乙女塾出身の今井佐知子が29年ぶりステージへ 元アイドルの娘と親子初共演も「やりにくいんだけど~」
フジテレビ主催「乙女塾」出身のアイドルグループQlair(クレア)の元メンバー・今井佐知子が1日、芸能界引退後、初のソロCDをリリースし、29年ぶりに都内で記念イベント「心からありがとう」を開催した。わずか数分でチケットが完売した昼と夜の2回公演には、今井を応援しようと乙女塾出身のメンバーも客席に駆けつけた。夜の部では、元アイドルの愛娘・稲垣鈴夏さん(現在は引退)とステージ上で親子共演も実現した。
元Qlairの今井佐知子がCD発売記念イベント「心からありがとう」を開催
フジテレビ主催「乙女塾」出身のアイドルグループQlair(クレア)の元メンバー・今井佐知子が1日、芸能界引退後、初のソロCDをリリースし、29年ぶりに都内で記念イベント「心からありがとう」を開催した。わずか数分でチケットが完売した昼と夜の2回公演には、今井を応援しようと乙女塾出身のメンバーも客席に駆けつけた。夜の部では、元アイドルの愛娘・稲垣鈴夏さん(現在は引退)とステージ上で親子共演も実現した。(取材・文=福嶋剛)
Qlairは、乙女塾4期生の今井、5期生の井ノ部裕子、吉田亜紀で結成され、1991年7月7日にシングル『瞳いっぱいの夏』でデビューした。CoCo、ribbonに続く第3のグループとして期待されたが、シングル7枚、オリジナルアルバム3枚、ベストアルバム1枚を残し、3年半で活動を終えた。今井はソロに転向したが1年後に引退。その後は表舞台から遠ざかっていた。
だが、2022年に親友の宮前真樹(CoCo)が、50歳のバースデーライブを開催した際、今井は27年ぶりにステージに登場。その後、宮前の後押しもあり、グループ解散時に言えなかった感謝の気持ちを歌にしたCD『心からありがとう』が完成。この日、29年の時を経て、ようやく集まったファンに「ありがとう」が伝えられた。
昼の部はQlairの曲からスタート。定番だったグループの登場曲、ギルバート・オサリバンの『Clair』が流れる中、今井がステージに姿を見せた。そして、Qlairをカバーしてきた元ハコイリ・ムスメの星里奈と吉田万葉によるユニット・RAMUNE(ラムネ)もステージに上がり、3人でQlairを再現。グループ4枚目のシングル『眩しくて』が始まると、当時のフォーメーション、当時のコーラスにファンから歓声が上がった。歌い終わると、今井が元気な声で「お久しぶりでーす!」。続けて、『泣かないでエンジェル』(2ndAlbum『CITRON』収録曲)を歌った。
宮前真樹(CoCo)が、仲間の歌手復帰を後押し
ここで今井の顔写真を大きくプリントした特製Tシャツを着た宮前がステージに登場。今井がそれに気付き、驚いた顔を見せると客席からもドッと笑いが起きた。宮前は「さっちゃんの初のソロCDを作った名プロデューサーです!」とかわいらしく自己紹介。続けて「今回チケットの枚数が少なくて、申し訳なかったのですが、今回だけは、さっちゃんが、みなさんと近い距離で歌いたいという思いがありました」と説明した。
3曲目に入る前に今井が「ご起立願います!」と声を掛けると、観客は「待ってました」とばかりに一斉に立ち上がった。アップテンポな人気曲『約束』を披露すると、観客とステージが一体となってジャンプしながら楽しんだ。
歌い終わると、今井は「懐かしいあの頃を思い出させてくれてありがとう」と涙をこらえながら観客に頭を下げた。しかし、頭を上げた瞬間、「ちょっと下半身がヤバいんだけど……みんなも大丈夫?」と腰をさすった。「特典会のプレゼントは湿布にしようか」と言うと、感動のステージが一転、大爆笑に包まれた。
