俳優の二宮和也が、桐谷健太主演ドラマ『インフォーマ』の新シリーズ『インフォーマ -闇を生きる獣たち』（ABEMA、11月7日スタート）に警察官僚・高野龍之介役で出演する。これまで見たことのない“二宮和也”の一面が見られる本作。出演の決め手は、桐谷からの熱烈なオファーだった。

――前作からの『インフォーマ』ファンだとお聞きしました。続編の制作を聞いた時にどう思われましたか。

「僕は最初『出たい』というよりも、『続編をやる』と健太くんから聞いた時、『また見られるんだ』ってすごいうれしかったんです。それで『今回はタイに行くねん』とも聞いていたので、スケールアップという面でも、非常に期待していたので、出る出ないではなく、また見られるんだなとワクワクする気持ちでいました」

――ご自身が実際に『インフォーマ』の世界に入ってみて、感じたことなどはございましたか。

「視聴者として見ていた作品に出るという経験があまりなかったので、どうやろうかという部分は、監督さんたちと毎話、お話をさせてもらいました。見ていた作品にミートしていくような感覚で、現場でアジャストしていった形でした。

　僕にとっては夢のような世界が広がっていました。キャストの皆さんが大暴れしていて、日本刀を持って走り回ってたり……。こんな狂った現場ないんですよ（笑）。それを横目で見ながら、僕の中では“舞台版インフォーマ”を見ている感覚でした。めちゃくちゃぜいたくな時間でしたし、この作品でなければ出会えない人もたくさんいたので、本当に貴重な経験でした」

――桐谷健太さんからの熱烈な出演オファーがあったとお聞きしています。

「『続編にはニノに出てほしいねん』みたいなことをずーっと言ってくれていました（笑）。続編の撮影が決まる前、それこそ2年前ぐらいからずーっとです。実際に続編をやると聞いて、健太くんから『ほんまに出てほしいねん』と改めて言ってもらえて、僕から藤井（道人）さんに『出たいです』と連絡しました。

　スケジュールの調整が難しくて、ギリギリまで待ってもらいました。その時はまだ役名も役柄も何にも聞いていなくて、『出られるとしたら、いつなら空いてますか』というやり取りをずっとしていました。ようやく決まって、『高野です』と言われたときは安心しましたね。

　他の皆さんはタイに行って撮影していた時期でした。本当になんとか着地できてよかったですし、僕自身もそういったギリギリのやり取りをした経験が初めてだったので、いろんな方に助けてもらいながら、出演することができました」

――タイでの撮影にも参加されたのでしょうか。

「タイには行けなかったですね。僕が『ブラックペアン シーズン2』（TBS）の撮影をしている最中で、『ブラックペアン』チームに『1週間タイに行ってもいいですか？』と聞いたんですけど『ダメです』って（笑）。そこからどうにか出演だけでもできる形をいろいろと考えていただきました」

――そんなにもハードスケジュールの合間を縫ってまで、出演したいと思えた1番の理由はどういった部分でしょうか。

「これはもう桐谷健太じゃなきゃ出てないですよね（笑）。それこそ、この作品が面白い・面白くない、評判が良い・悪いとか関係ないんですよ。桐谷健太が『出てくれ』と言い続けてくれていたから出るんです（笑）。

　俳優や芸能人として以前に、1人の人間として人に頼ってもらえるっていうのは、やっぱり気分がいいですよね。『こんなに言ってくれるんだったら行ってみるか』って。こんなに呼んでくれているのに、『スケジュールで出られません』という俳優としての人格ではなくて、『もういいじゃん。これだけ言ってくれてんだから、行ってあげなよ』という人間性が勝りましたね。この作品が今後どういう位置にいこうが、それはもはや関係ないんです。あの人が呼んだから行ったっていう、本当にシンプルな話でした」

