おじの免許返納で廃車に…「それはもったいない」 スカイラインを継承した21歳おいの覚悟
一度は「廃車にする」方向に傾いた日産スカイラインに“待った”をかけた。1993年式のスカイライン R33(GTS)。30年間乗ってきた父方のおじが免許返納をすることになり、クルマ好きのおいが継承した。そのおいは21歳で自動車整備士として働いており、生粋の「スカイラインマニア」だ。歴史・産業文化の面でも価値のある旧車を「引き継ぐ」思いに燃えている。
なぜGT-Rを選ばないのか 用意周到でレストア整備を計画
一度は「廃車にする」方向に傾いた日産スカイラインに“待った”をかけた。1993年式のスカイライン R33(GTS)。30年間乗ってきた父方のおじが免許返納をすることになり、クルマ好きのおいが継承した。そのおいは21歳で自動車整備士として働いており、生粋の「スカイラインマニア」だ。歴史・産業文化の面でも価値のある旧車を「引き継ぐ」思いに燃えている。
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「それはもったいない。乗らせてください」
80代で免許返納を決めたおじ。スカイラインの今後に関する話を聞いたとき、おいの男性オーナーは自分が引き取ることを申し出た。
引き継いで2年。受け取った当時のメーターは8万キロという奇跡の個体だ。車検は問題なし。ラジエーターなどを一部修理し、計器を変えるなど必要な整備を行っており、今も走行ぶりは健在だ。
このR33は足車として普段乗っているというが、「マニア」だけに、そのコレクションの収集ぶりも白眉だ。
「父とR34の4ドアを2台、R31ハードトップ後期、R31ワゴン前期、R30後期ターボC、あとこのR33です」。その数はなんと計6台。そして、“飾ったままにしない”が信条で、公道を走ることのできるようにナンバーを取って、動かし続けている。
自動車関係の仕事をしている父の影響を受けて、クルマ好きに育った。もともとスカイラインが大好きで、「マークIIやクレスタも好きですよ」。自分が選ぶ愛車には確固たる信念があり、「基本的に4ドアセダンが大好きなことがあって、『ゆったり乗れて速いクルマ』を趣向しています。燃費・維持・整備性。この3原則もあります。それに、誰も乗らないだろうという、乗る人が少ないちょっとマイナーなクルマも好みなんです。例えば、オーナーが年配の方でナンバーが2ケタでよく大事に乗られているなと言われる、そんなクルマが自分には当てはまるんです」と語る。GT-R志向には走らなかった。
語り口調はさらにアツくなる。「僕自身、古いモノが好きで、レコードやカセットテープを集めています。小学生のころからユーミンも大好きです。趣味は、どんどん時代をさかのぼっています」。レトロ好きの20代にとって、旧車へのこだわりは深まっていく。
特別なR33の今後は、用意周到の整備を進めていくつもりだ。バンパーやヘッドライトなど替えられるプラスチックパーツの交換部品はすでにそろえている。「来年をめどに板金に出して、同じ色できれいに戻す予定です。オートマ4速ミッションもエンジン回りも整えて、これからの30年を可もなく不可もなく乗れるように直していきたいです」と言葉に力を込める。
このR33で何より笑顔になれることがある。前オーナーであるおじを乗せてのドライブだ。「おじを横に乗せて走ることもあるのですが、『調子よくなってる』と言ってくれて、本当にうれしいです」。世代を超えて、走る喜びを共有している。
とはいえ、費用がかかり、管理が大変なことも旧車維持の課題だ。“担い手”の存在も重要になる。だからこそ、「継承」の重要性を実感。「いかに次世代に受け継いでいくか。人を集めることも大事だと思っています。スカイラインと人生を一緒に進んでいきたいですね」と満面の笑みを見せた。