ここから宮前とのトークコーナーがスタート。「なぜ、29年ぶりに歌おうと思ったのか」。そのきっかけやCD制作の裏話を説明した。宮前は「後悔をしたままにさせたくない」と再び歌うことを提案したが、今井は何度も拒否をし続けた。そのことを振り返り、「あきらめずに説得してくれた真樹ちゃんがいたから、今こうやってCDを作ることができました」と宮前に感謝した。
そして、乙女塾で最も在籍年数が長かった今井が、今だから話せる「Qlair時代の裏話」を振り返った。後半は観客の質問に答えていき、解散が分かっていながら「さよならを言いたくても言えなかった辛い時期があった」と言葉を詰まらせた。ファンを前にしての初めての告白。感極まったまま、「本当に全ての気持ちを寄せていただいたみなさん、ありがとうございます」と伝えた。
最後は涙を流しながら新曲『心からありがとう』『ラストソング』の2曲を歌い、昼の部が終了。集まった約70人の観客一人ひとりと握手をして直接「ありがとう」を伝えた。
夜の部は元アイドルの母娘が初共演
夜の部はこの日、台風10号の影響で来場できなかったファンに向けて、急きょ無料ライブ配信(インスタライブ)も行った。今井と宮前の仲良しコンビによるトークで開始。今井のプライベートに迫り、引退後の生活や書道十段の腕前を筆ペンで披露するなどして観客を楽しませた。引退後は歌を封印し、「カラオケには行かなかった」「Qlairの曲はもちろん、歌うこと自体やっていなかった」などと告白した。
インスタライブが終了すると、宮前が「ここでゲストを紹介します」とサプライズゲストが紹介された。現れたのは、今井の一人娘で元アイドルの鈴夏さん。何も知らされていなかった今井は「ちょっと待って! 親子だよ! (お客さんに)みんな、いいの? やりにくいんだけど~(笑)」と困惑。愛娘は「今井佐知子の娘の鈴夏です」と笑顔であいさつして今井の隣に着席。3人の面白トークが始まった。
宮前が「娘がアイドルになりたいと言った時はどう思いましたか」と質問すると、今井は顔を赤らめて「いや……。まあ、正直うれしかったですよ」と答えた。「でも、面談の時はさすがに心配だったから、アイドルの先輩として私も付いて行ったのよ。それで、私は向こうの人に『お宅はどんな感じなんですか。娘を預けて大丈夫かしら』みたいな感じで話して(笑)」とステージママっぷりを露呈した。
鈴夏さんは「当時、コロナ禍で声出しができなかったんですが、ステージから見たお客さんのペンライトがキラキラしてとっても良い思い出でした」とアイドル時代を振り返った。2人の似ているところを聞かれると、今井は「ほとんどないけど、趣味だけは似ているかも」と答え、一緒にレジャー施設に遊びに行く仲良しぶりを明かした。
宮前が「鈴夏ちゃんは、ママがアイドルだと知ったのはいつ」と質問すると、「小学生の時です。カラオケでママがQlairを歌っていたら画面に当時の映像が映って」。宮前がすかさず、「さっちゃん! さっき、引退後は歌うの辞めたって言ってたよね!?」と突っ込むと、今井はとぼけ顔で「一緒にカラオケに行くと、ついQlair愛があふれちゃうのよね~」とごまかした。
その後、鈴夏さんは小学校での授業参観を振り返り、「いつも友達に『ママはキレイだね』って褒められていた」と言った。気を良くした今井は自慢げな顔で「そうなの。ゴミ捨てもすっぴんで行けないんだから」と調子に乗り、宮前をあきれさせた。
今井親子のトークで盛り上がった後、歌のコーナーへ。今井は「デビュー前から今までの思いを歌詞にしました。温かい声援をいただけると心強です」と言い、新曲『心からありがとう』を再び披露した。昼の部では涙を流したが、一転して笑顔で歌い切った。
そして、「私のQlair愛が詰まっている」と説明。2曲目の『ラストソング』へ進むと、我慢しきれずに今井の涙腺が崩壊した。歌い終わると、袖で見ていた宮前と娘も涙を流しながらステージへ。ここで最大のサプライズが待っていた。宮前が「お手紙を読んでいいですか」と便せんを取り出し、最初の部分だけ読み始めた。すると、スピーカーから聞き慣れた声が流れてきた。