――そこまで二宮さんの心を動かす桐谷さんの魅力はどういった点なのでしょうか。

「とにかく健太くんは裏がないんですよ。1番信頼できる人なんだなと思ったのは、動物があまり吠えないことですね（笑）。長瀬（智也）くんと仲が良いことも1つ信頼できる部分でした。長瀬くんって天然でマイワールドが強い人なので、自分の趣味での人脈の方が強い人で、芸能の人だとなかなか分かち合える人が多くないんですよね。その中でも仲良くしている健太くんは珍しいんですよ。

　一緒に作品をやっていても、本音でずっとぶつかってくる。ポジティブで真っすぐに『自分はこうしたいんや！』となる部分もありますが、『ほんまにこれでええんやろか』とちゃんと悩むんです。普通の人だったらあまり見せたくない部分もちゃんと見せてくれるっていうのは、やっぱり犬に吠えられない理由なんでしょうね（笑）。うそをつかない人なんだなというのが、僕は昔から好きなところです。気づいたら共演する機会が増えていって、そんな関係がここ3、4年続いています」

――桐谷さんの人間性に驚かされたエピソードはございますか。

「『ラーゲリより愛を込めて』でガッツリと共演した時にすごさを感じました。現場で捕虜役のエキストラさんとめちゃくちゃ仲良くなっていたんです。『あれ？　健太くんいないよ』みたいになると、エキストラさんたちと一緒に野球をしていたり、雪かきしているんですよ（笑）。でも、演じている役ではその人たちからめちゃくちゃ嫌われてるんです。『ホント、おもろい人だな～』と思って（笑）。

『インフォーマ』に関しては、健太くんは熱い思いを誰よりも持っていたと思います。あの人の頭の中にあるピースがハマっていく瞬間というのは、すごくうれしかったんじゃないかなと思いますね」

――実際に『インフォーマ』の現場で桐谷さんと共演されていかがでしたか。

「健太くんが座長を務めるチームを見ることができたのは大きかったですね。ちゃんと自分のチームになっていて、海外で同じ釜の飯を食ってきた仲間たちとの絆は揺るがないものがあるなと思いました。気持ちのいい現場でしたね。やっぱりあの人の現場っていうのは、悪意に満ちていないし、本当にポジティブでストレートな現場なんです。でも、扱っている内容は全部真逆（笑）。『よーい、スタート』からカットがかかるまでの数秒間が異質なものになっていて、おもろい現場でしたね」

――前作のキャスト陣と共演されて、感じたことはありましたか。

「（高橋）和也さんとの共演が感慨深かったです。前の事務所の話もできましたし、自分が後輩然としていられた現場でもあったので、本当に過ごしやすかったです。世間話もしながら、芝居をしてみたいなぜいたくな時間でしたね。森田剛くんにも会える時があって、前の事務所の頃から、剛くんとはよく話していたので、懐かしかったし、うれしかったです」

――配信ドラマへの出演は珍しい印象がありましたが、地上波ドラマや映画との違いを感じる部分はございましたか。

「それこそABEMAに出ることが初めてだったので、現場自体がどういうものかもあまり分かっていませんでした。僕は撮影期間も短かったんですけど、いろんな人とあいさつをさせていただいたり、現場ではお姫さま状態でした（笑）。

　今回撮影をしていて思ったのは、俳優たちがちゃんとした権利を持っているなということでした。テレビドラマがそうではないというわけではないのですが、どうしても時間に負けてしまう場面も多々ありました。そうではなくて、イチ俳優のちょっとした疑問にも向き合って時間を割いてくれるというのはぜいたくだなと思いました。

　もしかしたら、あの人の現場だったからかもしれないですが、時間をかけて向き合ってもらえてるんだなという点は、初めて配信というコンテンツに来て、思ったところでした」

――さまざまジャンルで活躍されていますが、俳優業に対する意識の変化などはございましたか。

「僕は基本的に面白い現場の声が聞こえたら、そこに顔を出せるように努力しようとずっと思っています。それは1人になってからも変わらずにやらせてもらっています。『インフォーマ』もそうですが、たくさんの作品に出ているわけではなくても、『この作品に出てみたい』と思う現場には、積極的に行けるようにしています。それは主役だろうとなかろうと、ワンポイントでの出演であってもそう思っていますね」

ヘアメイク：浅津陽介