最凶の悪役に「共感」するワケ…ホアキン・フェニックス「ジョーカー」の“危険度”
驚きよりも遂にきたかという印象が強いホアキンのアーサー役
ジョーカー最新版の本作は、ホアキン・フェニックスの強烈な演技が絶賛されている。ホアキンは、若くして亡くなったリバー・フェニックスの弟としても知られる。早くもアカデミー賞の候補だと言っても過言はないだろう。
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それに、特徴的なのは“笑い”だ。主人公のアーサーは、発作的に笑ってしまう病気を患っている。人前で笑うべきタイミングではないのに、大声で笑ってしまうのだ。アーサーの姿は、世間一般から見れば異様に映る。
バットマンに登場するジョーカーは、常に不気味な笑い声を上げ、常軌を逸した行動を繰り返す。“笑い”はジョーカーの象徴でもある。松本氏はホアキンの演技について、次のように指摘する。
「ジョーカー役はこれまで、役作りで大変だったと言われてきた。でも、ホアキンの場合は昔から悪役もやってきているので、個人的には『遂にホアキン・フェニックスが来たか』という感じです。ホアキンはやっぱりすごい俳優ですね。映画全体の流れで言うと、劇中で流れる音楽も役柄とリンクしていて印象的でした。若者が権力に立ち向かっていく、1970年代のアメリカン・ニューシネマみたいな展開は大好きですね。ロバート・デ・ニーロも出演していますし、『タクシードライバー』と対比されるのもわかる気がします」
善悪だけでは割り切れない現実がそこにある
そんな映画「ジョーカー」は日本で驚きのヒットとなっている。さまざまな要因が考えられるが、松本氏は次のように分析する。
「明るい話題と背中合わせの閉塞感というか、僕はこの映画に共感してしまうポイントが多いのかなと思いました。資本主義のシステムの上で生きていると、やっぱりお金を持っている人が絶対勝つじゃないですか。極少数の資本家が、大多数の労働者を搾取する構図は今も昔も変わりません。それを顕著に描いているのがこの映画だと思うんですよ。今の日本社会の影の部分とリンクしているように思えます。僕の作品と共通するのですが、善悪だけでは割り切れないものが現実にあるということを、改めて感じさせる映画なのかなと思います」
□松本優作(まつもと・ゆうさく)1992年神戸生まれ。27歳。ヒラタオフィス所属。
23歳の時に撮影した映画「Noise」が長編映画デビュー作となる。テアトル新宿ほか全国で公開。同作はモントリオール世界映画祭、レインダンス映画祭など多数の映画祭に正式招待される。また、海外メディア”Asian Film Vault”ではアジアランキング第4位。ニューヨーク、サンフランシスコでも劇場公開される。短編映画「日本製造/メイド・イン・ジャパン」がイオンシネマほか全国公開。本作は、若手の登竜門として知られる「MOOSIC LAB 2018」にて審査員特別賞・観客賞・最優秀男優賞の3冠受賞。プチョン国際ファンタスティック映画祭でインターナショナルプレミアを成功させる。MOONCINEMAPROJECTにてオリジナル企画「BagmatiRiver」がグランプリを受賞。広告作品にレクサス、ユニリーバなど。