Qlair吉田亜紀から届いたサプライズメッセージ
「リリースイベントの開催おめでとうございます。吉田亜紀です。28年ぶりのステージはどうですか? 今、目の前にいるみなさんは感動の涙、そして、たくさんの笑顔に包まれていることでしょう。乙女塾の先輩や後輩も、垣根を越えて今でも長いお付き合いをつないできたよね。それは、いつでも明るく元気でユーモアにあふれ、裏表なく誰とでも仲良くなれるさっちゃんだからこそ。まきちゃんのバースデーライブや、その後も『まきあみさち』のステージに参加して、生き生きと輝く姿を私も微笑ましく見守ってきました。 久しぶりの舞台に懸命に応えようとするとても真面目で頑張り屋さんの姿は、35年前に出会った時と変わらず、その一生懸命な気持ちが周りの人を惹きつけるのだと思います。誰よりも乙女塾を、そして、Qlairを愛し、今でも大切に歌い続けているさっちゃんをこれからも応援しています。最後に争奪戦だったチケットを入手できた。ラッキー過ぎるみなさん、これからもさっちゃん、そして、真樹プロデューサーをはじめ、力をお貸しくださった皆さんを末永くどうぞよろしくお願いします。さっちゃん、こちらこそ、心からありがとう。 2024年9月1日、Qlair吉田亜紀」
苦楽を共にした吉田のメッセージを受け、今井は涙が止まらなくなった。そして、実は今回のイベントのためにカラオケ店で、吉田と2人で歌の練習をしていたことをファンに明かした。続けて、全ての仲間、スタッフ、ファンに感謝を述べた。
「亜紀ちゃん(吉田)やヒロ(井ノ部)。今もこうして支えてもらっていることに心から『ありがとう』って思えるし、毎年7月7日のデビューを一緒にお祝いできる仲間が今でもいてくれることが本当に幸せです。3人でQlairとしてデビューさせてもらえたこと、本当に心から感謝しています」
宮前が「ねえ、さっちゃん。これで終わっちゃうの?」と聞くと、今井が「もっと歌いたいと思ったよ」と素直な気持ちを言葉にした。
当初は頑なに歌うことを拒否し続けてきた今井だったが、2年間かけて宮前が辛抱強く心のふたを開け続けた。そのおかげで、この日をもって今井の中に残っていた「後悔」が、全て消え去った。
「今度はもっとちゃんと歌をお届けできるように。よかったら、次も歌わせてください」
今井が力強く宣言すると、拍手が長く続いた。そして、最後に今井、宮前、鈴夏さんが3人で『約束』を歌唱。元アイドル同士の母娘による初共演が実現した。観客も最後の力をふり絞り、大きなジャンプを繰り返して、記念すべきイベントは幕を閉じた。
ニューシングル『心からありがとう』は、宮前、今井、松野有里巳(ribbon)による3人のユニット『まきあみさち』の公式サイトで発売を開始した。
そして、今回チケットが取れなかったファンに朗報が届いた。昨年に続いて今年も『まきあみさち』のトーク&ミニライブが決定した。11月9日に東京・日本橋PACMANで開催を予定。チケットの詳細は公式サイトで9月下旬に発表予定だ。
一夜明け、今井と宮前からENCOUNTにメッセージが届いた。
今井「イベントにご来場いただいたみなさま、本当にありがとうございました。もう歌うことができないと思っていたQlairの楽曲『眩しくて』、そして新曲『心からありがとう』『ラストソング』を、2度と会えないと思っていたファンの方々の前で歌うことができ、伝えたかった思いを直接伝えられて幸せでした。Qlairと出会ってくださった全てのみなさま、たくさんの素敵な思い出をありがとうございました!!」
宮前「今はただ、無事に終えられたことにホッとしています。微力ながら、あの頃の忘れ物を届けるお手伝いが出来たことがとてもうれしいです。私にとっても幸せな思い出になりました。ありがとうございました!」