絶対やるでしょ』と即答でした」
――今作では悪役でしたが、オファーを受けた時はいかがでしたか。
「最近は悪役が多いんです。この前の韓国映画もスパイ系の話だったんで、情報屋ではないですが、似た部類でしたね。僕の演じた鬼塚のすごく大事なところは、彼がなんでそういった人格になったのかという部分です。物語の後半で明かされますが、そういったベースがあるからこそなんですよね。撮影自体はタイロケから始まったので、鬼塚という人格ができあがった後から撮影して、後半に過去の回想シーンを撮影したので、その部分での気持ちの持っていき方は難しかったです」
――作中ではタイ語も話されていますが、このために勉強されたのでしょうか。
「時間もなかったので、セリフをたたき込んだ感じでした。そもそもタイ語を話す設定はなかったんですよ。でも、鬼塚という人間を考えた時に、英語ぐらい話せるんじゃないかなと思って、直前にそんな話をしていたんですよ。『それいいですね!』となっていて、もしかしたら変わるかもと思っていたんだけど、そしたらいきなり『タイ語でお願いします!』って。『いや、英語じゃねえのか』って(笑)。それに伴って鬼塚の設定も若干変わったりもしましたが、結果的には良かったですね」
――池内さんの発言がそのまま役に反映されたんですね。
「そうなんですよ。最初はカタコトでいいって話だったんだけど、本番で現地の役者さんに全然通じてなくて。それだと芝居自体が成り立たないので、全部やり直しました。現地入ってからのやり直しで、結構大変だったんですけど、最終的にはOKをもらえたので、なんとか通じたのかな(笑)」
――大きな規模感となっていますが、その辺りを感じる部分はございましたか。
「タイの制作チームも入っていて、スタッフの人数も多くて、本当に海外の作品を撮っているような感覚でしたね。本当に人数がすごかったです。日本の撮影の感覚とはまた違う感じがしました」
農業を経験で心身をリフレッシュ「デジタルデトックス」
――ここ数年で池内さんはアジア圏の作品に出演することも増えました。日本との違いを感じることはありますか。
「撮り方や労働時間などは全く違いますね。作品づくりの中で、すごく時間をかけて撮るイメージがあります。ワンシーンに1日かけることもありますね。普通だったらサラッといきそうな部分も細かくやっていて、カットがかかったら『池内、来て』とモニターを確認して、『あなたの演技はこうだから、もうちょっとこうして』と何回も撮り直したり。
なかなかハードで、何回も同じことを繰り返すと新鮮さもなくなってくるので難しいんですよね。(北野)武さんみたいに、そこにある緊張感を集中させて、1発でOKみたいなパターンとはちょっと違う。良し悪しはなんとも言えないですが、その辺りが違うなと思います」
――海外作品を経験して、ご自身の成長や変化を感じる部分はありますか。
「とにかく待たされるんですよ(笑)。朝に入って、夜までずっと待たされて、撮らないとか。扮装終わってもずっと待ってる。そんなのざらでしたね。でも、そこでフラストレーションを溜めていてもいいことないので、そういうもんだと割り切ってやるようにしました。器が大きくなった気がしますね。
国民性もあるとは思います。日本は何をするにしてもきっちりしていますよね。向こうでは『何時に入って』と言われて、行ったら誰もいないとかありましたからね(笑)。撮影が中止になったことを誰も伝達してくれなかったんですよ。最初の頃、日本の感覚でやっていると、『え、なんでこうなっちゃうの?』と思っちゃうんだけど、だんだんそれにも慣れていきましたね。そういうもんなんですよ(笑)」
――ここ数年で農業などスローライフを送る様子も発信されています。役者とは異なる一面を出していこうと思ったのはなぜでしょうか。
「始めたのは7、8年ぐらい前でしたね。きっかけも別に大したものではなくて、友達がシェア畑みたいなのを始めて、『やらない?』と誘われたのが始まりでした。それで教わりながらずっと続けている感じですね。その友達はなぜかもうやめちゃってます(笑)。
土を触ったりすることって、都会にいるとなかなか経験しないですし、僕自身もそういうことをするとは思っていなかったです。でも、自分で育てたものを収穫して食べるって楽しいんですよ。ものすごいパワーのあるものを体に入れている感覚で、『絶対体にいいんだろうな』とか。土の上に裸足でいる感覚も普通に生活していたら味わうことがないので『こういうのも体にいいのかな~』とか。デジタルデトックスってよく言うじゃないですか。そういう感覚もありますね」
――役者業に影響することなどはありましたか。
「直接的に何か左右されることはないですね。でも、自然と向き合って生きている人って、人間として大きくて、すてきな人が多いというイメージがあって、僕は昔からそういう人に憧れていたんです。そういう憧れがあったから、僕も始めたのかもしれないですね。だから、人間として当たり前のことを感じる大切さ、雨が降ることに感謝したり、そういうことが大事なんだなと感じるようになりました。そういったことがもしかしたら役者にもつながっている部分はあるかもしれないです」
――今後に向けて役者としてのビジョンはございますか。
「まだまだやりきったとは思っていないので、日本でも海外でもご縁があればいろいろやっていけたらいいなと思っています。ハリウッド映画にも出演してみたいですね。何度かオーディションも受けてるんだけどね。なかなかハードルが高いです。もっともっとやっていきたいですね」
ヘアメイク:シンヤ