愛車は皇室愛用“伝説の車” 生産わずか59台…オークションで即座に落札「2度と会えない」

各地で行われている自動車イベントを取材していると、とんでもない希少車に出会うことがある。オーナーのりゅうじさんが乗っていたのは、生産台数59台という伝説の車。どのような経緯で入手し、また維持しているのか詳しい話を聞いた。

希少な車をノーマルで維持している【写真:ENCOUNT編集部】
希少な車をノーマルで維持している【写真:ENCOUNT編集部】

センチュリー、プレジデントに匹敵 漂う高級感

 各地で行われている自動車イベントを取材していると、とんでもない希少車に出会うことがある。オーナーのりゅうじさんが乗っていたのは、生産台数59台という伝説の車。どのような経緯で入手し、また維持しているのか詳しい話を聞いた。

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 ずらりと旧車が並ぶ駐車場でひときわ目立った黒塗りの高級車。トヨタ・センチュリー、日産プレジデントは知っていても、この車を覚えている人は少ないのではないだろうか。

「もともといい車、楽しい車を探しているんですよ。めったに見ることもできないし、レアだなというのは知ってて。この車いいよねっていうのはもうずっと思っていました」

 購入したのはオークションだった。

「これを逃がしたらもう二度と会えないだろうと思いました。街中でも1回しか見たことなくて、あとは媒体越しでしか見たことがない車だったから、すぐ落札しました。めちゃくちゃレアです」

 2001年式の三菱ディグニティ(初代)は、生産台数59台という貴重な車だ。3年前に購入し、メンテナンスに2年超を費やし、今年に入ってようやく走れる状態まで持ってこれた。

 これまでの愛車はキャデラック・エスカレード、シボレー・エクスプレス、センチュリー、ロールス・ロイス・ファントム、メルセデス・ベンツSクラス、BMW740など。「大きい車が好き。大きければ大きいほどキュンキュンします」というりゅうじさんは、会社と個人所有を合わせ、さまざまなアメ車や高級セダン、リムジンに乗ってきた。

 そんな中、存在を知りつつも、なかなか出会えなかったのが、ディグニティだ。

「本当に間近で見るのも初めてでしたし、当然乗るのなんて初めてでした」

 発売時の車両本体価格は999万円。全長は5メートル33センチ。センチュリーやプレジデントと同等クラスで、運転手がついて社長や重役を乗せるイメージがある三菱のVIP車だ。オークションで目にしたときは、「ドンピシャ。好みにハマってた」と一目ぼれ。そしてハンドルを握ると、その快適性に病みつきになった。

「単純にもう感動です。乗り心地の良さと装備の数。後ろ乗ってもよし、前乗ってもよし、いろんなところで実感しています」

 一番のお気に入りポイントは「後席の広さですよね」と納得の笑顔だ。「運転もしやすいです。疲れないし、シートもふかふか、サスもふかふか、ハンドルも軽いし」と続けた。

 購入後は修理続きで、長い間ハンドルを握ることすらできなかった。

「やっぱり部品が少ないので大変ですね」

 なにせ59台しかない。パーツによっては、全く替えがきかない。

 最も難関だったのがセンサーだ。「全然部品が出てこなくて、それですごく時間を費やしましたね」。ディーラー経由で奇跡的に見つかった部品もあった。

三菱の誇るフラッグシップだった【写真:ENCOUNT編集部】
三菱の誇るフラッグシップだった【写真:ENCOUNT編集部】

秋篠宮家の公用車 「テレビで見るたびに毎回感動」

 59台しかない車だが、有名な1台が宮内庁にある。

 ディグニティは秋篠宮家の公用車として長年愛用されている。

「もともと秋篠宮のご夫婦が乗られていましたね。今はお2人はセンチュリーかな。秋篠宮のお子さんが移動されるときにディグニティ出しているんですよ」

 今年5月、ギリシャ訪問を控えた次女・佳子さまが皇居を訪れた際にも、ディグニティに乗られていた。

「これの黒に乗られていますよ。テレビで見れるのはそういうときだけですね。だから自分はテレビで見るたびに毎回感動しています」

 維持することの大変さは身を持って知っている。

「(宮内庁は)すごいと思います。どうやって維持しているのかなって気になりますけどね。ディーラーに問い合わせしても、修理できないって言われちゃうから」

 後席に乗ると、特別な気分が味わえるような気がする。

「ああ、こんな感じなんだなっていう、もう疑似体験ですね。センチュリーだったらまだ乗ろうと思えば乗れるじゃないですか。まだ球数はあるじゃないですか。でもこれはちょっと乗ってみようよって言えるレベルの車じゃないぐらいレアなので、やっぱりテンション上がりますよね。持っている人にすらたどり着けないですからね。センチュリーよりもはるかに興奮します」

 まさにオーナーだけの特権と言える。

 車はフルノーマルで、修復歴もない。

「このオリジナルを維持して、ずっと所有し続けます。後世に残せるように」と力を込めた。

 所有欲を大きく満たす1台だが、りゅうじさんはまだまだ欲しい車があるという。米国の大統領専用車ビーストにも興味津々だ。「今のトランプさんが作ったやつもいいんですけど、歴代の欲しいですよね。たまらないです」と夢を膨らませていた。

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